鍛治集団の帰還
エルナス率いる鍛治集団が帰ってきた。
みんなホクホク顔だ。
「聞いてください
魔水晶があったんですよ
それもかなり大きい鉱脈で………」
「うん、わかったわかった」
嬉しいのはわかる。
だがちょっと興奮しすぎじゃないか?
「無理もないわよ
魔水晶は魔道具を作るのに優秀なんだから」
魔石とは何か違うのか?
「基本は同じよ
ただ魔石が大きくなっただけよ」
それだけか。
「えぇ
でも大きければ大きいほど大型の魔道具が作れるようになるの
三十センチもあればこの街全体を覆うような結界を張れるわ」
なるほど。
そんなものの鉱脈があったからあんなに喜んでいるのか。
「価値が違うからね
魔石なんかじゃ相手にもならないわよ」
そうか。
外貨を獲得するにはいいかもしれないが建築に使えるような者じゃないのはちょっと残念だ。
屋根を作るための銅を期待していたのだがな。
まぁ、買えばいいか。
「今日はみんなで宴会でもするとしよう」
翌日。
エルナスは魔水晶を砕いていた。
それも泣きながらだ。
「……魔水晶って砕いたら魔石と同じように使えるんです
ドゴール様に頼んでいた魔石は来ないのでこうやって砕いて代用するしかないんですよ」
街灯のためか。
魔水晶を売って魔石を買うなんておかしな話だもんな。
「……こればかりは仕方ないって分かってます
別に掘ればいっぱいあるんです
それでも心が痛むんですよ」
……気持ちはわかるぞ。
上位品で粗悪品を作るようなものだろう。
「はい」
それでも手を止めないエルナスは職人として一流だろう。
頼まれた任務をこなすためにいろんなものを犠牲にしている。
あとでご褒美をあげないとな。
鍛冶屋を出た俺はブドウ農園に向かった。
実はどれも紫に色付いている。
収穫は近いだろう。
ウルディアに任せていた樽もかなりできている。
……あっ!!
保管場所はどうしようか。
日光の当たらない冷暗所が必要だ。
そんだところこの街にはない。
「………作るか」
場所はいっぱいある。
利便性を踏まえた上でこのブドウ農園の一角に作るべきだろう。
カルナ達は役所の方をやっているから戦力としては期待できない。
それにこれについては俺が始めたことだ。
でも空いていることだし自分でやることにする。
思い切ってコンビニサイズにチャレンジする。
中を冷やすのは魔道具でどうにかなるだろうか?
「シャルロッテにでも頼むか」
自分で作るワインセラーとか夢があるよなぁ。
「………はぁ
おかえり」
………家に帰るとシャルロッテが落ち込んでいた。
「だってね、魔水晶が……」
うん知ってた。
価値を知るものは皆同じのようだ。




