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継母が公爵様との縁談まで欲しがる〜どうぞ差し上げます!まさか出戻ってきませんよね?  作者: カンテラ澪


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5 エメルディ公爵家から呼び出されました

⌘

エメルディ公爵家。


馬車が門を入って行く。

王家の離宮ではないかと思う程の佇まい。

圧倒されて、飲み込まれてしまいそう。

アリッサ、しっかりなさい。


そして、貫禄のある家令に案内された落ち着いたサロンで、公爵様を待っている。


この国の公爵様に会うことなんて、生涯無いと思っていた。

同じ貴族とはいえ、高位貴族の頂点に立つ公爵家。

家格差がありすぎる。


公爵家の使用人には伯爵家出身の者も多い。

それだけ高位なのよ。



そして、サロンの扉が開く。

私はさっと立ち上がり、公爵様からの言葉を待つ。


「オスカー・エメルディだ。呼び立ててすまなかったな」


私はゆっくり、できるかぎり優雅なカーテシーをする。

「アリッサ・ベルモントにございます。この度は大変なご迷惑をおかけいたしました。申し訳ございません」


「頭をあげて、かけてくれ」


公爵様が肘掛け椅子にゆったりと掛けたのを見て、私も椅子に座る。足が震えていた。

すぐさま、茶の用意がされ、サロン中に紅茶の良い香りがしている。


公爵様がソーサーを手に取りカップに口をつけるのを見て、私もカップをとった。それだけで香り高い。

どれだけ高級なの?


そして一口飲んで、小さな息をはいた。

身体の緊張がほぐれていく。

お茶の香りを楽しんだのは、いつぶりかしら。


「茶を気に入ってくれたようだな」

え?見られてた。


「はい。柑橘と青の花の香りで癒されました」

「ほう、何の紅茶かわかったのか」


公爵様が微笑んで、焼き菓子を一つつまむ。

漆黒の髪、引き込まれそうな青みがかった緑の瞳。


何という洗練された所作なのかしら。

奥様を亡くされてから、社交界では孤高の貴公子と呼ばれていらした。


「父君の、ベルモント伯爵の冥福を祈る。王宮の会合でお会いしたことがあったが立派な方だった」

「公爵様にそう言っていただき、父も喜んでいると思います」


そう、お父様は領地の経営も全部ちゃんとしてらしたのよ。

あの女を家に入れたこと以外は。


「アリッサ嬢、貴族監理官に提出した書類は貴方が書いたのか」

「はい。父の執務を少し手伝っておりましたので、何とか作成できました」


「そうか、領地の経営、領地の把握ができている、と感心した。当主不在でも、邸の管理もできているようだ。使用人が大量にやめた噂も醜聞も耳に入ってこない。それで陛下に申し出たのだ」


ああ、やっぱり。

直接、国王陛下に、私との縁談を。

これはもう断れない。


「アリッサ嬢、単刀直入に伺う。後妻は嫌か。公爵夫人となり、できれば後継も望んでいるのだが」


「公爵様、身に余る光栄でございます。ベルモントの領地領民を安心してお預けできると思っております。ただ」


そこで詰まった。好きな人がいるとは言えない。

それよりもっと大きな問題がある。


「ただ?」

「ただ、ただいまこちらでお預かり頂いている当家の者の処遇を決めかねております」


「確かに。本来ならば、男爵家に戻るはずだが」

公爵様が、私の顔を見据える。

ああ、この方は、お見通しなのね。


「私の力不足でございます」

「それで、縁談を継母に譲った?」

「っ!」


プリシラーーーーーーーッ。

そうじゃないかと、わかっていたけど。


「プリシラ殿から経緯はきいた。どこまで本当なのか知りたくてね」


私は、椅子から立ち上がり、両膝をつき、両手もつき、ひれ伏した。

公爵家に対する非礼、お詫びしないと。


「申し訳ございません。お詫びのしようがないことは承知しております。継母プリシラに、このご縁を」


また、つまった。でも言わなくちゃ。

「……このご縁を差し上げる、と申しました」


「そんなに私との縁談が嫌だったのか」


「違います。公爵様にお会いしたのは今日が初めてでございます。厭う理由がございません。わたくしは舞踏会もあまり出ておりませんので」


「それは知っていた。身持ちが堅いことは調べさせてもらった。亡き母君のご実家はパステーラ侯爵家。祖母殿が忘れ形見の貴方をたいそう可愛がっておられる。それにサフィエル侯爵家とも付き合いがあることも」


「っ!」

本当に全てご存知だったのね。確かに公爵家の力があればそのくらい調べられる。


公爵様がこちらに歩み寄る。

そして私の前で膝をついて、私の顎に指をかけ顔を上げた。


怒ってる?怒って当たり前。


「私がそんなに嫌だったのか」


不定期更新ですが完結します。

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