表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
触れる罪〜殺人に同行する女〜  作者: 後星/畑中葵
触れる罪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/12

オリオンよ、僕を狩ってくれ

「昴?友達からお土産貰ったんだけど、起きてる?入るよ」


ある日、朔良はお盆にお茶とお菓子をのせ、昴の部屋のドアを開けた。

ベッドの上で小さく丸まって座る昴が目に入った。


「良かった、起きてて。じゃーん、生八ツ橋ゲット〜!朔良はニッキが好きだから、昴は...」


「朔良...」


荒い息遣いが、朔良の声を遮った。

シャツが汗で濡れているのが見てとれた。


「どうしたの?汗びっしょりだけど」


「大丈夫だ。お菓子はあとで食べるから......置いといてくれ」

昴はうずくまり、両腕を抱え込んだ。

その時、袖の隙間から――

左手首の傷が見えた。


「左の手首、どうしたの?」

朔良は手を伸ばした。


「ちょっと転んだだけだ」

昴は慌てて手首を隠した。


「なら何で見せてくれないの?困ったときは朔良が力になるって言ったよね」

朔良は真剣な目で昴を見つめた。彼の髪は乱れ、顔には汗がにじんでいた。今まで見た事のない昴の姿であった。


「だから...困ってないって...」

昴はかたくなに彼の手首を見せようとしなかった。


「もう...ちょっと見るよ」

朔良は彼の腕を引き寄せ、手首を見た。

そこには、何度も刃物で切ったような跡があった。



「昴...死にたいの?」



思わず口から出た言葉だった。

数秒の沈黙。


「朔良、前にしたオリオンの話......覚えてるか?」

昴がポツリとつぶやいた。


「今はその話じゃ...」


「朔良」


昴は朔良の声を遮り、壁に飾られた“オリオンの祈り”を見つめた。


「オリオン座が好きな理由が、もう一つあるんだ...」

昴は静かに続けた。


「オリオン座の右隣に牡牛座がある。その牡牛座の背にあたる部分に“プレアデス星団”という星の集まりがある」


「プレアデス...星団...?」


「あぁ和名は“昴”。僕の名前だ」

「オリオンは、まるで僕に弓を引いているように見えるだろ?」


「えぇ......まぁ」


「それが......僕にはずっと、オリオンに狩られているいる気分なんだ。オリオンが僕を狩ってくれないかなって」


慰める言葉も、反論する言葉も、朔良は何も言えなかった。


ただ――

彼を助けたいと思った。

誰かを幸せにするために使うと誓った“力”で――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ