アルバイト採用
「すみません、すっかり休んでしまいました」
「大丈夫よぉ。休めたなら何よりだわ」
「飲み物もらってもいいですか?」
「どうぞ。冷蔵庫にお茶やジュースがあるから、好きなもの飲んでね」
「奥野、くんだよね。りこの彼氏だった」
「え?あ、うん。確かりこの友だちの・・・・さちさん?」
「高田さちです」
「よろしく。俺のことは康太って呼んでよ」
奥野くんはジュースを取り出しながら笑いかけた。何がそんなに楽しいのだろうか。
「奥野くんは、なんでこの学校に?りことは違う学校だよね」
「寮のある学校に行きたくてね」
ここでなくてもいいのではないだろうか。
「さちさんはなんでここに?」
「あの街から離れようと思ったから、かな」
「ふ〜ん」
何だろうか。この何とも言えない感情は。この男は、わざわざりこと離れて何をしたかったのだ。
「奥野くん、これさちちゃんが今作ってくれたんだけど、少し食べてみない?」
「ありがとうございます。これは・・・・?」
「中に枝豆とチーズを入れて、揚げたものよ」
「ほんとだ!美味しいね、これ」
さくさくと食べてしまった。なんだろうか、この男は。こんなやつだったのか?
こんな男が私とりこの時間を奪っていたのか?
私はモヤモヤとした思いが燻っていくのを感じた。
「さちちゃん、アルバイトとかするつもりある?」
「・・・高校生になったし、どこかでやりたいとは思ってます。でもまだ探してないですね」
「それなら、ここで私の補助をしてくれないかしら?買い物や調理の補助。基本的な確認は私がするから、そんなに難しいことは言わないわよ」
「えっと、やるのは買い物と料理の手伝いだけでいいんですか?」
「そうね、基本的には。慣れてきたらごはんの一品を任せる、とかもあるかもしれないわ。時給というより、日給にした方がよさそうね」
「やります。やらせてください」
「ありがと〜。これであのおつまみレベルの物が食べられるわぁ」
採用基準、そこだったのか。




