PGvsエース
結局俺はあれから1本もまともに攻められずその日の練習を終えた。やはりしっかり組み合った状態からの1on1で冴島相手に得点するのは困難だ。冨田が言っていたように、俺がPGでもそこを攻めるのは避ける。しかしそうは言っていられない。なんとか得点出来るようにならなければ。
合宿4日目の朝。折り返し地点で疲労はピークに達する。いつものそれほどキツくない練習も辛く、長く感じる。
「お前ら、楽しんでやれよ!」
北村コーチから檄が飛ぶ。俺達、特に1年生に楽しむ余裕はなかった。ただ1人を除いて。
「1年生声出てないぞ!頑張ろうぜ!」
冨田だった。この小さな体のどこにそんな体力があるのか。恐らく2年生を含めても1番元気がある。
「大和!ぼーっとしてんなよ!」
「してねえよ」
笑いを誘い雰囲気を明るくする。こういう人間がいると、キャプテンは楽だろう。
午前練習を終え、いつもの冴島との1on1。今日は富田も参加し、交互にオフェンスをする。まずは冨田のオフェンス。スリーポイントラインの外でボールを渡されいきなりステップバック、顔を上げリングを見つめ左にドライブ。冴島はなんとかついていく。
「さすがっすねー」
冨田は一旦止まり後に下がる。
「お前の得意技だろ、簡単にやらすかよ」
冨田には余裕が感じられた。冨田には絶対的なハンドリングスキルとスピードがある。冴島も強くプレッシャーをかけられない。
冨田は体勢を低くしレッグスルーをしながらゆっくり進み、ドリブルが左手に移った瞬間左にドライブ。冴島に体を当て、ステップバック、また顔を上げリングを見ながら右にクロスオーバー。その鋭さに冴島は反応が遅れる。冨田はそれを見逃さずリングにアタック。左手でブロックをガードしながらレイアップを放つ。




