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 「リリー様、遅いっすね」

 お茶会の席で、執事姿のリンリンが言った。

 本人だけは、完璧な男装姿で女の子であることを隠し通せていると思っている。

 今回のお茶会は、モリシア伯爵令嬢、ミッシェル伯爵令嬢、ヨールデリ伯爵令嬢、スワンリ伯爵令嬢の四人に、リリーを加えたいつものメンバー。

 今回のお茶会は読書会で、四人は黙々と本を読んでいた。

 「みなさん、とても仲が良いですけど、子供の頃から四人一緒なんすっか?」

 モリシア伯爵令嬢は、本を閉じる。

 「いいえ。私達は出会った頃はとても仲が悪かったのです」

 ミッシェル伯爵令嬢とヨールデリ伯爵令嬢も本を閉じる。

 そして、二人は交互に喋り出す。

 「ある時、私達四人を含む、幼い令嬢達が、お城に集められたのです。そして、仮面をつけた謎の人物が、こう言ったのです」

 「みなさんには、これから殺し合いをしてもらいます」

 「そう、それは王国の闇のゲーム。真の令嬢を選抜するための蟲毒」

 「第一のゲームは、四文字しりとり。四文字限定でしりとりをするだけの単純なゲーム」

 「ですが、失敗したら死」

 「私達の前で、容赦なく銃殺される第一の敗北した令嬢」

 「私達四人は生き残るため協力することに決めたのです」

 王国の負の側面に触れ、震えるリンリンの肩をちょんちょんとつつくスワンリ伯爵令嬢。

 リンリンに自分の読んでいた「悪役令嬢とデスゲーム」の本を開いて見せる。

 「今の、全部、本に書かれている作り話じゃないすっか」

 文句を言うリンリンに、謝るモリシア伯爵令嬢。

 「ごめんごめん。私達には特に他人に喋れるようなドラマはなかったです。ですが、間違いなく私達は親友なんです」

 モリシア伯爵令嬢の言葉にちょっと感動するリンリン。

 こっそり自分が今読んでいる本を裏返し、「悪役令嬢と何でもない日常」のタイトルを見えないようにするモリシア伯爵令嬢。


 「それにしても、リリー様、遅いっすね」


 結局リリーはお茶会に現れなかった。

 代わりに緊急の知らせが届く。


 魔法国による武力侵攻が発生。辺境地ダイファン領が魔法国により占拠。王国の最終兵器であるダイファン夫人のリリー、安否不明。


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