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継母が公爵様との縁談まで欲しがる〜どうぞ差し上げます!まさか出戻ってきませんよね?  作者: カンテラ澪


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4/9

4 継母プリシラが、やらかしました

⌘

ベルモント伯爵邸の執務室。



私は頭を抱えていた。

どうすれば私の縁談を「プリシラ」に差し上げることを、エメルディ公爵家で納得してもらえるのか。


絶対に無理だわ。


男爵家出身では、どうしたって公爵家の夫人にはなれない。

百歩、いや千歩譲って貰えたとしても、礼儀も所作もなってないあの継母では無理。


ダメだわ。何を考えているの、アリッサ。

そんな事以前に、王家からの書状には『伯爵家の直系の娘』となっているわけだから、私以外は無理よね。


一晩中考えたけれど何も思い浮かばない。

何とかしないと。

まずはパステーラのお祖母様にご相談しよう。

ブルーノ様にも、お手紙を書かないと。


そして働かない頭で、事の次第をしたため、お祖母様に面会を求める書状を送る。

お祖母様には、明日にはお会いしないと、あまり時間がない。


ブルーノ様には、王家から打診が来てしまったことと、継母がその縁談で騒いでいることを正直に書いた。



少し休もう。

お父様が亡くなってから、しっかりと眠った記憶がない。

今日は、幸い継母も静かだし。

静か?ということは、とうとう遊びに出ちゃったんだわ。

もうどうでもいい。止めて聞く人ではないから。


後妻の継母は、正式には私のお母様ではなく、あくまでも後妻だから、お父様が亡くなった後は、この国では伯爵夫人を名乗れない。

それも説明したけれど、知らんぷりしてたわね。


私はふらつく身体を引きずって何とか自室まで戻り、寝台に潜り込んで眠りに入っていった。



⌘

アリッサの部屋。


遠くで私を呼ぶ声がする。

「アリッサ様、アリッサお嬢様。起きてくださいませ。公爵家から馬車が来ております」


誰か何か言ってる?眠いの、寝かせて。

「眠いの……」

「アリッサお嬢様、起きてくださいまし。エメルディ公爵家の馬車が。それに家令補佐という方もお見えです」

「そんなの帰ってもらっ……エメルディって言った?」


私はガバッと飛び起きる。


「ハンナ、エメルディって言った?」

「はい、そう申しましたよ。家令補佐の方が書状を持って来ておられます」

「待たせてはいけないわね」

「ひとまず、セバスチャンが、お嬢様は過労でお休み中なので、少しお待ちいただきたいと伝えております」


さすがセバスチャン。

でも待たせるわけにはいかない。

急いで支度をする。

喪に服している最中なので黒のドレスを着る。



⌘

ベルモント伯爵家の応接室。


エメルディ公爵からのお使いは、家令補佐ベルン様と名乗る。

家令の部下のような方だった。

さすが公爵家、家令もたくさんいるのね。


書状は、公爵様ご本人から。

高級な封筒に便箋、透かし紋章が入っていて、美しい字体。

でも、読み進めていて、私は卒倒しかけた。

いいえ、本当は卒倒すれば良かった。


「ベルン様、これは」

「はい。当家の主は、アリッサ伯爵令嬢と直接お話をしたいと申しております」

「……大変申し訳ございません。すぐにお伺いを」

「では先に、先ぶれを出発させます。お嬢様はお支度が済んでからご出発されて問題ございません」


「お心遣い痛み入ります。支度をしてまいります」


私は応接室を辞して急いで階段を上がりながら言った。

「ハンナ、エメルディ公爵様のお呼び出しがあったの。すぐに外出用の喪服のドレスを準備してちょうだい」


急いで、小走りで、更に急いで、外出用の喪服に着替える。

まだ喪に服しているので、黒のベールで顔も隠す。

相手は現公爵様。

絶対に失礼があってはならない。


そして私は今、乗ったこともない豪華な公爵家の馬車にたった一人で乗っている。

ベルン様は、使用人専用の馬車。


セバスチャンとハンナは置いてきた。

どんな話をするにせよ、私が責任を取らねばならない。

公爵家は王家の血筋。

この命を差し出しても、伯爵領の領民と使用人達を守らねば。


馬車は滑るように移動していく。

振動をあまり感じないし、静かね。

馬の蹄の音さえ遠い。


ああ、そんなことを考えている場合ではない。

とうとうやらかしたのだ。

あの女が。


死んで詫びてちょうだい。

心底、そう思った。


公爵様のお手紙には、こう書いてあった。


——緊急ゆえ用件のみで失礼する。

亡きベルモント伯爵の後妻であるプリシラ夫人が、当家へ来られている。私の後妻の権利について、アリッサ嬢からプリシラ殿が譲り受けた、と主張しておられるが、それについて、アリッサ嬢と直接話したし。

オスカー・エメルディ——


あの女。絶対に許さない!


不定期ですが、完結します。

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