流浪者とワインの話
受け入れる流浪者についての報告も受けた。
数は五十人ほど。
元は一つの村に暮らしていたようだが魔物に襲撃されて逃げてきたらしい。
その際に、ドゴールが働ける流浪者を探していることを聞きキリジャロの町まで遥々やってきたとのこと。
「今は最低限の教養を持たせるために勉強をさせております
皆健康なのですぐに働くことができると思います」
「わかった
そちらの準備が整い次第移動を始めてくれ」
こちらの準備はできている。
食料もなんとかしている。
「ドゴールには迷惑ばかりかけてしまうな」
いつか借りは返したい。
シャルロッテあたりに好みを聞いてみるべきだろうか?
なんにせよタダ働きにならないようにする。
ワインの話に戻ろう。
樽だ。
この街の木工職人を尋ねに行く。
名はウルディア。
キリジャロではそこそこなの知れた家具職人だったらしい。
「ここにきたのは気分を変えるためです」
……聞くと家賃をめぐって争ったらしい。
「あいつらひどいんですよ
俺が稼いでいるって知ったらすぐに家賃を上げてきやがったんですよ‼︎
安心してまともな生活が送れないったらありゃしない」
大変だな。
……家賃か。
安心しろ。
この街なら働いている限りはタダで過ごせるからな。
「……税金などはどうなるのですか?」
………考えてもなかったな。
「うぅ〜ん、……この街がもう少し大きくなったら考えようか」
今の状態で税を取ろうと考えても無理だろう。
誰もお金を持っていないからだ。
「やはりこの街を大きくしないことにはできないことが多いなぁ」
焦りはいけない。
だが進歩をして行かないといけないのだ。
樽の話に戻る。
……俺がいる必要はなかった。
ウルディアの仕事が早い。
俺が手を出しても邪魔なだけだろう。
だから俺は別のことをやることにした。
街の大通りにウルディアの店を作るのだ。
住居と工場も併設された大型のものだ。
特に要求があったわけではないがお礼としてプレゼントしたい。
タダ働きはさせない主義だからだ。
場所は鍛冶屋の隣。
コンビニサイズの二階建てだ。
資材はあるのであとは作るだけ。
基礎工事は軽くやっていたのでスムーズに進む。
カルナ達の協力もあり三日ほどで完成した。
内装はウルディアに任せる。
「……こんないいものをもらってしまっていいのですか?」
あぁ、構わない。
今回のことはそれだけの価値がある仕事だった。
ウルディアはすぐに駆け出してしまった。
内装に手を入れるのだろう。
「商店が増えるとかなり街らしくなるわね
もう昔の面影も無くなってきたわ」
今ある村だった頃の名残は俺たちの住む家だけ。
みんな開拓の邪魔で解体してしまった。
「ちょっと寂しい気もするな」
悪いことではないのだがな。
思い出がだんだん無くなっていくのだ。
「また一緒にデートでもいきましょ」
思い出がなくなるなら増やせばいいだけだ。
「あぁ」




