邂逅の真実
詰め込んだので長め。
「…行っちゃった」
物語でしか見たことが無いような銀髪に紫眼の私の来世…いや、次の魂の持ち主が消えて直ぐに私の周りは色を失い真っ白く何もない空間になった。
此処は天国とか地獄とかの前段階で、魂の次の行先を決める所だと行き成り目の前に現れたフツメンお兄さんに説明されて自分の体からゴッソリ大事な何かを抜き取られた場所。
そこで抜き取った何か(多分それが魂)を不思議な光で包んで手品みたいな方法でどこかに移動させた後、特に目立つことをしたわけでも、悪い事をしたわけでもない私だけが残った。そんな私は砂漠の砂ほどある器の中から倍率出す意味あるのソレってぐらいに、ひぃぃぃっくい超レアな次の器を三角くじで当てたらしい。
大事な事なのでもう一度言う。三角くじで、当てたらしい。
一枚引いてね、とフツメンお兄さんからお祭りの出店でありそうな穴あき箱を差し出されて、懐かしいなとか思って引いてみればそれが次の魂の器を決める為とかありえない。
次の行先決める所って確かに言ったけど決め方軽くない!?あっれ器って大事じゃなかったっけ!?ってか前世が来世を決めるって有りなの!?
思わずそう叫んだ私にフツメンお兄さん事、案内人のラーグが前世の行いで来世が決まるって言ってる国の住人でしたよね?と呟いたのは聞こえないふりをした。って言うかさっきの方法で選ぶなら前世の事なんてまったく関係ないんじゃないかとラーグを見れば顔を逸らされた。おい。
でもたった今受けた衝撃は三角くじ以上だ。不意に感じた視線と感情に顔を向けてみればぴっちぴちの次の器の外見が見えた。なにあれ、綺麗と可愛いって相反するものじゃないの!?二次元が三次元になっても有りって初めて思ったわ!
最後の最後で見れた次の姿にガン見し、綻んだように笑った笑顔に頬がゆるゆるになった私は悪くない。
「何あの可愛さ!幼女にしたって綺麗可愛いってホントにあるのね、目が癒された!超眼福!!あれが次の私とか信じらんない!よくやった私!」
「正確に言うなら、貴女ではなく次の持ち主ですよ」
この場所に来てから何度か打ちひしがれた時とまったく違い、ひゃっほいとおかしなテンションの私に冷静に突っ込んできたラーグは、やれやれとでも言うように軽く肩をすくめてみせると少し間をあけてから、これでいいんですか?と聞いてきた。
これ、とは私の記憶の一部を次のあの子に見せた事。
実は引いた超レアくじには低確率な理由が頷ける要素が沢山入っていて、流石の私も次の子に土下座をしたくなった。多分一番打ちひしがれた瞬間だった…ってか私が引く箱にそんなもん入れんな!と落ち込む私にラーグが「このクジ、特別処置が付いていまして貴女の思う特典一つ付けれますよ」と言ったものだから、前世の記憶=私の記憶を見せる事を特典として頼んだ。
まぁ、決めるまでに色々悩んだけれど次の子の環境を聞いたら下手にチートとか付けるよりこっちの方が良いかと思ったからそれにした。すべて見せる事も最初は考えたが記憶の彼方に忘却した黒歴史が出て来た瞬間切り貼りしたものに即効変更してラーグにも忘れるように笑顔でお話しした。
「うん、いいわ。下手に私の記憶そのまま持ってっちゃうと“記憶持ち”じゃなくて“転生”になっちゃうんでしょ?あの姿の自分とか想像できない。無理。無理無理、絶対無理。」
「そこまでですか。まぁ、器の負担を最小限に抑え、時間をかけて見せたので魂と次の器は不安定ながらほぼ定着していますし“転生”ではなく…そうですね貴女の世界で言う“成り代わり”になりますね」
「ちょ、尚更駄目じゃない!!私のせいであの子の人格消えたとかになったら私が私を許せない!って事で、さっさと行くわよラーグ!ここにずっといたらあの子の、魂の定着とかいうのがずっと不安定なんでしょ!?私あの子に大丈夫って言っちゃったのよ、だからほら、早く仕事しなさいよ。案内人なんでしょ」
「え、ちょ、わ、押さないで下さ、っぶ」
白い空間のどこにぶつける要素があるのか、ばすんぼすんと音を発するラーグを盾にずんずん進んでいくのは消えたあの子と反対側の空間。歩きながら振り返れば最後に聞こえたあの子の言葉を思い出す。
---- ありがとう、貴女に会えてよかった。
きっとあの子なら、私が引いてしまったクジの要素も環境も乗り越えられると信じて。
藤塚りせ、男より趣味に生きてそれなりに歳を重ねた女はばたばたしながらも無事に魂を送り出した後、人生に合わせた場所に連れて行かれた。
その後、顔や体のあちこちを赤や青の打ち身で飾ったラーグが開かれたくじを見下ろしながら「生前使わなかった男運や金運全部つぎ込んだんじゃないかなぁ」と言ったことは知らない。




