何も考えないことを考える
叔母からのチクリとした釘をさされ、今は自室に戻ってきた。学校からの課題は終わらせているし、予習も復習もやる気は起きない。ベッドにゴロゴロと横になっている。頭の中は空っぽにして、何も考えない。
メンタルトレーニングの一環として、何を考えるか考える、をしている。私の場合は頭の中にテレビを思い浮かべて、音もなくテレビを消すことを考える。その内にテレビそのものが消えてなくなり、文字通り意識が虚無に沈むのだ。
真っ暗な思考の中で何をしたいかを順番に思い描く。
まずはやはり、奥野康太との接点の解消。拒絶ではあとから支障があるかもしれないから、解消もしくは消失が一番いいだろう。
どのようにするか。
片山教諭に今回は丸投げするつもりだ。彼がどんな考えを持っているのか、貫くつもりなのか、全く分からないので片山教諭に聞き出してもらい、対策を練る。もちろん、片山教諭に言われたことですんなりといくなら尚よい。
差し当たっての問題となるのは、寮での関係性か。
だが、ただの寮生同士ならば特別なにかをしなければならない、ということもない。なんとも気楽なものだ。
というわけで、現在今すぐにでも何かをしなければならない、というわけじゃない。有り体に言って暇である。
すり、と体に指が這う。
この手は誰の手であろうか。誰の手であってほしいのか。
さちのみがいる部屋で静かな寝息がたつまで、そうかからなかった。高田さちの見る夢が穏やかであることを一部の大人たちだけが願っている。
小さな小さな幸せは、叶わない。




