計算が違うんですけどっっっ!part1
聖女様と打ち合わせ済み。大規模会戦。なんか人類軍の中枢が草案した作戦らしい。正体のわからない内通者によると、この一戦で起死回生を謀るのだとか。
さて、いかにしてこれをぐだぐだにするか。
俺が陣取る小山から眺めると広い広い河川敷のような空間が広がっている。空が驚くほど広い。好天だ。風の音だけがする。
いずれ怒号と剣戟の金音で満たされるのだろうが。
粛粛と魔王軍が布陣していく。もう指揮官無しに慣れたのか、その整いぶりにあまり乱れはない。優秀だよなぁ。
前線に近いとこでいつも戦ってるドワーフとかは前、ミノタウロス系の巨人兵は後陣。互いの戦いやすいとこ、ストロングポイントなど自ら理解している。
砲はいくらでも持ち込めた。が、当然持ってきてない。人類軍側にも見当たらない。なぜだ。まず使わねぇよな。あるハズなんだがなー。城とかにはあるハズだし。書類上そうなってる……し。
これだけ広いと超逸材サヤカの鳥頭情報での攪乱も使えないだろう。一度始まったらもう、成り行きに任せるしかない。
人類軍側もあらかじめ決めていたのだろう。ぞくぞくとあちこちに固まっていく。
一団の結集する黒い固まりが、広々とした場所に作り上げられていく。
その中に脳筋ジャンヌもいた。
聖女様、脳筋ジャンヌについて語る。
「マジでイカレてるわよ。あの人」
もう何度目かの談合会議で、俺の用意したもてなしのマフィンなんかを摘まみながらそんな雑談になった。
「戦争への活力、意欲と戦意が狂気の域に達しているわ。なんなのあの人」
「神はいつも私と共にあります……とかうっっっとり!と、曇りなき眼で語るのよ? 正気?」
「ま、ふつーのヒトじゃない、とは判ってたけどねぇ……」
「で……どうやら転生人らしい?……なんかちらりと言葉の端々にそんな気配があったわ」
「マジですか?!」
「そんな転生人固まっててイイのか? この世界どうなってる」
「ちょっと探りは入れてみたけど……頑なに喋らないわね。だから日本人かどうかも判んない。だから、じゃないか、よ。じゃないかな、あくまでそこまで止まりですけど」
……なん、それ。
微かに……微かに……何者かの意図……みたいなモノを感じた。誰かのゲームなのか?
「あのカリスマスキルはそれが元っぽい?……みたい」
「あまり会話できないのよね……なんかあの人ひっきりなしに走り回ってて」
「アンタが縛るせいで!王都連れて行かれて、いっそいで最前線に戻って、また縛られて王都行って。戻ってからも軍内部をあちこち走り回ってて」
「まず!接点が取れないのよ! まあ、今どこにいるのか一番判んない人。偶然どっかでばったりと出会う、とかないと顔も見れないし。電話とかもないしね。なんか魔術で作れないのかしら?ポケベル程度でも」
そんな脳筋ジャンヌが馬上から声を張り上げているのが見える。
今回は乗馬参戦だ。ウマがいる、と言うことは書類で知っていた。
が、広域に広がる人類軍勢に十分行き届いている、と言う頭数ではない。
大半は徒歩。指揮官だけが、その回りの一部だけが乗馬、と言う景色。
集団戦闘の一戦力として、効果があるかと言えばそれほどでもない。
ただ指揮をスピーディーに移動して各所で行う、という感じなのだろう。ナポレオン時代?ワーテルロー?そんな薄っぺらい単語しか知らないが。
俺は魔術双眼鏡を目から外し、全景を眺めてみる。
俺の頭の中の王子様なら理想の布陣、と言うモノを思い描けるのだろうが。
俺にはそんなのはこれっぽっちも浮かばなかった。
これだけの広さに布陣は意外と数少ない。人類軍側の人数が足りてない。埋め尽くすような大軍、とはとても言いがたい。
あれだけ負けが込めば、そりゃ削られるよな。
ただ、布陣の方向性が見える。ここから突破してやる、と言う集中。
のーきん人類軍だけに力押ししか考えていないのだろう。
まず間違いなく正解だ。
なんたってそこに脳筋ジャンヌの姿が見える。
そこは魔王軍が一番!数揃えて分厚く布陣してるとこなんですけど!
はぁぁ……また全滅上等!アタックですか……。
ジャンヌがいる以上、俺も動かざるをえない。それに今回は少し試してみたいこともある。
俺は四つん這いチツの座椅子から立ち上がった。
「布陣を変える。最前線に行くぞ」
肘起きにしていたマクが、めくり上げられまくったロングスカートを直し、そのみちみちの肉の乗った丸い丸い尻を隠し、のそのそと立ち上がる。この屈辱待機が大好きなだけあり、瞳が蕩け、顔が赤い。ふぅぅ……と熱い溜息をつく。背後でおっぱい背もたれになっていたヨニも立ち上がり、その自前の武器である薙刀を拾い上げた。
四つん這い姿だったチツが膝の土汚れをぱんぱんと叩き、すらりと立ち構える。
そうしてると別人なんだがな。バカマゾめ。
戦場を目の前にして、三人の目つきが徐々に鋭さを取り戻していく。
ま。
また、最前線の小山に付いたら、座椅子セットに逆戻りだがなっ。
拠点を移すべく、坂を下り始めた俺の後に続き、三つのデカ過ぎ豊艶すぎる尻がくねりくねりと、ふるりふるりと振られながら後を追ってきた。
その人類軍の集中の矛先である魔王軍の横に小山か、丘か、と言う盛り上がりがある。そこを目指して歩く。
魔王軍最前線より少し前。最前列を通り過ぎて歩いて行く俺に少し焦った気配が三バカマゾ達によぎった。
先頭に横並びのドワーフたちも驚いた顔をしていた。
しかし、久々の三軍指揮官の姿に少しほっとしていた雰囲気もあった。今回は指揮してくれるのか……と言う期待もうっすらと漂っていた。
丘は人類軍が突貫してくるだろう経路を僅かに逸れていた。ここの確保を目指すかどうかは微妙なところだ。
俺はそう思った。王子様はどうか知らんが。奇妙に沈黙している。
丘はそう高くはないが、眺めは良好だった。
魔法双眼鏡を使わずとも、脳筋ジャンヌの顔がはっきりと見える。
と言うことは向こうからも見えている。
凄まじい殺気もびんびん伝わってきた。
この丘陵程度なら馬でも駆け上がれるだろう。好機と見たのか、ぎらぎらとその目が光り輝いている。
「チツ、マク、ヨニ、ここに陣構える。チツ、座椅子になれ。マクが背もたれだ。ヨニは尻出せ。いつもの肘置きだ」
そそくさといそいそと座椅子セットになっていく三バカマゾ。
マクは……乳丸出しにさせてナマ乳枕にするか?……少し考えたが。
こっちの余裕を見せつける!という形になるか?
それも面白かろう。
そのように伝えると、マクが羞じらいながら胸元を開いていく。どたぷん!と飛び出てきた巨大ナマ乳にのしりと頭をもたせ掛けた。傲岸不遜に顎を上げて。挑発的に!見下し目線!で!
脳筋ジャンヌを睨む。嘲笑うような笑みも添えて。
耳横の乳首を摘まんで、くにくにと揉みたくると、あっっ!という小さな声を放ち、ぐっとマクが仰け反った。
こんなところでっ……と言う囁きが風に散っていく。なんかぶるぶると小さく震えている。一番マゾ具合が深いマクだけに、こういう仕打ちもびしびし心に響くのだろう。
なんか最近よくこんなのを命じているせいか、素っ裸にちっさいパンツ一つしか着てない。その上からロングドレスだけ着ている?コトが多いような気がする。なんか隠しフックで留めてるだけで、ちょちょっと外せばすらりと胸元が開くような。デカデカおっぱいが乳肌も乳首も露わに!もろり、と溢れ(こぼれ)出てくる。そんな服に替わっている。
はあはあと少し息を乱したマクが、スイッチ入ったのか、そのナマ乳に!俺の頭をしっとりと抱きかかえ、髪の合間に、俺の額に熱烈に何度も何度もちゅっ、ちゅ、と軽いキスをしている。
脳筋ジャンヌがぎりりと歯を食いしばったのが見えた。
んふふふふ。それそれ。
天使を嘲弄する悪魔の愉悦、と言うものがわかってしまった。かな?




