ニート仲間が出来たのでした part2
「落ち着け!神の戦士達よ! 突撃しかない!魔物共を討ち果たすのだ!」
脳筋ジャンヌが怒声をあげ、短い剣を振り上げる!
見る間に混乱が収まっていく。
これは正直すごい。カリスマ性? 指揮官がちゃんといる、というのはやはり効果的なのだな。抜いといて良かった。
「行くぞ!神の国は間近だぁぁぁぁっっっ!」
一声叫ぶと一人!先陣を切って!特攻してくる!バカ!バカバカ!
思わず身体を起こした!
ホントに突撃しか知らない。突撃しかないって。オマエそれ以外知らんのか?それ以外やったことあるか?
が、その脳筋ジャンヌの背中を見て、他の戦士達が意気を取り戻し目の色変えて突っ込んでくる!
カリスマ性があるっちゅーのは……善し悪しだなぁ……
神の国ってどこだよ。あの世か? そんな死にてぇのか?
もう……しょうがない。
俺はチツの尻の上に置いておいた魔本〝縄師入門〟を手にし、立ち上がった。
ついでに一発、勢いづけにその丸い丸い肉の分厚いケツをシバキ倒す。
あぅぅっ❥!と、背を仰け反らせて!チツが嬉しげにぶるるっと震えた。
からだ中からハートマークが乱れ飛んでいるような雰囲気だった。
ミノタウロスとか巨人兵である圧倒的戦力が下がればいいのか、打って出ればいいのか判らずきょろきょろと右左を見ている。指揮官がいない、と言うのが功を奏した。
出るタイミングが判らず、おろおろしている。
最前列を構成しているドワーフたちも動揺している。さっきサヤカの鳥頭情報を耳にしているだけに判断が付きづらいのだろう。
押しかける人類軍にやられはしなかったが、受けて押された。
最前線がずるずると下がっていく。
隘路の出口を固める、と言う地形的有利を手放さざるをえなかった。
少し広いとこまで下がって布陣を立て直す。勝手に。指示がないからそうせざるをえないだろう。
人類軍も少し坂下りだったので、勢いが乗っている。脳筋ジャンヌも最前線でバチバチやっている。しかし、いかにも小さい女性だ。力押しに強いわけではない。ただ目の色変えている狂気の分、五分に渡り合っていた。
おんなのヒステリックは大概コワいしな。
さ。出番か。怪我しないうちに、な。
どのページがいいかなぁ。これ、こないだやったしな。
ぺらぺらと魔本〝縄師入門〟のページをめくる。
これでいいか。
魔王軍は押されている。人類軍は押している。もう脳筋ジャンヌの目が血走ってスゴいことになっている。めためたに剣を振り下ろし、もうバーサーカー状態。
はぁ。
無事に離脱させてやる。
俺はそのイカレてる、イカレ切っている!脳筋ジャンヌに向けて!
〝縄師入門〟 を開いた!
幾筋もの縄が!張り切って!宙を飛び、迸っていった。
ごちゃごちゃのオトコばかりの揉み合いの中で、縄は正確に!脳筋ジャンヌを掴み取っていった!
剣を振り上げたその両手首を縛り!ぐっと背後まで引き落とし!腰裏で固めた!
脳筋ジャンヌはもう何度も縛られ尽くしているせいか、その縄のことを知っている。もう縛られ味を知っている。
あっ!と大きく叫ぶと、身を捩らせた。その手から剣が落ちた。
腰裏で手錠縛りで固めたその縄瘤からするりと伸びた縄が二の腕を外から巻いていく。その縄が乳房の下から巻締め、もう一回乳房の上を巻いていく。
高手小手。これで上半身は固まった。もう腕は動かせない。脳筋ジャンヌがいかに身を捩ろうと。
他の縄が、素早く!脳筋ジャンヌの足首に巻き付いていく!
く、くそっ!と絶望の喘ぎを漏らし、その縄を振り払おうと脚を蹴り上げる!
が!地に立っている方の足にも縄が伸びる! それも足首に巻き付くときゅっっと引き絞られた!
ああああ!と、バランスを崩した脳筋ジャンヌが一本棒の形で固まった。
そのまま倒れ込んでいく。
そのまま二つ足首をまとめて巻ききって、縄がその真っ直ぐ伸びた脳筋ジャンヌを引き上げた!
からだがくるん、と宙に浮いた。逆さに浮いた。足で吊られて宙吊りだ。
その縄先はまた、不思議空間に消えていて、がっちり脳筋ジャンヌの重さを吊り下げている。ふわふわとそれが宙に浮いていく。
またっこんなっっ!と血を吐くような苦鳴を漏らし、しかし無駄な抵抗でからだを宙に捩り倒している。芋虫みたい。くすっ。
遠くてよく見えないが……きっとあのデカデカおっぱいもぶりん、と逆さになって激しく揺さぶられているのだろう。
あまり逆さ宙吊りとかはやったことがないから、近くで見たい気もしたが。
マク当たりで試すか? こういうハードな吊りは大好物だからな。
とどめに長く長く垂れ下がる髪が縄で括られる。そしてその先に重めの岩が括られた。その岩も宙に浮き、髪をその岩の重さで吊られ、脳筋ジャンヌの抵抗がほとんどなくなった。
おおぅ……とどよめく人類軍むさ苦しい男兵士達。脳筋ジャンヌの括られ姿がヤツらの頭上一メートル、と言うところに晒される。
助けようとしても絶妙届かない高さに。下手に剣を振り上げると当たってしまいそうな高さに。
吊っている不思議空間は動かせる。ふふふ。
そのぶらんぶらんの脳筋ジャンヌの逆さ吊り姿を兵士達にたっぷりと鑑賞させるべく!
その頭上を大きく大きく移動させていった。
「あああ!見るなぁぁ!!」
喉を裂かんばかりに叫ぶ脳筋ジャンヌの艶姿をたっぷりと!
股縄でも追加するかね? ふふふ。
いつものお楽しみ。
これで後退させれば、はい一段落。
そうなるはずだった。
いきなり!暗くなった。
日が雲間に隠れた、と言う以上の唐突な暗さ。その暗さが深かった。
!
どおぉぉん!と凄まじい音がした!
地が揺れる!マジでぐらぐらと!地震慣れしてる日本人だから、そう動揺しなかっただけ!
こちらの人類軍、魔王軍共に、派手な悲鳴を上げてごろごろと地に転がっていた。
な、なに?!
日を遮っている方を見る。
それはもう……ファンタジーにあまり詳しくない者でも。
俺のようなもんでも。
一目でわかる……
巨大ドラゴンだった。




