急成長
キリジャロの街から視察が来た。
街の代表代行らしい。
「代行とつくだけで一応はそこらの領主と同じようなことをしておりますがね」
街の最高権力はドゴールにあるとされているからのようだ。
ドゴールを立てるためにも自ら代行と名乗るとのこと。
「その方が他国に舐められなくていいんですよ
うちみたいな小国もどきは大変なんです」
キリジャロはどこにも属さない領地。
扱いは国と同じだがまともな軍隊などが存在しない。
攻め込まれたりしたらなすすべなくやられてしまう。
だからドゴールの力を借りている。
虎の威を借る狐ではないが似たようなものだ。
竜の威を借るとでも言うべきだろう。
「ただで貸しているわけではないぞ
対価はもらっている」
食料とかか?
「そうだ
生きるためには必要だからな
他にも住居を提供されている」
……思ったよりも普通だな。
生贄をよこせとか言うもんだと思っていた。
「だってあんなのもらっても扱いに困るもん」
「……昔ありましたねぇ
会話の行き違いで勘違いしてしまったんでしたっけ?
今では懐かしい思い出になりましたよ」
色々あったんだな。
長く生きてるってすごいよな。
おとぎ話で聞くようなことをリアルタイムで見てるんだもんな。
私の名はシグマ。
しがない領主代行だ。
今日はドゴール様のお誘いで街の外にいる。
出張なんて久しぶりだ。
最近はずっと街の中で往復していたからな。
さて話を変えよう。
今私はランド・ラー・ドラッチェにいる。
噂の国だ。
発展が著しく今後の世界の要となりうることが確実視されている。
だから商人たちはどうにかして交流をしようとしていた。
だが簡単にはいかない。
場所がアレなのだ。
「どこの誰が精霊の大地に街を作るんだよ
戦場地帯じゃないのか」
戦争に巻き込まれることを想定していないのだろうか?
だとしたら相当の間抜けだぞ。
代表なら領民を第一で考えるべきだろう。
しかもその領民の中にはうちの優秀な人材たちもいる。
民間でやらせていたことだから私が介入はできないのだが嫌われてはなかったと思う。
ただ彼らの職場の責任者がバカだったのだ。
まさか自分から首を絞めるとはな。
元々あまり評判は良くなかったのだがな。
こんな結末になるとは思わなかっただろうな。
こんなことを放置していた前任者は始末するべきかもしれない。
「……考えても無駄かもな
腹が立ってくる」
起きてしまったことをずっと振り返っていたって仕方ない。
そろそろ未来を見なければ。
「うんよし」
今目の前には街が広がっている。
しかもどこも綺麗に整備されている。
道は舗装されているし花壇なんかがあったりする。
住宅は少ないがどれも立派だ。
舗装された道沿いには鍛冶屋もある。
商店街でも作るのだろう。
「なんと言うか都会だよな」
自分の街と比べるとかなり落ち込む。
聞いていた話と違うせいだろうか?
「農村だって言ってたもんな、ドゴール様………」
どう見ても都会だ。
畑はちゃんとあるがな。
「これが急成長ってやつかな」
これにうちの人材が絡んでいるならそれはそれで嬉しいか。
うん。
忙しいってやだな




