寮へ
お母さんやりこのおばさん、りこにも挨拶をして私はずっと住んでた街を出た。電車で移動して、高校のある最寄り駅までやってきた。
スマホで高校の場所も確認しながら寮に向かっていった。そうして寮に着いた所で後ろからやってくる人に気がついた。この寮の人だろうか?
道を譲ろうと顔を上げたとき、その人物がわかった。
奥野。りこの彼氏。
なぜここに、という疑問は出た。だがそれ以上に会いたくもない人物に会ってしまった苦い味が口のなかに広がった。
お母さんに聞いた通りに101号室、寮監室へ行くと私の叔母に当たる人が出迎えてくれた。
「はーい、長旅ごくろうさまぁ。高田さちちゃんと奥野康太くんね?部屋に荷物は運んであるから、少しゆっくりしてね。お茶やジュースが欲しかったらここにもあるし、近くにスーパーもあるからね。明日から忙しいわよぉ」
「忙しい、ですか?」
「そうよ。2人がまずやるべきなのは制服の採寸ね。それと本屋さんで教科書を揃えて、その他にも色んな雑貨を買ってこないと。人1人が住む場所を変えるって大変なのよ?」
そうなのか、と納得し私は少し部屋で休憩することにした。部屋は102号室。鍵を受け取って中に入ると、私の荷物が置かれ、壁際には簡易な家具もそろっていた。
本棚やテーブル、ベッドまで。ベッドのシーツは清潔だったので、そのまま少し横になった。
遠くまで、来た。のではと思う。電車で1時間以上。県をまたいで移動して、駅からもここまで寄り道しながら、それなりに歩いてきた。洗いたてのシーツの香りをかぎながら、私は少しだけ眠ることにした。
ふと目を覚ませば1時間ほど経っていた。夢は見ていない。外はもう少しで夕暮れに染まるだろうか。寮監室でお茶を貰おう、と101号室へ向かった。
「あらさちちゃん。少しは休めた?」
「はい、お茶をもらってもいいでしょうか?」
「もちろんよ。冷蔵庫にペットボトルがあるから、好きなの選んでねぇ」
冷蔵庫の中を見ると大きなお茶のペットボトルがあったので、それを貰うことにした。喉が渇いていたので、ペットボトルを取り出して一杯注いですぐに飲み干し、また一杯ついでテーブルにつかせてもらった。
冷蔵庫の中は食材が沢山入っていた。寮生の食事もこの人が作るのだろうか?
「あの、叔母さん、でいいんでしょうか?」
「ええ、そうよ。あなたのお母さんは私の姉だから、叔母姪の関係であってるわぁ」
「寮生の食事は叔母さんが作るんですか?」
「そうよ。私栄養士の資格も持ってるからねぇ。学校からの委託っていう形で寮監兼調理師として雇われてるの」
「その、料理をするところ、見ててもいいですか?」




