荷造り
髪はぐちゃぐちゃ、力を込めすぎた指の爪ははがれかけて血だらけ。そんな有様で叫ぶ私はさぞやヒステリックに映っただろう。教室では私のことを腫れ物に触るような、嫌な雰囲気が流れた。
だがそれもすぐに卒業式になり気にすることはなかった。学校では卒業のための準備、家では料理や掃除などの家事をお母さんに教わりつつ、やっと卒業の日を迎えた。
精神科のお医者さんからは一気に環境が変わることで心身に影響が出るかもしれないので決して無理はしないように、と言われた。
りこにも挨拶をして、私は荷造りを進めていた。とはいえだ、それほど荷物は多くない。衣類に筆記用具、スマホや周辺アクセサリ、あとは財布くらいか。授業で使うテキストなどは入学前に進学先の学校近くの書店で買うので衣類も元々それほど多い訳ではないのだ。りこと一緒に買いに行った服は置いていくことにした。りこの思い出は心の中だけでも十分だから。
最後にこれまでつけていた日記は一応持っていくことにして、荷造りを終わらせた。この荷物も先に寮まで郵送するので、初日は寮までほとんど手ぶらで行くことが出来る。
それと、お金に関してはお母さんと叔母さんに必ず相談することになった。大金を子どもに預けるわけにはいかない、というのもあるが大人と話す機会を増やしたかったんじゃないかと思う。
これで本格的にここともお別れだ。りこと離れるのも辛いがお母さんたちとの別れだって平気なわけじゃない。何よりはじめての一人暮らしだ。頼れる人はいるとはいえ不安があるのは確か。
それでも、りことりこの彼氏と距離を置けることで私は安定できるのではないかと思った。特に彼氏の奥野とは、なぜだか顔も合わせたくなかった。




