街の整備に力を入れる日々のはずでした
役所の建築はかなり進んだ。
高さは三階建。
骨組みが組まれ屋根も被せられている。
完成はかなり近そうだ。
……それはそうとして俺は畑に向かう。
大通りのすぐ西に作ったほうだ。
移住者達に任せるつもりだったがみんなブドウ農園の方を手伝いに行った。
農園自体も今より広くなるので人手は多いほうが良いだろう。
「……ただなぁ、こっちに一人もいないのはどうかと思うがなぁ」
彼らも悪意があるわけではないしサボりたいわけでもない。
ただ現在必要とされているとこに行っただけなのだ。
それでも俺一人だと作業も進まない。
特に水やり。
機械なんてものここにはないし俺は魔法も使えない。
水路と畑をずっと行ったり来たりしている。
これだけのことで1日が潰れていく。
「五十人も受け入れたばかりだが追加で何十人か来てほしいな」
今すぐにだ。
体力がどれだけあっても持つ気がしない。
翌日。
雨が降っている。
畑に水をやる必要がない。
やったね。
「それは置いといてだ………」
雨の日は外に出ないのでやれることが少ない。
建築部隊も休憩している。
だから俺はシャルロッテと錬金術について話すことにした。
「……なんかすごかった」
いろんなものが溶けたり光ったりしていた。
炎色反応みたいなものだろうか。
原理はわからないが面白かった。
小学生の時にやった理科の実験と同じ気持ちだ。
懐かしさすら感じてしまう。
歳をとったと実感するのはちょっと辛い。
「老後くらい誰にも迷惑をかけたくものだよなぁ」
「あなた死なないじゃないの」
「そうだがなぁ
歳をとるに連れてこんなことを言って見たりしたくなるもんなんだよ」
「何それ」
シャルロッテにも笑われてしまったか。
自分でも何を言っているのかわからなくなってきた気がする。
今日くらいはゆっくり休むとしよう。
夜。
ドゴールがやってきた。
問題ごとと一緒に。
キリジャロの街の領主が苦言を伝えてきたらしい。
内容は簡単。
優秀な人材達を引き抜かないでほしいとのことだ。
………わざとではないのだが申し訳なく思う。
引き抜いたつもりはなかったのだが彼らが戻ることを要求するならそのようにしよう。
あまり揉め事を起こしたくない。
「戻る気はありませんよ」
……聞いていたのか。
「私を含め皆戻るなんて選択肢は持っておりませんよ」
カルナがそういうのか。
ならばそうなんだろうな。
「だが苦言についてはどうしたものか……」
無視するのもなぁ。
「いえ、無視でいいかと思います
領主には申し訳ないですが責任者がクソだったので」
クソって………。
よっぽどだったんだな。
顔が笑えてないぞ。
……まぁそれでいいのかな。
「いいでしょう
今はそれ以外は手段がないわよ」
だよな。
無視しようか。
シャルロッテもカルナもドゴールも言ってきた。
ならば正解だろう。
五十話になりました




