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計算が違うんですけどっっっ!part3








ナニにするかは決まった。

あとはこっちに脳筋ジャンヌがいつ来るか、だな。

背後にはエンシェントドラゴンさんがいるから、人類軍もやたらと攻め込んでは来ないだろう。その決断をするとしたら……

脳筋ジャンヌしかいない。



遠くの激突が少し静かになったかと思ったら。

山裾を、と言うか少し高い丘、程度?を回り込んで、馬上のジャンヌが姿を現した。来た瞬間に!野太い歓声が上がった。

待てば来る、と思っていたのが当たった。

簡素な防御陣に籠もりきりになってる目の前の人類軍一団をいつまでも放っておくとは思えなかったし。

なんたってここには俺がいる! 未曾有の天敵が。脳筋ジャンヌ熱殺意、の俺が。

一気に戦場の気温が上がった気がする。

籠もったまんま出てこない人類軍に魔王軍側も少し弛緩していたのが一気に引き締まった。指揮官がいないという露骨な弱点。統率するものがいないと、緩む時はもう目にも判るほどだらけてしまう。

最前線だけが目を血走らせて対峙しているが、その数列後方はもう刀も構えているだけ、もっと後ろではもう担いじゃってあくびなんかしている。

延々動きがないんだから、そうもなるわな。ダレるよね。

そんな連中までが一気に刀を構え直した。

人類軍の陣内から剛毅な咆哮が上がる。戦意の高揚が爆上がりする!

その中心にいるジャンヌ。

突き刺すような鋭い視線が飛んでくる。もう殺意と狂気に充ち満ちている。

こっわ。

俺は思わず微笑んでいた。

さて、どう来るかな?

だが、その動きは予測の範疇を超えていた。


人類軍が!内側から!自ら防御陣を崩しだした!え?その破片を盾にしてじわじわと進んでくる。盾と言えないほどの盾だけど、進んでくる兵士達はそれらを構え、自ら壊した陣からゆっくりと溢れ出てくる。

不退転、の意思か? イーのかい? 一応残しておかなくても。

意味がわからんことをする。それは毎度のことではあるが。

「神の戦士達よ! 下劣な魔軍共を蹴散らせ! 天界への道はそこにある!」

鋭いジャンヌの声が戦場に響く。ぐぉぉ!と獣のように吼えて、兵士達が戦意を漲らせる!

ホント狂気だな。まぁ……そういうもんなんでしょう。

じゃあ、おーれもっ。

イカれたヤツにはイカれた方法で立ち向かいますかっ。うふふ。

「騒がしいのぅ……静かにさせるか?」

重低音ボイスが頭の上から真っ直ぐ降り注いでくる。エンシェントドラゴンさんがすぅぅ……と軽く息を吸い込んだ。

「ま、俺が静かにさせますよ。むふふ。殺しちゃうのもマズいんで。戦争継続のマスターピースですから。今はまだ勝つわけにも行かず負けるわけにも行かず。どっちつかずのぐだぐだが必要なんで。ドラゴンさんは見ててくださいな」

少し膨らんだエンシェントドラゴンさんの腹が凹んでいく。最後だけ、ぼおっと小さな炎が口から出た。

「では。お手並み拝見といこう。ぐふふふ」

「結構好きですよね。ドラゴンさん。俺のやり口。〝縄師入門〟」

「あれでどうにかなる、と言うのが興味深い。結構斬新さがあるか?なんなんだそれは、というな。こう長く生きると目に新しいものも数少なく珍しくなる。初物を見ると長生きする、と言う言い伝えもどっかにあったしな。ふふふ」

ドラゴンさんの目がにったりと弓を描く形になった。

まだまだ長生きするつもりですね。ご闊達な。なによりです。

「じゃ、やりますかっ。存分に!ご覧くださいな」



「神の敵はそこにいるぞっ! 押し潰せ!ドラゴンは気にするな!突貫っ!」

ジャンヌの振り下ろした刀の先が真っ直ぐびしり!と俺に向かって差し向けられる。うぉぉぉぉ!と怒声をあげて!バカ人類軍が突入してくる。

こっちドラゴンが背景にいるのに。イカレ方がスゴいもんだ。気にしないんだ。それでもいいんだ。ジャンヌの命令ならば突っ込んでくるんだ。

やめとけよ。ホント。

俺は指を入れてページを決めておいた魔本!〝縄師入門〟を開いた!

そのページから!縄が何乗も迸り出る!それが空を飛ぶ間に!

くにくにと絡まり合い結び合い……脳筋ジャンヌに襲いかかった!

こっちに向かって走ってくる馬上のジャンヌが、あっ!と叫んだ。

その豊艶なカラダの前面に編み上げられた形が広がり!ばさり、と覆い尽くす!

両の腕ごとそれはくるりと包み、背後で結ばれていく。何カ所も何カ所も。

両手もそれで腰裏に拘束され、馬上に真っ直ぐになった。亀の甲羅の六角の形に整えられ引き絞られ……ジャンヌのデカデカおっぱいが根元からくびり出された。

その手の剣が落ち、手綱を持つ手も引き離され、馬が勢いを失う。それに合わせて……

男兵士達の突撃もいきなり勢いを失っていった。

うん。やはり、亀甲縛りはビジュアルがいい。くすくすっ。



脳筋ジャンヌを縛る。後ろ手縛りと亀甲縛り。派手で良かろう。股縄にもなってるしっ。くすすっ。派手さも拘束強度も申し分ない。

実は亀甲縛りとは簡易な網なのだ。あの形に最初から結ばれていて、女体前面を覆うようにかぶせていく。そしてその網の各所を引いて背後で括り上げる。例の亀の甲羅の形になるように横から引いていく。細紐の方が似合うが、緻密な分、そのがっちり具合は半端ない。

みしりと取り巻かれて、腕はおろか、からだを捩るのすら簡単では無い。

「な、なんだこれはっっ!」

動揺している脳筋ジャンヌの両の乳房を絞り出すように!亀甲の形の縄が縛り上げていく!

馬上で跨がったまま垂れている足首を括り、馬の腹下を通してぎゅっ、と両脚を引き絞り、括り付ける。

これで馬から下りられない。

その馬も歩みを止めてしまった。回りの軍勢も。



なんとか後ろ手拘束から腕を抜こうと身を捩って暴れていたが……無理だ、と悟り、その動きを減じた。首ががくりと落ちた。垂れた長い髪が顔を隠す。

いいね。その落胆しきった憔悴姿が。うふうふっ。

その罪人のような佇まいがgood。

江戸市中引き廻しの刑、と言った感じか?馬晒し?晒し者?ふふふっ。

じゃ。

そのまま王都まで、いってらっしゃーい。

途中、トイレとかどうするかは……お任せしまーす。



脳筋ジャンヌが囚われたことで、人類軍には動揺が走り……後退が激しくなる。

自ら打ち壊した陣にわらわらと戻り始め……ジャンヌを乗せた馬も急ぎ足で引かれ、退却し……そこで立てこもり直した分、激突は軽症化した。

魔王軍の追撃も一息入れる形となった。

剣戟の金音が消え、風に流れ……一時の静寂が流れた。



その静寂の間に。

声が届くギリギリの範囲。その兵達に伝令する。

「ここはもういい!他方向の加勢に向かえ!」

ここには元指揮官が三人も固まっている。そう言うのなら……と納得したのだろう。

固まっていた魔王軍の兵達がゆっくりと散り散りにばらけていった。特にどこに加勢しろ、とは伝えていないので、行きたい方向、知り合いがいる方向などに向かったんだろう。

魔王軍、魔族の群れ、と言うのを象徴するように……その行き先は驚くほどばらばらだった。今までここで一塊になっていたドワーフの一団すら四方八方に進んでいくのには驚いた。帰る方向まである。

自由だなぁぁ。ほっとくと。

指揮官もいないし、自由気まま、と言うところだろうか。




馬上に亀甲縛りで乳房を絞り出された姿の脳筋ジャンヌ。

その恥ずかし固めに括られた姿をむさ苦しい男達の遠慮ない視線に晒しながら……半ば崩壊している陣を出る前に指示を出していく。

燃えるような怒りの目が俺に向けられる。顔が真っ赤なのは怒りか羞恥か。その両方か。視線で人を殺せるならば……俺は一瞬で死んでいただろう。

ま、そんなことないんだけどね。ふふふ。

兵士の一人に馬の轡を取られ、急ぎ目で戦場を去って行く。

殺す!殺す!殺す!と、仰け反って空に絶叫していた。目を剥いた顔が狂気に染め上げられている。

どす黒いまでの怨嗟の一念がスゴい。心外だなぁ。

毎回、生かして返してやってんのにっ。




このポイントで相対する人類軍の兵士達は大半残っている。こっちの魔王軍の兵は解散状態だ。

さて、実験だ。


ここが空陣となる。エンシェントドラゴンさんはいるけど。

指揮官がここにいる、と言うことは人類軍も気づいた。

かなり傷つき壊れかけた防御壁からも、わらわらと姿を現してきた。



「マク、ヨニ、前線に向かえ。マクは左方向一番端。ヨニは中央。敵陣の動きを止めろ。完全に、だ。攻め込む必要はない。完全に止めろ。敗走させろ。チツは……もう少し座ってるからこのままでイイぞ」


マク、ヨニ、の二人マゾ女の動揺が、流れる風の中に少しうかがえた。

マクのナマ乳からも後頭部にふるる、と伝わってきた。






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