第三話「無秩序」
「遠い、、!」
琉導は愚痴を漏らす。それもそうだ。琉導が知っててかつ現在地から一番近いのが3km程度離れたところにある総合病院だからだ。しかも、ゾンビなのでうまく走れず、ノロノロと動くしかない。大体50分〜60分かかるだろう。
「俺のことを一目見て警戒を解いてくれる方法なぁ〜。首から看板吊るして『私は人間です』って書くとか、、文字書けねぇわ。公園でブランコ漕いでたりしたら、、いけるか、、?なんか嫌だな、幼児退行してる感じがちょっと癪。」
途中何度かバリケードのある店などを見たが、あの時の飢餓状態が頭をよぎり、無視することにしている。
しかしこうもゆっくり朽ち果てた街を見ていると夢を見ているとしか思えない。この荒廃した世界がゲームを彷彿とさせている。
逆に何が生き残っているのか。もし、監視カメラが生きていたら琉導はどう映るのか。多分奇行種としてネタになるだろう。それも裏を返せばいい案でもある。
「俺のことを一目見て警戒を解いてくれる方法なぁ〜。首から看板吊るして『私は人間です』って書くとか、、文字書けねぇわ。公園でブランコ漕いでたりしたら、、いけるか、、?なんか嫌だな、幼児退行してる感じがちょっと癪。」
しばらく歩いて途中何度かバリケードのある店などを見たが、あの時の飢餓状態が頭をよぎり、無視することにしている。ただその中でも目が離せなかったところがあった。
「なんだ、こんなところに人が、、ゾンビを連れてる、、、?」
3人の男がゾンビを引き連れ、檻の中へ閉じ込めている。これだけで驚くが、彼らを含む多くの人がいる拠点の場には数十人のゾンビがいた。
多くは縛られ、突き刺す訓練や、的当てゲームとして貼り付けられていたりと、自身がゾンビなのも相まって憎悪と嫌悪感で目を背けてしまう。どうやら彼らにとってはゾンビは少数だと敵ではないらしい。
「いやいやいや、ゾンビって元は人間だぞ!?よく笑って娯楽扱いできるな。」
流石にこの世の中を過ごして感情が欠如してしまったと思いたい。すると、離れた距離にいる琉導にも聞こえる声で男がこう叫んだ。
「今から奴隷たちの鬼ごっこを始める!!!」
な、何を言ってるんだ、、、。琉導は何が何だかわからず、見える距離で観察することにした。
拠点では二階のベランダに太った人や、スーツを着た人など明らかに悪徳詐欺師としか思えない奴らがいる。室内側はしっかりバリケードを作っている。
「いいか!今から10分間逃げ切れたらここで働く権利をやる。逃げ切れなかったら死だ。くわっはっは!」
「すごい、俺初めて一目見ただけで嫌いになったわ。」
琉導の見た光景はまさしく、コミックの世界でたまにある富豪たちがデスゲームに賭けをするそれである。
「おい、お前!とっとと檻からゾンビを出せ!」
そう指示をされたのは先ほど琉導が見た3人の男を含む10人の屈強な男たちである。男たちは少し嫌味を持った顔で檻の上にそれぞれジャンプでわたり、鍵を外し、ゾンビを解き放った。
「うわぁぁぁぁ!!」
合計10体のゾンビが、小さなフィールドで痩せ細った人々を襲っている。噛まれるのも時間の問題だろう。
「はっはっはぁ!実に傑作!奴隷どもは私たちを満足させるために生きている!酒の味がより美味く感じる!」
この拠点で形成される無秩序で、自分勝手な権力で奴隷と呼ばれている人々たちは二つの世界どちらも苦しく、辛い思いをしている。
幸い、障害物が味方し、3分経って誰一人欠けていない。
「おいおい、ぜーんぜんゾンビに噛まれないじゃないか、、」
「全く、これでは酒が進まない」
「おい!さっきの10人!トラックで幅を縮めろ!」
だがその声を受け、動く者はいなかった。富豪は辺りを見回した。だが、周りには頭の中に思い浮かんでいる3人はどこにもいない。
「返事をしろ!どこにいる!」
富豪にとって不穏な気配が漂うが、彼らは自ら行動を起こすことはない。
バキャッッ!!!!
バリケードの方から鈍い音がした。富豪たちが後ろを向く。そこには先ほど呼んだ男たちがバリケードを斧などを使い、破壊していた。
「な、何をしている?」
「なにって、さっきなんか呼んでたろ?だから来た。」
「そーそー。あんたら耳遠いんだよ。」
「・・・こいつら、嫌いだ。」
男たちは筋肉質な腕を露わにし、富豪たちの方へ歩いて行く。富豪たちは退いていくが、とうとう端まで来てしまった。富豪たちが後ろを見ると下にいた人たちの叫び声が聞こえない、なんだったらいない。
「待て、待てぇぇぇぇぇ!!」
その声を発した時、富豪の目には3人の男の裏に下にいたはずの人たちが上がってきた。
「皆さん、一階は塞ぎ終わってますよ。」
「仕事が早いなぁ。うし、落とすか」
富豪たちは慌て叫び、抵抗したが簡単に落とされた。目の前には血肉を喰らおうとするゾンビがいた。彼らに逃げる力はない。なぜか体が鈍っているからである。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁぁぁ!!!!!」
富豪は元富豪へと変わった。2階にいる人々は大喜びだ。
「ザマァ」
琉導も動かないはずの頬の肉がほんの少し動くぐらいにはニヤついている。
彼らが安堵していると、10人の男の内3人が瓶とマッチを用意し、ゾンビの集まるところに瓶を数個投げ、マッチで燃やした。これでもゾンビは死ぬのか。と琉導は驚いた。
しばらくすると生き残り全員が3台のトラックを使い別れていった。琉導はあまりのものを物色しようと向かった。
「んー。食料はいらないけど、、賞味期限切れだなこれ。他にいいもの、、、」
琉導はよく帽子が飾られてるツリーハンガーを見つけた。そこには救急キットが飾られている。一番中身が期待できる箱だ。
物色したところ謎の薬、包帯、消毒液など、薬以外部活の救急セットみたいだ。琉導はその救急キットが首からかけれるタイプのものだったため、頑張って身につけ、病院へ向かうことにした。
「病院行くんだった。これ要らねー。」
そう考えても、琉導は自ら外せないのであった。




