緊急事態
「ナイスディフェンス」
冴島から声をかけられる。
続くオフェンス。冴島が外でボールを持ち、ドリブルでディフェンスとのズレを作りリングへアタック。ヘルプはインサイドの2枚。ディフェンスと接触しながら冴島はレイアップを放ち、外す。珍しいとは思ったが冴島でもたまにはあるだろう。東三河はリバウンドを拾いすぐに速攻を出す。島江が運び金木にパス。金木はドリブルを1つつきシュートフェイクから島江に戻す。島江がミドルシュートを成功させる。47-51。
そしてここで笛がなる。何のファウルかと思い振り向くと冴島が倒れていた。
「冴島さん!」
急いで駆け寄ると冴島は左足を押さえていた。笛はレフェリータイムだった。
「大丈夫ですか!?」
「悪い……大和。足、捻ったみたいだ」
冴島は大粒の汗をかいていた。どうやらレイアップを放った後、ディフェンスの足を踏んでしまったようだ。
俺は冴島に肩をかし、伊田と2人で冴島をベンチに運ぶ。
「大和、すまん……。任せるぞ」
冴島は俯いたまま俺に話しかける。かなり痛そうだった。冴島のこんな姿は見た事がない。
「冴島!」
監督やチームメイトが声をかけるが冴島は応えられない。ベンチにすわり左足を押さえる。
突然のアクシデント。交代には石山が入る。皆気が動転していた。冨田ですらも平常心ではない。俺は深呼吸し、話す。
「冨田、俺にガンガン回せ。絶対勝つぞ」
冨田は俺を見つめ、頷く。




