格の違い
「お前のオフェンスだけだ。次もガンガン向かってこい」
冴島からボールを渡され、再び俺のオフェンス。
俺はしばらく考え、シュートフェイクから右にワンドリブル、冴島の反応を見て左にレッグスルーで切り返しドライブ。冴島がバックステップでついてきたのを見てジャンプシュートを放つ。が、ボールを触られエアーボールとなる。
「対応が遅いと反応されるぞ。判断を速くしろ」
その後も何度も冴島に挑むが、1度もシュートは決まらなかった。
20分ほどたち、俺が肩で息をし出す。
「そろそろメシ行こうぜ」
俺は限界だった。1度も抜けず、シュートは入らない。ストレスによる疲労は思いのほか大きかった。
顔を洗い、少し休んでから食堂に行くと冨田が食べているところだった。
「よう、どうだった」
冨田はニヤニヤしていた。
「お前、知ってて聞いてるだろ」
冨田は大笑いする。
「最初の3本見ただけだよ。やっぱり駄目だったみたいだな」
冨田はまだ笑っている。
「いやーしかし冴島さんはすげえよ、大和をあそこまで抑えられる選手いないって。あんまり気落とすなよ」
「……どうすりゃ勝てる」
俺は悔しかったが冨田に尋ねる。冨田のスキルなら冴島にも通用するところはある筈だ。
「俺なら勝負しない、かな」
「は?」
「試合だったら、だぞ。あの人のところは可能な限り攻めない」
冨田はPGらしい回答をした。だが俺はSG、ウイングの選手だ。ポジションを争っている以上、勝負しないという選択肢はない。
「どうしても勝負しなきゃいけない状況なら、うーん、どうすっかな。確率は低いけどロングスリー打つか、ドリブルで崩すしかないな」
ロングスリーは俺にはない。やはりドリブルで崩すしかないのだろうか。
「大和は俺程ハンドリング良くないけど、サイズがある。僅かなズレでシュートが打てる。まあ、頑張れよな」
冨田はちゃんとアドバイスをくれた。やはりこいつは頼りになる。だがやはり簡単ではない。冴島はそれだけのプレイヤーだ。
食事を済ませ、自由時間。少し休んでから俺は冨田とハンドリング強化メニューを行う。両方の手にボールを持ち冨田の指示でリズムを変えながらドリブルをつく。10分ほどやりまた休憩。午後の練習に備えてのんびり過ごす。




