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継母が公爵様との縁談まで欲しがる〜どうぞ差し上げます!まさか出戻ってきませんよね?  作者: カンテラ澪


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2/6

2 舞踏会の出席も差し上げました

⌘

半年後。


継母は、伯爵家の夫人としての勉強を嫌がった。

亡きお母様の実家、パステーラ侯爵家から夫人教育の家庭教師が来てくれていたが、ことごとくお茶会に誘われたと言い訳をして逃げ出し、代わりに私が勉強することになった。



パステーラ家のお祖母様に、状況をご報告してみる。

するとお祖母様は、今のうちに学びなさいと、私に侯爵家と同等の教育をつけて下さった。

もちろん、継母は勉強もせずに、男爵家時代の友人達と遊び歩いていたけれど。


何とかバランスを取って日々を送っていたある日、継母から呼ばれた。


「ねえ、アリッサ、この招待状はお断りしたわ」

継母がヒラヒラと見せびらかしている封筒には、幼馴染がいるサフィエル侯爵家の封蝋がついていた。


それは王家主催である舞踏会のエスコートの申し入れのはず。


「お断りしたのよ。だって、ワタクシが伯爵夫人なのに、あなたが侯爵家の子息にエスコートされるのはおかしいわ。構わないでしょう」


この女、全部自分が上にならないと気が済まないのね。

「もちろんですわ、お継母様。私には分不相応でした」


「そう!分不相応よ。だから、あなたには男爵家のお相手を探しているから安心なさぁい」


これは一刻も早くこの家を出ないといけないわね。

でも、男爵家と顔合わせしたら、もっとまずいことになる。

考えるのよ、アリッサ!


「お継母様、ありがとうございます。でも次の舞踏会は格式ある舞踏会。お継母様にこそふさわしいもの。どうかお父様とお二人で」


「そう、良かったわ。ワタクシのドレス代だけでもお金がかかるの。お留守番なさい。でも男爵家とのご縁は消えないわよ、うふふ」


「わかりました」

「あなたの母はワタクシ。敬って言うことを聞きなさい、いいわね」


こんな女と争っても無駄だわ。争うより差し上げる方が早い。



⌘

舞踏会の夜。


私は一人で裏庭の庭園にいた。

お母様が作った庭園。小さな青い花が咲いている。

さすがの継母も、裏庭は放置。見える場所だけ派手にする。



「アリッサお嬢様」


家令のセバスチャンが呼びにくる。


「どうしたの」

「サフィエル侯爵家のブルーノ様が、どうしてもお会いしたいと」

「ブルーノ様が?」


「お嬢様、差し出がましいようですが、事情をお話になった方が。それに今夜は旦那様と奥様も舞踏会です」

「お継母様の侍女は?」

「奥様付きの侍女も護衛騎士も一緒に出ております、今日を逃すと」


「ありがとう、セバスチャン、すぐにお会いします」


セバスチャンも侍女頭ハンナも協力してくれて、私のお部屋でブルーノ様と会うことができた。



ブルーノ様には、継母がこの家に来てからのことを全て話した。


「仔細はわかった」

「ごめんなさい、私、今日の舞踏会、楽しみにしていたのに」


「いや、構わない。贈ったドレスも突っ返され、男爵家との婚約話が進んでいると書状にあった。話がおかし過ぎるから、会って話したかった」


「お父様が言いなりなの」


「だろうな。屋敷に入って、あまりの様変わりに驚いた。それに社交界でも、継母殿のことはかなり噂になっている」


「どんな」


「いや……」

ブルーノ様が渋るなんてよほどのこと。でも聞いておかないと。


「言って。何を聞いても驚かないわ」


「伯爵家では慎ましく暮らしているので、アリッサのお古のドレスを着ているとか、亡伯爵夫人の部屋に入れずアリッサの古い部屋で耐えているとか。私はそんなはずは無いと思っているが」


私は大きなため息をついた。

そして、もうそんなに時間がないと気がついた。

継母は私を追い出したがっている。


「ねえ、ブルーノ様、これを預かっていただきたいの」


私は衣装部屋から、お母様の形見の宝石を持ってくる。

侯爵家の紋章入りの箱に入った宝石。

そして、ブルーノ様から頂いた細い首飾りも、首から外して箱に入れ、一緒に渡した。


外した首飾りを見てブルーノ様が怪訝な顔をなさる。


「アリッサ、これはどういう意味だ、返す?なかったことにする気か」

「違うの、お返しするのではなく、預かってほしいの。いつ奪われるかわからないから」


ブルーノ様がホッとした顔をする。


その時、部屋の扉がノックされた。


「お嬢様、先ぶれが。もうすぐ、旦那様方がお帰りに」


「セバスチャンありがとう。ブルーノ様を急いでお送りして」


「アリッサ、もっと話したかったが、とにかく事情はわかった」

私は泣きそうになるのを堪えてブルーノ様を送り出す。


ブルーノ様が、宝石箱を抱えて扉に向かうけれど、すぐ引き返して、私の額に口付けを落とした。


「今はまだ、おおっぴらに動けないが、打開策を考える」

私は涙を堪えて頷いた。


⌘

でも、それから、ブルーノ様とは会えなくなってしまった。

お父様が、流行り病で、数日で亡くなってしまった。

不定期更新ですが、完結します。

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