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呼びかけと反応とすれ違い

太陽・月・地球などの固有名詞が出てきますが、これは彼らにとっての言葉を訳したものです。

コレ以降は我々の太陽系のそれらを示すときはそれぞれ太陽ソルルナ地球テラと区別して表現します。

また同様に日や年に対して地球日・地球年などと表記します。またこのとき1週間とは舞台となる天体の自転周期のおよそ12倍の時間であり1か月とは同じく公転周期の12分の一の期間であり地球週・地球月とは異なります。

また1日を日照時間を12分割したものを昼1時間・日没時間を12分割したものを夜1時間としているため地軸の傾きに由来する日照時間変化に応じてそれぞれの1時間の長さが変動するため適宜地球1時間の換算値を付記します。

 晴れ渡る夜空、そこに輝く至高の輝きを大地へ誇る月。天界でそれぞれがあるがままに自らの光を披露する星空の世界にあって、その輝きの強さや大きさだけでなく満ち欠けという美しい変化を披露します。それ以上に目立つ星はその輝きですべてを覆い尽くす太陽以外に存在しない。太陽が眠りについた夜の世界にて、日陰の女王として君臨する月と比べれば他は五十歩百歩。あえて次点を挙げるならば惑星たちでしょうか。しかし、月と比べるのはあまりに虚しい比較と言えましょう。


しかし、近年になり突如として月の次に目立つ星として多くの人が示す事ができる星が出現しました。全くの新しい星が突如として天球上に出現したのです。とはいえ、光の強さとしては月と比較し得るものではありません。ではなぜかの星は目立つのか?それは点滅するのです、しかも一定のリズムを周期的に崩さずに。これまでの私達の歴史にも、たしかに新星が誕生した記録はあります。しかしこの様な点滅を繰り返すような新星は全く記録にありません。これは明らかに私達の天文学の常識と反する事態です。

星の輝きの強さは変わることはありません。その星が天球の最外周にある恒星天にある恒星であったならば、恒星は天球上に開いた穴から漏れたこの宇宙の外側(神々の世界)から漏れる光なのである程度の説明は可能です。なにしろ神々の世界なのですからなんでもありです。実際に当初は神々からのメッセージだと信じる者も多くいました。

しかしその星が現れてから数十年の軌道観測の結果、なんと惑星であることが明らかになりました。惑星は太陽の光に照らされて私達に見えているのですから、太陽があのような点滅をしていないにも関わらず点滅している…すなわちかの星は自ら光を発しているということです。自ら光る星は大いなる太陽の他には存在しませんでした。そこで、私はかの星に「瞬きの多い小さな太陽」などと渾名をつけています。まぁ他の人達は「手拍子星」と言っているのですが。



 視線を星々の世界から外界に下げると、私と同様に空を見上げていた仲間たちの姿が目に入ります。この満月の日に平原に集まった理由は、もちろん天文観測のためです。私達ちょっと珍しい渡りハーピィという種族は、厳しい季節を過ごしやすい場所で過ごすために長距離を移動して、時期に合わせた快適な場所で生活します。この長旅において目的地を誤ると大変なことですから、天文観測によって自分たちがどこにいるのか把握し続ける必要があるのです。その特性から他の種族から星読みの民などと呼ばれたりするのですが、まあ言われて悪い気はしません。ところで、今の若い同族たちは手拍子星がかつては存在しない星だったことを想像できないようです。曰く、「あんな目立つ星が無い夜空なんて想像できない」と。なにしろ目立つので惑星の運動を子供たちに説明するときの例として真っ先に挙げる星ですから、そうでなくとも目立つのに印象もさらに強くなるのでしょう。私だって月が消えたまま現れない日々というのも、確かにピンとこないものがあります。


 私達の進路が間違っていないかの確認が終わると、天文観測はそれで終わりです。でも今日のように天候と場所に恵まれれば、好きな人たちはまだ星を眺めもの思いにふけります。やはり一番人気は月ですが、手拍子星の話題もなかなか人気がある話題です。

トントン トントントン トントントントントン トントントントントントントン トントントントントントントントントントントン

手拍子星が打つリズムは言葉にすると一定の間隔を置いて2回 3回 5回 7回 11回 13回の点滅を繰り返し、17回の点滅の次は2回の点滅に戻る…これを現れてからずっと繰り返しているのです。

このリズムはある程度の数学的な素養を有する者達にとって、直ぐに何を意味するか理解できるもの…すなわち素数です。

そのためこの星のことを「数学者の星」とか「素数星」などと言う者達もいます。

このことは手拍子星が神々からのメッセージだという人々の根拠の一つでもありました。

偉大なる神々がこの意味が理解できるのかと問いかけているのではないか?と。


 そこで10年ほど前に森エルフのドルイドたちが大いなる森に集まり、手拍子星に対して返事を送るための儀式が行われました。

森の魔力を手拍子星に対し一定のリズムで、17回の拍子の次に19回の拍子を付け加えて2回に戻し照射したのです。

もし神からの挑戦であるのならば、この我々はこの程度は次の素数を返せるぞという意図はわかるはずです。

魔力出力も大いなる森のエルフたちの全力です、おそらく届いたことでしょう。

光や音を感知できない魔物や動物はいますが、魔力を感知しない存在はいません。

にも関わらず、手拍子星に何らかの変化が起こることはありませんでした。かの星が惑星であることがはっきりしたのもあり、多くの人は何か不思議な自然の出来事なのだろうと思うようになりました。


 それでもたまに私は思うのです「やはりあれは何らかの意思を持って我々に語りかけているのではないか?」と。

そう思いながらいると、夜空に一筋の涙が流れました。その輝きに呼応するかのように、複数の流星が固まって流れていきます。はて、流星群の時期だったでしょうか。

流れ星への願いのまじないの声が周りから聞こえてきました。

この美しい光景に、皆がこの様な素晴らしい星空を見れる日に、偶然あのような不思議な流星群が来てくれたことを感謝していることでしょう。








 小惑星帯といっても人々が思うほど密集して存在されているわけではない。そこにポツンと浮かぶ小惑星たちのひとつに、強力な光を放つ異質な物体があった。それは播種船ダンドリオンが建設を命じた電磁波照射装置である。

当該惑星に対し先遣させた観測宇宙船は多くのデータを収集していた。

大気圏内に突入させた小型観測装置からの情報では、なんと惑星は生命体を育んでいたことが確認できた。

それも微生物だけでなく、大型の植物や動物と考えられる生命体が明らかに存在していたのである。

知的存在がいる可能性は十分にある、まして既知の地球生物とは全く違う知的存在さえいる可能性だってあるのである。

そこで、未知の知的生命体への問いかけとして古来から有力視されていた素数数列の照射が行われた。

もしその惑星にある程度の文明を有する知的生命体が存在したならば、何らかの対応を行うはずである。

しかし、観測装置から返答と考えうる反応は惑星上から確認できなかった。


中枢コンピュータはこの結果から知的生命体は当該惑星には存在しないと判断。原生生物は惑星の環境バランス維持のためにしばらくは存続させたまま惑星上の拠点を設置することを決定した。

なにしろ惑星の生命体は酸素や二酸化炭素をやりとりし、大気バランスはそのままでも人間の生存可能であると結論が得られていたのである。

水でさえ存在しない乾燥した星や、硫酸の雨が降り注ぐ星、あるいはメタンの海に包まれた星などなど、およそ地球テラからかけ離れた星を改造する前提であった彼女にとってあまりにも魅力的な環境である。

このような生態系を一から再構築する手間を考えれば大幅なスケジュールの短縮である。


アステロイドベルトからの資源だけでは賄えない資源などを確保するためにも、惑星上に基地を建設する大気圏突入ポッドが惑星上に投入された。

一つの巨大な基地をそのまま投入してはリスク的にも環境的にも問題である。そこで宇宙空間で予めある程度を建造し、パーツごとに投下して現地で組み立てる方式が取られた。

当初の想定より早まること数万年、スケジュールは間をいくつもすっ飛ばしながら急パースで進捗してゆく…

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