オフ
翌日の朝、例の公園に3人で集まる。
「オフの日こそ、チャンスだ!」
冨田がいきなり大声を出す。
「は?」
「ライバルが休んでる間に鍛えるぞ!」
「は?」
「は?じゃねえよ。とにかく、休息も大事だけど他の選手が休んでる間に上達するぞ」
山里はケラケラ笑っていた。つられて俺達も笑う。
「まずはシュート力強化だな。ミドル100本イン、行くぞ」
まずは俺から。山里がボールを拾い、冨田がパスを出し、俺がシュートを打つ。
ひたすら打ち続け、100本入った頃には汗だくになっていた。
「はぁっ……はぁっ」
「ペース早すぎたな。ボール1個でやろう」
やはり。試合でそんなに連続でシュートを打つことはない。おそらく冨田は途中で気付いていた。だが俺をしごくためにあえてボール2個でやったのだろう。
「山里さんは50本ね。6号球は1個しかないし、のんびりやろう。大和リバウンド早くしろよ」
明らかに俺の時と態度が違った。俺はドリンクをもう一口飲みリバウンドに入る。冨田は、山里にはゆるいバウンドパスでシュートを打たせ、アドバイスしながら50本を終わらせる。
続いて冨田の順番だ。俺はめちゃくちゃなパスを出してやろうと考えていた。
「大和。真面目にやれよな」
「……わかってる」
読まれていた。
「あとパスはチェストパスとオーバーハンズとバウンドと織り交ぜてくれ。その方が練習になる」
冨田はふざけてやっているのかと思っていたが、意外と真剣なようだ。しかも冨田はスリーポイントラインの上に立っている。ミドルの練習だが、かなり遠い位置から狙うようだ。
俺はまずはチェストパスで冨田の胸に向かってボールを送る。冨田はステップを踏まずにボールをキャッチし、クイックリリースでシュートを放つ。ならばとオーバーハンズで冨田が届くかどうかの長いパスを出し、冨田は跳びながら手を伸ばしてボールをキャッチ。今度はシュートを外す。
「良いぞ。それくらい振ってくれ」
意地悪のつもりで出したパスがありがたがられてしまった。
それから俺は真面目に厳しいパスを出し、冨田は6割以上は決めていた。
「時間かかったな。やっぱパサーがいると違うわ、練習になる。ありがとな」
冨田が凄いのはわかってる。だが、改めて再認識した。前後左右に振られてボールを受け取り、これだけ決めるのは簡単ではない。そして、冨田のパスがいかに正確だったかを思い出す。寸分の狂いなくひたすら同じところへ出し続けるのも簡単ではない。




