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触れる罪〜殺人に同行する女〜  作者: 後星/畑中葵
触れる罪

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8/12

愛する人に殺される幸せ

影山朔良は幼い頃から絵を描く事が好きだった。

初めて描いたのは、家の目の前の公園に咲く向日葵の絵。

夏になると毎年咲くその花が、彼女は大好きだった。

描いた絵を親に見せると「上手いね」「よく描けたね」と褒めてもらえるのが嬉しかった。


中学校では美術部に入部した。植物だけではなく、周囲の人の似顔絵を描くのも好きになった。

高校でも美術部に入部した。当時好きだったアニメキャラの模写に夢中になった。

大学に入学しても美術部に入部した。その年の新入部員は朔良ともう1人の男だけだった。

2人は共通の絵を描く趣味で瞬く間に仲良くなった。


彼は名は―霧島昴。


「朔良、僕の絵を見てくれないか?」

昴が自分の描いた絵を指さしながら呼んだ。


「作品、完成したの?見たい」

朔良は絵を描いていた手を止め、昴の絵を覗き込んだ。そこには、年配の狩人の男性が描かれていた。


「題名は“オリオンの祈り”」


「オリオンって、あの冬の星の?えっと...ベテルギウスと...」

朔良が記憶をたどると、昴は静かに言った。


「ベテルギウスとリゲル、だよ」

「あぁ、それ。だから右肩付近に赤、左足付近に青を入れたのね」

「そう。朔良、オリオンの神話、知ってるか?」

「ううん、何それ?」

昴はゆっくりと語り始めた。



オリオンは背が高く、強く、美しく、そして自他共に認める世界一の狩人だった。

だが、乱暴な性格で周囲を困らせることも多かった。

ある日、狩りの女神アルテミスがオリオンに惹かれ、2人は仲良く狩りをするようになった。

しかし、アルテミスの兄・アポロンはこの関係を嫌い、海に浮かぶ小さな黒い点を指して「遠くのあれを射抜けるか」妹に挑戦させた。

アルテミスが矢を放つとーーその黒い点はオリオンの頭だった。

愛する人を射殺してしまったアルテミスは深く悲しみ、ゼウスに頼んでオリオンを星座として夜空に残した。


話し終えると、朔良は言葉を失った。


「悲しい話ね」


「いや、僕はこの話が好きなんだ」

昴は朔良をじっと見つめた。


「オリオンの結末がってこと?」


「あぁ。愛する人に殺される。僕は幸せな事だと思うんだ」

そう言い、昴は微笑んだ。

この時の朔良には、その微笑みの意味が分からなかった。



出会ってから1年、2人は自然と惹かれあい、交際を始めた。

更に1年後、同棲を始めた。


最初は幸せそのものだった。

しかし、少しずつ綻びが生じ始める。

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