誰?あんた? 何その復活スキル?part2
「聖剣?とかいうのがあるけど、知ってる? 人類軍側に」
「知らんわ。なにそれ。俺も知ってるようなアレ?」
「そうかも。ファンタジーにありがちな、人類軍に伝わる、古来の勇者様の正義の聖剣」
「エクスカリバーのように岩に刺さってる。まだ誰も抜けてない」
「そんなんがあるわよ」
「困るねぇ」
「まだ誰も抜けてないみたいだけど。アレってさぁ、また誰か転生してきて引っこ抜いちゃうんじゃないの? ありがち展開でさぁ」
「あれはワレの身体も切り裂くぞ。世に数少ないワレを攻撃出来る手段の一つよ」
「困りますねぇ。ちなみにあとはどんなもんがあります?」
「天より飛来する翼ある者共の振るう天震剣とか? 空が裂ける、との逸話がある。おそらく持たんだろう。時空ごと切り払うとか」
「そんな呑気に。死んじゃいますよ?」
「余りにも長く世を見続けてしまったからかな。今更、生も死も変わらん。消えても現れ、現れてもまた消える。ただその循環があるのみよ」
「去るを惜しまず、別れを悲しまず。ワレが消えても今ワレを構成している分子は消えん。それだけは永続する。またワレを構成することも永年遙か先にはまたあろう」
「時間軸が長すぎて、理解が難しいっす」
ま、それはさておき。
「正義の聖剣って。そっちばっかり正義とか。おいおい」
「ま、人類軍がそういうのも判るけど! そう狂信してなきゃいくさなんて出来ねぇだろうけど!」
「あの実際に見る血みどろ加減とか怯むよなぁぁぁ。正直ビビるぜ。腕キレちゃうんだぜ。血ぃ撒き散らしてさ。首も飛ぶし!背中から真っ二つに切り裂かれるしっ!正気なら逃げ出すよ。あんなもん。俺の考える正気なら!だけどさっ」
「そこで踏みとどまって戦わせる為には狂気が、狂信が必須なんだろうケドさっ」
「平成生まれには心底判らん」
「アタシだって平成生まれですから。あんなの見るのヤです。正直」
「ヤツらが口々に叫ぶ神の御許とか。どこだよ」
「神の名の下に! 名誉ある戦死こそ天国へ召される唯一の手段!……とかさぁ」
「ほんと、あの脳筋女突撃隊長、なんとかせいよ」
「神とか興味ないわよっ!アタシが欲しいのは!王子様とのハッピーエンド!ただそれだけ!今のジュラルディ皇国の王子様ったら!すっごい素敵なんだからぁぁ!」
「……聖女がそれでいいのか? とか思うけど。なんかこう女神様のご意向で回復スキルとかあんじゃねぇの?」
「知らないわ。あるからあるの」
その力強い言い切り方が……女性だ。どこまでも手強い、女性ならではの。
「ま、でもその欲望に正直なとこ。はっきり言って嫌いじゃ無い。あんたの望むハッピーエンドに協力してもいい、と思えるぐらいにね」
「……もうさぁ。すでになんか始まってて。どうにも止めようが無い、ってーとこで別世界から放り込まれてさぁ。なんか知らないうちに、権力だのスキルだの持たされてさぁ……どう責任取ればいいの。これ」
「これ、どうさせればいいのか! それを話し合う為の談合!なんですよ。聖女様」
「ままま、おつまみでも。魔王軍側のお菓子ですが」
「ふん。結構おいしい。今の人類軍側ってね!まともなクッキー一つ出てこないのよっっ!ぱっさぱさで!甘みが足りなくってっ。こっちの方がまだましっ」
「魔王軍側、来ます? あははは」
「きっと聖なる力、回復スキルが使えなくなるわよ。それに!王子様とのハッピーエンド!が!」
そうでしたね。でも、その貪欲さがどこか心強い。あからさますぎて逆に信用出来る。裏も表もないその一直線ぶりが。
腹芸、だましあいなんて平成生まれの、のほほん、と育った我が世代には面倒くさすぎる。そういった意味で大いに安心出来るのだった。
「あ、あの脳筋ジャンヌは俺のとこに追い立てて欲しいです。また恥ずかしいポーズに括り上げて!ちゃんと生かして送り返したりますわ。ぐふふふふ」
「どーいうスキルなの?あんた。なんか持ってんの?」
「見ます? ぐふふふ」
スキルを見せる。
魔本〝縄師入門〟からうざうざと生き物のように縄が伸びて宙に走り出す。
聖女様が血相を変えた。
「やめて!この世界は乙女ゲーなんだからっ! それじゃエロゲーになっちゃうじゃないっ!」
「しかたねーだろっ。これしかないんだから!ホンッットにコレしかないんだ!俺の絶望が判るか!回復系聖女様よぉぉ。まともなスキルもらいやがって!」
「まったく!このエロゲキャラが!……でもまぁ……遅延作戦としては使えるわよ……この気持ち悪いの。王都まで行かなきゃ解除出来ないみたいだし。時間稼ぎとしては優秀よ。前線から送り返して解除して……戦線再構築するまでにイヤでも時間が掛かるし」
「らしいね。じゃ……俺も最前線に出るかな? 今まで指揮官ぶって高みの見物ばっかりだったけど。女しか縛ったことないけど、オトコも縛れンのかね?」
聖女様の顔が凄まじく歪んだ。吐き捨てるように言われた。
「……心底、軽蔑に値するわね」
ぺっ、と。
唾を吐きかけられんばかりの勢いだった。
すいませんね。エロゲキャラで。
口汚いののしり合いは多少あったものの。
第一回魔王後継者、人類側聖女、&エンシェントドラゴンの談合会議は比較的穏やかに幕を閉じたのであった。
もうひとっ飛びしてもらってドラゴンさんに聖女様を返してもらった。
無事に帰ったと言うことで、また一つ聖女様の人類軍における格が上がったようだ、とドラゴンさんが言ってた。
お疲れ様です。ありがとうございました。
上級麦酒、用意しときましたっ。どうぞっ。
自室に戻ると、まだ臨戦態勢のビキニアーマーのままのチツが机の前で四つん這いで待っている。
なんも命じてないのに。
こっちに気づくと、くりっと顔を向けた。その顔が赤く染まっている。小さく息も乱している。目がきらきらとしている。いそいそと脚を広げ直した。
その目の中に、〝座って〟〝座って〟と書いてある。
ぶるり、とそのしなやかな褐色ボディが四つん這いのまま震えた。
期待して待ってやがったのか。こんなとこに一人で。
うっっぜえ。俺が始めたこととはいえ。俺の目が細まる。
だが……期待に応えないわけにも……いかんか……ふぅ。
座る前にばしぃぃぃっ!とその褐色尻を!はたき倒す!
あぅっっ!と喉を反らして、チツがマゾメス泣きに吼えた。
あ、あ、あ、と痛撃の余韻に浸るように……ひくっ、ひくっ、と、身体を細かく震わせている。
その背にどすり!と荒々しく座った。
んぐぅっ!と、声を詰まらせて首をがくりと落とした。腕が曲がりかけたのを懸命に伸ばし直した。からだがまだ震えているのが尻に伝わってくる。
あ、あ……ありがとうございますぅぅっっ……と、泣きそうな声が、しかしどこか嬉しさに溢れているような声が床の方から伝わってきた。
ふぅ。
度しがたい。
こんなぐらぐらする椅子なんて、いらないよ。ふぅ。
書類仕事しにくいんだからっ。ちょっと低いしっ。
そのあとは……時折、あっ、あっ、と喘ぎを漏らす椅子の上で、今後の対人類戦の方針、聖女様との談合の中身などをメモにまとめていったのであった。
時折ちょいちょいと。
脚を開ききったその尻肉の狭間をまさぐりあげてやると。じっとり濡れてるその部分を擦り上げてやると!指がねっとりと濡れる!
あああああっっっっ!と心が千切れたかのような哀鳴を張り上げて!びくっ、びくっ、と小さくからだを跳ねさせて!チツの四つん這いがぐしゃりと潰れる。どすりと俺の重みを乗せたまま。
そのまま尻の下でひくひくと大仰に震えている。まさぐりあげた尻がもっくもっくと縦揺れしている。
使えねぇ椅子だ……と、冷たくその真っ赤なチツの長耳に囁くと……
んぅぅっっ!とまた一震えし……その細い肩がいやいやと揺れる。
俺が立ち上がると……また汗まみれのからだを捩り捩り、四つん這いに戻っていく。
「ああ……粗相を……粗相をいたしました……また……座ってくださいませ……このチツを……存分にアンジェム様の生肉椅子として……使い倒してくださいまし……」
そんなことを細い息で囁く。真っ赤な顔の蕩けた目は虚ろに宙を見つめ……なんか焦点が合っていない。腕が小さくふるふるしている。
「イイ覚悟だ……ご褒美が必要か?」
返事を聞くまでも無く! その見事な褐色尻をもう一度張り飛ばす!
ぱあぁぁん!と鮮やかな肉の破裂音が鳴り、あぅぅぅぅぅっっ!と、背を弓のように仰け反らし、犬の遠吠えの如く悲しく吼えた。
はあはあと荒い息。でも目がきらきらしている。ドマゾめ。
「お、お座りくださいっ。使ってぇ……筆頭騎士なんてもうやめるのぉ……王子様の生肉椅子としてぇ……これからずっと生きていくのぉ……」
うっとりと語り出すとんでもない妄想に呆れの溜息が止まらない。
いいんかい。それで。
ま、もうどうしようも無いので。もう一度座る。
あああ……と、艶やかに溢す溜息が、満悦の響きに満ちている。
なんかね。どうしようかね。もう。
とか言いつつ。
だんだんと。だんだんと。
その柔らかな座り心地に少しずつ慣れ……このいつでも暖かい生肉椅子の快適さがだんだん気に入っていく俺なのだった。
四つん這いチツの高さに合わせた、すこし低めの政務用机なんぞも用意しちゃったしっ。くふふっ。
こんなことやってるからエロゲキャラ!とか言われるのは判っているが!
反省などない。




