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悪党達は、氷の魔女に罠を仕掛ける。
その悪党達は、よその国からやってきた悪党達で、この王国で違法とされている魔法器具を売りさばき大儲けしようと企んでいた。そのために邪魔になる氷の魔女を、先に片付けるつもりだったのだ。
魔法省に偽の通報し、氷の魔女をおびき寄せたところで、大勢で取り囲む。悪党達の手には、氷の魔法対策に、炎が燃えさかる松明などを持っていた。
「さすがの氷使いも、これだけの炎に囲まれたら、手も足も出ないだろ。戦いってのは、手の内をさらさないのが基本なんだよ。お前みたいに、氷使いをアピールしまくっていたら、こうやって対策されちまうんだよ」
氷の魔女は、いつも不思議に思うことがある。
何故か自分は氷属性の魔法使いだと思われがちなのだ。
部下達にそう話すと、そりゃあ、そう思い込みますよ、と返答される。
いつも青い服を着ているし犯罪者を制圧するときは氷の魔法を使うからだと言われるが、よくわからない。
自分が青い服を着るのは単なる好みだ。服の色と、使う魔法は何の関係性もない。
だけれども、部下達は青い服は水とか氷とか連想させて、水か氷の魔法を使うのが得意な人だと思い込むんですと言われる。
ますます、わからない。
水とか氷は青色ではなく透明だろう。
それに、初手で氷の魔法を使うのは、犯罪者を制圧するさい、相手の武器を氷漬けにするのが手っ取り早いのでやっているだけで、取り立てて氷系の魔法が得意なわけではないのだ。
あらゆるジャンルの魔法は使いこなせる自負はあるが、その中でも得意なのは炎使い。
悪党達の用意してきた炎が、独自の生き物のように暴れ出す。
「くっ。ここまで、氷の魔法が強力だとは」
氷の魔女が炎系の魔法を使うはずないとの思い込みが、悪党達の認識を間違えさせ、自分達の用意した炎が、魔法の氷によって揺らいでいると誤解する。
氷の魔女の方は、もう少し炎を多く用意してくれたら、この前に理論を完成させた炎の竜巻が作れたのにと考えていた。
炎に身体を飲み込まれながら逃げる悪党達。
「一度だけチャンスを与えましょう」
氷の魔女は、今回限りとしてその悪党達を見逃す。
本心から悪党達が改心することを望んでいた。
数か月前まで、氷の魔女のことをすてきな人と言っていた新人は口の中で呟く。
「やり方が巧妙すぎる」
逃げのびた悪党達は、火傷の包帯を巻きながら酒場にいた。
酒場には、犯罪者達が大勢いて、情報はすぐに広がっていく。
やけ酒をあおりながら、包帯を顔全体に巻いた悪党のボスが喚く。
「もう少しだったんだ。氷の魔女をぎりぎりまで追い詰めた。あとちょっと多く炎を用意できていたら勝てたんだ」




