悪霊の正体
目的の悪霊を見つけられず、やむなく今回は引き上げようとしたそのとき
タマシーレーダーに新たな2つの光が現れた。
柳田:「ん? ちょっと待て、新しい反応が現れたぞ
かなりの速さでこちらに向かって来てる」
古橋:「え、本当ですか?」
4人がモニターを覗き込むと、他の光点よりも若干大きい2つの光が
かなりの速度で動いているのが確認出来た。
勘兵衛:「点が2つあるな、しかも他のものより少し大きいぞ」
カリン:「ということは強い霊ってことだよね?
でもまだお化け屋敷の外にいるみたい」
古橋:「まっすぐこちらに向かって来てますね」
柳田:「この速さだとすぐにここへやって来るぞ」
勘兵衛はタマシーバスターの柄を握り、光点が来る方向を向いて
迎撃の構えを取る。
柳田:「カリン、お前にはこれを用意した」
そう言って柳田はカリンに光線銃のような武器を渡した。
カリン:「何これ? 拳銃?」
柳田:「霊体を撃ち抜く銃、その名もタマシーマグナムだ!」
得意げにポーズを決める柳田をカリンが呆れた様子で見つめる。
カリン:「えー、またその変な名前なのー?
もういい加減何にでも"タマシー"付けるのやめようよ」
柳田:「何言ってるんだ、いずれはタマシー印の
高級除霊武具として売り出すつもりなんだぞ!」
カリン:「タマシー印って・・・え? センセーまさか
除霊グッズのブランドを作って商売始めるつもりなの?
その為に私にこの武器の実戦テストをしろってこと?」
柳田:「人聞きの悪い言い方をするんじゃない!
研究にだって金は掛かるんだよ
少しくらい小遣い稼ぎしたっていいだろ」
勘兵衛:「お前らくだらないことを言ってる場合ではないぞ!
もう敵が迫って来てるんだ、ちゃんと集中しろ!」
壁をすり抜け、外から2体の霊が入ってきた。
こちらに向かってまっすぐ飛んで来る。
古橋:「ぼ、僕は戦えないからその辺に隠れてますー!」
古橋は慌てて近くの墓石の影に隠れて身を潜めた。
勘兵衛は腰を落とし、間合いに入った瞬間いつでも
薙ぎ払えるよう体勢を整えた。
カリンも銃を構え、柳田がサポートの為その側に立つ。
3人が前方から迫る霊に視線を集中させる。
ふと、勘兵衛が違和感に気づく。
勘兵衛:「ん? 何か思ったより随分小さいな・・・」
よく見るとこちらに向かって来る霊は2体とも
人間の大人の半分以下の大きさしか無い。
そして何やら二人で会話をしているようだった。
霊1:「楽しかったなー、お前今日何に乗った?」
霊2:「俺ジェットコースター
車両の一番前の部分に乗った
メチャクチャ気持ち良かった、兄ちゃんは? 」
霊1:「俺はゴーカートに乗ったぞ、無人の車がいきなり暴走したって
周りが大騒ぎになってて、スゲー面白かった」
そんなことを話しつつ2体の霊がはしゃぎながらこちらに飛んで来る。
カリン:「なんか、子供の霊みたいだね
悪意は無さそうだけど、撃っちゃって良いのかな?」
勘兵衛もその姿が予想外だったのか
自分の間合いに入られても剣を抜くことを躊躇ってしまった。
子供の霊は勘兵衛に見向きもせずそのまま素通りして行った。
カリンや柳田のこともまるで目に入っていないようで
そのまま後ろの落ち武者の人形の中に入っていった。
柳田:「今2体共その人形の中に入らなかったか?」
カリン:「うん、確かにそう見えたね」
その直後、落ち武者の人形から強い霊力が発せられた。
勘兵衛:「何だ? 突然恐ろしい程の霊力を感じるようになったぞ」
古橋:「これですよ! この前僕が来たとき感じたのと同じです!」
柳田が再度レーダーを確認する。
柳田:「2体分にしてもこの霊力は大き過ぎるぞ!」
レーダーの中心に、1体づつだったときとは比較にならないほど
大きく明るい光の点が”1つ”現れている。
柳田:「2体が融合して大幅に増幅されたのか?」
勘兵衛:「そうかもしれんな、だが今の所
特にこちらを攻撃して来る気配はないな」
柳田:「確かに・・・・暴れるわけでもなく妙に大人しいな」
勘兵衛:「恐らく悪霊騒ぎの原因はこいつらだな
何か話し掛けてみるか」
そう言って、落ち武者の人形に近付いていく。
柳田:「気を付けろよ」
カリン:「大丈夫、少しでも異変を感じたら私が撃つから」
勘兵衛は人形の正面に立ち、静かに話しかけた。
勘兵衛:「おい、お前達ここで何をしている?」
勘兵衛の声が聞こえないのか、反応がない・・・。
勘兵衛:「おいっ! 聞こえないのか? お前らここで何をしてる!」
今度は少し大きな声で呼び掛けた。
霊1・霊2:『うわぁ! びっくりしたぁ!』
勘兵衛:「ここで何をしてるのかと訊いているんだが?」
霊1・霊2:『え? もしかして俺達のことが見えるの?
話し掛けてきたの、おじさんが初めてなんだけど』
勘兵衛:「見えるに決まっているだろう
俺だってついこの前まで幽霊だったんだからな」
霊1・霊2:『そーなの? とてもそうは見えないけど
っていうか何でそんな変な格好なの?』
勘兵衛:「ま、機械の身体になったからな
実体を得た以上幽霊とは言えないし
かと言って人間とも呼べないけどな」
霊1・霊2:『え! じゃあロボットってこと?
いいなぁ、俺達もロボットの身体が欲しいなぁ
それで、おじさんは俺達に何か用なの?』
勘兵衛:「このお化け屋敷の管理者から、お前達を
除霊してくれと頼まれて、ここまでやって来たんだ」
霊1・霊2:『ん?・・・・じゃあ
おじさんは俺達を消す為に来たの?』
勘兵衛:「まぁ、最初はそのつもりだったんだが
まさか正体がお前達のような子供だとは
思ってなくてな」
勘兵衛は柳田の方を向いて訪ねる。
勘兵衛:「おい、どうする?」
柳田:「・・・・そうだな、まずは
その人形から出てきてもらわないとな
ちゃんと姿を見て話したいんでな」
霊1・霊2:『出た瞬間、俺達を消したりしない?』
柳田:「そんなことはしない、ただ話を訊きたいだけだ」
霊1・霊2:「・・・・・・・・」
柳田:(ん? ああ、そうか)
「おいカリン、もう大丈夫だから銃を下ろせ」
カリンは構えた銃をゆっくり下ろす。
柳田:「古橋、お前もいつまでも怖がってないで
こっちで一緒に話を聞け」
古橋:「は・・・はい」
全員が落ち武者の人形の前に集まった。
すると人形の中から二人の子供の霊が現れた。




