エースの本気
そこから冴島はギアを1つ上げる。ファウルスレスレのディフェンスで俺にプレッシャーを与える。俺はステップを思うように踏めず、軸足をズラしてしまう。
「トラベリングな」
「……ファウルじゃないんすか」
「いや、これくらいならとられないぞ」
これが冴島の本気だろうか。俺はまたボールを受け取りすぐにドリブルをつき後に下がる。右に進もうとするがコースに入られる。ターンすると再びプレッシャーをかけられボールを触られる。ボールを失いかけたがなんとか拾い、ドリブルを続ける。しかし前に進めない。冴島は的確にコースを塞ぎプレッシャーを与え続ける。思い切って真横に進み、そこからクロスオーバーで右に切り返したがドリブルの瞬間にボールを奪われる。
「甘い甘い」
冴島からボールを受け取りまたオフェンス。俺は冴島とボールの間に肩を入れボールをキープする。こうする事で冴島はプレッシャーをかけられない。顔を左に振りバックロールのフェイクを入れて左にドライブ。冴島はぴったりついてくる。そこから俺は左に1歩踏み出しステップバックシュート。冴島にしっかりチェックされシュートは外れる。
「逃げたな、大和」
見透かされていた。俺は疲労と冴島のプレッシャーから逃げたくてステップバックシュートを放ったのだ。
「逃げたらファウルも貰えないし、良い事ないぜ」
「……うす」
冴島と俺はタイプが違う。冴島はどんどんリングに向かってアタックし続け、ディフェンスが引いたらジャンプシュートも放つ。俺はどちらかと言えばミドルシュートが好きだ。しかしそれは言い訳にはならない。冴島から逃げてシュートを決めてもそれはまぐれだ。




