根源
まともに眠れなくなってどれくらい経っただろうか。
新しい進学先からは合格の返事をもらい、少し気が抜けたのだと思う。
教室でうとうとと微睡んでいた。少なくとも意識は薄く、体が動かなかった。そんな時は無駄に耳がよくなってしまう。
「うわー、こいつと同じ高校行くのかよ」
「まじないわー、死んでくれない?」
その言葉だけが耳に届いた。すると頭にはりこが亡くなった時の記憶が一瞬で流れた。これがフラッシュバックというのだと後で知った。
声のする方を向くと何が楽しいのか「しーね」「しーね」と1人の男子生徒を囲んで数人が死ねと繰り返していた。その姿を見て、無性に腹が立った。
人が死ぬことはそんなに簡単なのだろうか。
人が死ぬことがそんなに楽しいのだろうか。
私はりこともっと、ずっといたかったのに、叶わなかった。
それを否定されたような、土足で踏みにじられたようで重たい体を突き動かした。
その集団に近付いて、近くにいた女生徒の顔を殴った。
それだけであたりは静かになった。しん、とした空間に私の声だけが響いた。
「私の前で命を馬鹿にするんじゃないっ・・・・!」
「な、なにすんのよ、あんた!」
「あんたたちの声が耳障りなのよ。一番うるさいアンタが黙れば、こうやって静かになるじゃない」
周りを囲んでいた男子に混ざっていた女子が立ち上がりながら文句を言っていた。でもそれでも周りは動かない。
「あんたたち、何ぼさっとしてんのよ!こいつを殴りなさいよ!」
「お、おう」
手を伸ばしてきた男子の手首を掴んで爪を立てる。肉を引きちぎるように力を込めると男子も近づかなくなった。その後私は職員室に呼ばれ、事のあらましを全て伝えるのだった。




