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謎の少女

翔太と優太を攫おうと狙う鬼燕の前に突如として光の玉が出現し行く手を塞いだ。



 鬼燕:「む! 何だこれは!?」



光の玉はグニャグニャと形を変えながら徐々に人間のような形状へと変化していき

最終的に和服姿の一人の少女になった。



 鬼燕:「な、誰だ貴様は! どこから現れた!?」



驚いて尋ねる鬼燕に少女は非常に不機嫌そうな表情でぶっきらぼうに答える。



 少女:「我のねぐらを邪気で汚したのは貴様か」


 鬼燕:「ねぐらだと? 何を言っている、私は後ろのガキ共に用があるのだ

    さっさとそこをどけ!」



鬼燕の爪が鋭く伸び、振り被って少女に斬り掛かろうと迫る、が

何故かピタリと動きが止まった。



 鬼燕:「な、動けん、貴様何をした!」


 少女:「身の程をわきまえぬ不届き者め、さっさとこの場から消え失せるがいい」


 

少女が両腕を広げると体から強い光が放たれた。

その光を浴びた鬼燕は残り少ない霊力を急速に失っていく。



 鬼燕:「くそっ、この光、霊力が・・・もう持たん」



消えかかっていた鬼燕の身体が少女の光に晒されて更に薄くなる。



 鬼燕:(仕方ない、今回は撤退せざるを得んか)

    「今日のところは退くが、いずれそのガキ共は必ず私が手に入れる」



そう言うと鬼燕の身体が宙に浮かびそのまま消えた。



 柳田:「消えた・・・存在が消滅したわけでは無さそうだが」


 少女:「あれは転移の秘術じゃな、一瞬にして場所を移動できる術じゃ」


 柳田:「転移の秘術? そんなものを使えるとは、あいつは一体何者なんだ」


 少女:「いや、あれはあやつ自身の術ではないな、別の場所に居る誰かが

    術を掛けていたのじゃろう

    誰でも使えるような術ではないということじゃ」


 柳田:「詳しいんだな、その口ぶりだと

    その誰かについても知っていそうだが・・・

    ていうかあんたこそ一体何者なんだ?」

  

 少女:「我は1年程前からここで寝泊まりしておってな

    せっかく気持ちよく眠っておったのに

    邪気を撒き散らす迷惑な輩が現れたので

    追っ払ってやろうと思っただけじゃ」


 柳田:「弱っていたとはいえアイツをあっさり退けるなんて

    あんた只者じゃないよな、雰囲気からして悪霊ではなさそうだが・・・」


 少女:「我を悪霊などと一緒にするでないわ!

    そうじゃな、強いて言えば上級精霊といったところかの」


 柳田:「上級精霊・・・そんなものが実在するのか・・・

    それで、あんたあの鬼燕とかいう奴が何者か知っているのか?」


 少女:「いや、あやつ自身については知らんが

    恐らく我の知る者の眷属か何かじゃろう」


 柳田:「あんたの知る者って

    もしかしてさっきの転移の術を使った奴のことか」


 少女:「そうじゃな・・・」



そこで何かを思い出したように勘兵衛が口を開く



勘兵衛:「確か奴が名乗ったとき、野風様の配下だとか言っておったな」


 少女:「野風・・・やはりか」


 柳田:「知っているんだな」


 少女:「ああ、我の名は小道(こみち)

    野風と我とは表裏一体、元は一つの存在じゃった」


 柳田:「元は一つって、どういうことだ?」


 小道:「800年以上前のことじゃ、我らはまだ一つの精霊じゃった

    あるとき、雷神を倒し神格を得ようと戦いを挑んだのじゃ

    しかし我らは敗れた、その時受けた

    いかづちの一撃で我らの魂は2つに分断されてしもうたのじゃ」


 柳田:「雷神を倒して神格を得るなんて、そんなこと出来るのか?」


 小道:「いや、そんな確証はどこにも無かった、単なる思い付きじゃ」


 柳田:「思い付き・・・って無謀過ぎるだろ」


 小道:「そうじゃな、我らは力の大半を失った

    我も当初は動くことすら出来なかったが

    地脈や大地の精霊から霊力を分けてもらい

    長い時間を掛けてやっと力を取り戻したのじゃ」


 柳田:「じゃあ、野風の方も?」

 

 小道:「いや、あやつはもっと手っ取り早い方法を求めた」


 柳田:「手っ取り早い方法?」


 小道:「強力な悪霊や浮遊霊から霊力を奪い取り

    急速に力を取り戻していった

    その後、我が眠っていた数百年の間に

    元の力を上回る強大な霊力を手に入れたのじゃ」


 柳田:「何のためにそんな力を・・・」


 小道:「あやつはまだ神になることを諦めておらんのかもしれん

    今では沢山の手下を従え、一部の人間からは

    悪魔王などと呼ばれて調子に乗っておるようじゃ」


勘兵衛:「!!! 悪魔王だと!?」


カリン:「勘兵衛、それって私達が捕まえた悪霊が言ってた奴だよね」


勘兵衛:「ああ、デタラメだと思っていたが、まさか実在したとはな」 

 

 小道:「野風のやつは更に力を得ようとしておる

    そこの子供らを連れ去ろうとしたのもその為じゃろう」

 

 柳田:「では鬼燕は翔太と優太の霊力を奪い

    野風に与えようとしていたってことか」


 小道:「うむ、ただ霊力を奪うだけでなく霊体そのものを取り込んで

    自分の養分にしようとしておったのじゃろう」


 翔太:「え! じゃあ俺達食われちゃうところだったの?」


 小道:「そうじゃな、危ないところじゃったな」


 優太:「兄ちゃん、怖いよ」


 柳田:「鬼燕の奴はまだ諦めて無さそうだったな

    必ず手に入れると言っていたし恐らくまたここに来るだろう」


 翔太:「嫌だよそんなの、どうにかならないの?」


 柳田:「小道、お前がこの二人を守ってやることは出来ないだろうか?」


 小道:「鬼燕とやら一人だけなら我にも対応できるじゃろうが

    同格の仲間を何体も連れて来られると流石に厳しいのう

    それにもし野風が自ら出て来たらひとたまりもないじゃろう」


 優太:「えぇ〜、兄ちゃん俺達どうすれば良いの?」


 翔太:「そんなこと言っても・・・・」


 柳田:「・・・仕方ない、お前達私の研究室に来るか?」


翔太・優太:「え?」


 柳田:「私の研究室ならやつらにバレていないからな

    ここから距離もあるし、すぐには見つからないだろう」


 翔太:「俺達が行ってもいいの?」


 柳田:「あぁ、勘兵衛とカリンも居るからな、何かあっても対応できるだろう」


 優太:「兄ちゃん俺、そこに行きたい」


 翔太:「そうだな、じゃあ柳田達について行くよ」


 柳田:「柳田”は・か・せ”と呼べ、”博士”と、分かったか?」


 翔太:「わ、分かったよ柳田・・・博士」


 柳田:「よし、で、あんたはどうするんだ、小道」


 小道:「どう、とは?」


 柳田:「またあいつらが来たら巻き込まれるかもしれんだろ

    良かったらあんたも一緒に来ないか?」


 小道:「心配無用じゃ、我一人であれば身を隠すことも容易い

    割とこの場所を気に入っておってな、せっかくじゃが

    遠慮しておくとしよう」


 柳田:「そうか、分かった・・・じゃあ、翔太と優太はこの中に入ってもらうぞ」


 

そう言うと柳田はアタッシュケースから2つのタマシーキャッチャーを取り出した。



 翔太:「え、何この玉? こんな小さいのに入れるの?」


 柳田:「もちろんだ、これはタマシーキャッチャーと言って

    私が開発した画期的なアイテムでな────」


カリン:「センセー、もう自慢は良いから早く」


 柳田:「・・・・分かった、翔太じゃあ行くぞ」

 

 翔太:「え? う、うん」



柳田がキャッチボタンを押すと、翔太の身体がタマシーキャッチャーの中に吸い込まれた。



 翔太:「う、うわぁ〜っ!」


 優太:「兄ちゃん! 大丈夫!?」


 翔太:「ああ、ちょっと驚いたけど大丈夫だ、それよりここ凄く居心地が良いな

    あの落ち武者の人形より快適だぞ」


 柳田:「それはそうだろう、なにせ天才であるこの私が─────」


カリン:「センセー・・・」


 柳田:「分かってる、分ーかってるよ、よし優太次はお前だ

    なに心配はいらん、勘兵衛もカリンも同じものに入っているのだからな」


 優太:「え、勘兵衛そうなの?」


勘兵衛:「あぁ、そうだ、そのおかげでこの身体を手に入れることが出来たんだ」


 優太:「ホント? じゃあ俺もそれに入ればロボットになれる?」


勘兵衛:「もちろん、柳田がお前にピッタリの身体を用意してくれるさ」


 優太:「わかった、じゃあ俺も入る!」



そのとき、小道が何かを思い出したように言った



 小道:「待て、その前にお前達二人にこれを渡しておこう」


 優太:「なにこれ? 御札?」


 小道:「うむ、その札には転移の秘術が掛けてある

    もし先程の奴らがお主達の居場所を嗅ぎつけて襲って来たなら

    その札に向かって我を呼ぶが良い

    一瞬でお主たちの元へと転移するでの」


 優太:「うん、ありがとう小道」


 小道:「小道”お姉ちゃん”と呼ぶが良い」


 優太:「わ、分かったよ、小道・・・・お、お姉ちゃん」


 小道:「うむ!」


カリン:「なんか、さっき見たなこの光景・・・」


 柳田:「よし優太、じゃあ行くぞ」


 優太:「う、うん」



バシュゥーッ! 優太の身体がタマシーキャッチャーに吸い込まれた。



 柳田:「これでひとまず一件落着だな、じゃあ帰るとするか

    小道、世話になったな」


 小道:「良い良い、気にするな、ではまたの」


カリン:「うん、またねー よし、帰ろ帰ろ」


勘兵衛:「そうだな・・・・・ん? いや、何か忘れておらぬか?」


カリン:「え、何も忘れて無いと思うけど」


 柳田:「そうだな、特に何も─────」


 古橋:「ちょっと皆さん! 僕を置いて行くなんて酷いですよ!」


 柳田:「あぁ、そういえば・・・・お前どこに居たんだ?」


 古橋:「ホントに酷いなぁ、先輩が離れてろって言うから

    あっちの物陰に隠れていたんですよ!」


 柳田:「そうだったな、すまんすまん、完全に忘れてた」


 古橋:「全然悪いと思ってるように聞こえないんだよなぁ・・・はい、先輩コレ」



古橋が柳田に何かを手渡した。



 柳田:「あ、タマシーレーダーじゃないか、お前が持ってたのか」


 古橋:「そんな大事なものを忘れるなんて、先輩らしくないですねぇ」


 柳田:「まぁ、それどころじゃなかったからな・・・」


カリン:「そういえばずっと気になってたんだけどさ

    なんでそのレーダーに私と勘兵衛は映らないの?」


 柳田:「あれ? 説明してなかったか? お前達は除外登録してあるんだよ」


カリン:「え? どういうこと?」


 柳田:「いちいちお前達が映ってしまったら紛らわしいだろう?

    だからお前達の霊力の波動を登録して映らないように

    設定してたってことだ」


カリン:「そんな機能があったんだ、意外に高性能なんだね・・・」


 柳田:「そうだろう、もっと褒めてくれて良いんだぞ

    何しろ天才であるこの─────」


カリン:「あー、はいはい分かったから、もう帰るよ」


古橋:「そうですねー、皆さんお疲れ様でしたー

    さっさと田沢さんに報告して帰りますよー」


勘兵衛:「なんか、柳田の扱いがだんだん雑になっていくな」


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