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しがないただの商人です。~借金1000万オーバーのガールズバーオーナー異世界転生~  作者: 憂記ュゥ


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歓迎会と神の加護!?

すっかり日も暮れ、星空に照らされた広場。


そこでは村人達がせっせと歓迎会の準備を進めていた。


『ちょっとあなた!』


『お酒はそっちじゃない!』


『お肉はこっち!』


広場の中央では一人の女性が村人達へ指示を飛ばしていた。


「あの指示してる方は?」


『あー、あやつは妻のマフィンだ。』


どうやら村長の奥さんのようだ。


『この村の台所事情はほとんどあやつが握っとる。』


「なるほど。」


道理でさっきから村人全員が逆らえていない。


『あなた!』


『何を他人事みたいな顔してるんですか!』


『宴を始めると言い出したのはあなたでしょう?』


『ガハハハハ!』


『まぁそう怒るな!』


『翔斗という客人もいるんだ!』


『お客人がいるから怒ってるんです!』


『準備するのは誰だと思ってるんですか!』


『翔お兄ちゃん!』


フィアが尻尾を振りながら駆け寄ってきた。


『今日はいっぱい食べれるよ!』


『フィアット。』


『つまみ食いは駄目ですよ?』


『まだしてないもん!』


『まだ?』


『あっ。』


フィアの耳がピクリと動く。


『フィアット?』


『にゃっ!?』


マフィンさんの逆鱗に触れてしまったようだ。


フィアがマフィンさんに連れて行かれた。


そうこうしている間に気付けば長机がずらりと並び、大量の料理が所狭しと置かれている。


『よしそれじゃ皆の者!宴の始まりじゃぁー!』


『うぉぉぉぉぉっ!!』


つい先程まで世界樹の話で揉めていたとは思えない。


広場を埋め尽くす歓声に、俺は思わず圧倒されていた。


『みな宴が大好きでな!』


『さぁ翔斗も腹いっぱい食って飲んで騒げ!』


「あっ、はい。」


元ガールズバーオーナーの俺ですら、この熱気には圧倒される。


目の前には見たこともない野菜や果物。


そして巨大な肉の塊。


いわゆる漫画肉というやつだ。


さらに広場の中央には大量の酒樽まで並べられていた。


「宴ってこんな感じなんや……」


忙しい日の店ですら、ここまでの熱気は見たことがない。


『どうした翔斗!腹が減っとらんのか?』

 

「いや、こういう場は初めてなんで圧倒されちゃいまして……」


『ほぉ!宴が初とな!』


『ならば尚のこと飲んで食って騒げ!』


「ありがとうございます。」


「でも、ここまでしてもらわなくても……」


『何を言っとる!』


『昼からうだうだ揉めとった会議を、あっさり片付けてくれたんじゃ!』


『それにフィアットのことも感謝しとる!』


『このくらい当然じゃ!』


「とか言って、村長も宴がしたかっただけなんじゃ?」


『ぬっ!?バレとったか!?』


『こりゃ一本取られたな!』


『ガハハハハッ!!』


豪快な笑い声が広場に響いた。


『お兄ちゃーん』


フィアが泣きながら近づいて来た。


『マフィンさんがいじめるー。』


『何もしてないのに準備が終わるまで閉じ込められてたー。』


『何もせん保証がないじゃろ。』


マヌルが呆れたように呟く。


どうやらマフィンさんの逆鱗に触れたフィアは仕事を増やされる前に締め出しされていたようだ。


「どこの世界も怒られる時は同じなんや。」


『翔斗お兄ちゃんバカにしてるでしょ!』


俺の言葉に不貞腐れたフィアは、大量の料理が並ぶ長机の方へと歩いて行ってしまった。


フィアを傷付けてしまったかも知れない。


「後で機嫌をとりに行くか。」


そう呟くと後ろからマフィンさんが料理を持ってきた。


『翔斗さん。騒がしくて食べづらいでしょ?』


『宜しければこちら取り分けたのでどうぞ。』


「ありがとうございます!」


「嫌な気はしないんですが、初めてなので…」


まだ馴染めないでいる俺にマフィンさんは気を回してくれたようだ。


『みんな良い人なんですよ!』


『あまり気を張らず楽しんでくださいね!』


そう言い残すと机の上の空皿を持って奥の方へ行ってしまった。


「なんか懐かしいなぁ。」


「母さん元気かな?」


両親より先に死んでしまった俺は少し申し訳ない気持ちになった。


だけど今更悩んでも仕方ない。


「俺は元気だぞー!」


『おー!兄ちゃんようやく馴染んできたか!』


『うぇー!飲もうぜ飲もうぜー!』


村人達が集まって来た!


「よっしゃ飲むかー!」


「言っとくが俺は元酒場のマスターだ!」


「そんな弱くはねーからな!」


そう言うと村人達も火がついたようで、どんちゃん騒ぎになった。


『うっ…マジで兄ちゃん強えなぁ。』


『俺は降参だー。ヒクッ。帰って寝らー。』


勝った。


とは言えない。


俺もかなりキテいた。


「おらー!お前らそんなもんかー。」


『おう。ならば私と飲み比べるかな?』


調子づいた俺にマヌルが話しかけて来た。


『あなた良い加減飲み過ぎです。』


仕事を一通り終えたマフィンさんがやって来た。


『この後片付けも残ってるんですよ!』


『あなたがやると言ったんですから手伝ってもらいますからね!』


『おっ…おう。すまぬなぁ。』


やはりどこの世界も母強しだな。


「ふふふっ」


酔って楽しくなっていた俺はつい笑ってしまった。


『お隣よろしいかな?』


そんな時後ろから声が聞こえた。


「あっ、良いですよ!もちろん!」


ヒョウ柄の男は静かに腰を下ろした。


『私はこの村の護衛長のガルドだ。』


会議の中心人物。


護衛長ガルド。


メイン族でこの村の戦力らしい。


――そして何より。


俺を一番警戒している男だった。


『随分と楽しんでいるようだな。』


「はい!おかげさまで楽しませてもらってます!」


そしてしばらく沈黙が続く。


『貴様、旅人と言っていたな。』


「はい。」


『どこから来た。』


「えーっと……」


『答えに詰まるか。』


『やはり何か隠している。』


俺は思わず固まってしまった。


『貴様はこの国のものでは無いだろ。』


「えっ?」


まずい。


酔ってて頭が回らない。


『言葉遣い。』


『世界樹に対する反応。』


『物の価値観。』


『考え方。』


『どれを取っても妙に違和感がある。』


ヤバい。


コイツ何か気付いてる。


まさか異世界人だとバレたのか?


「嫌だなぁ。気のせいですよ!」


「結構遠い所から旅して来たんで文化の違いがあるだけですって!」


『人間の国はさほど遠く無いが?』


『ここへ来る商人も人間族だしな。』


「あー……」


少し考える。


「俺、山奥育ちなもんで。」


『山奥?』


「親父が変わり者で。他人と関わるなとか。」


「騙されるなとか。」


「そんな事ばっか言われて育ったんで。」


『ほう。』


『なるほどな。』


ガルドが一気に酒を飲み干す。


『だが。』


『貴様からは得体の知れん違和感を感じる。』


なんやこいつ。


俺と似たようなスキルでも持っとんか?


いや、流石に考えすぎか?


『まぁ良い。』


そう言って立ち上がる。


『勘違いするな。』


『私はまだ貴様を認めたわけではない。』


『もし村に害をなすならその時は私が相手になる。』


『それだけは肝に銘じておけ。』


そう言い残して立ち去って行った。


「ふぅ……。」


「異世界人ですって言うた方が早かったんちゃうか……。」


「てか別にアカンとか言われてへんしアカン事じゃないよな?」


「いや。でも説明めんどくさそうやな。」


「にしてもあいつ。只者じゃないな。」


ガルドとの会話ですっかり酔いが覚めてしまった。


『お兄ちゃーん!』


村人も殆どが帰ってしまい宴も終わりに差し掛かっていた頃、機嫌を戻したフィアが駆け寄って来た。


『今日泊まるところ教えてあげなさいってマフィンさんに言われて来たのー!』


「そうか!ありがとう!頼むよ!」


ガルドとの会話で疲れてしまった俺は早く寝床に着きたかった。


『じゃぁついて来て!』


『こっちだよー!』


フィアが先頭を歩く。


夜の村は昼間と違い静かだった。


宴の喧騒が嘘のようだ。


『ここは畑でしょー!』


『んで、あっちは倉庫!』


『村長の家はさっきの所でー。』


『村長の隣がフィアのお家!』


「あそこは?」


俺が指を差した先には蔦に覆われた古い木造家屋があった。


『あそこは旅に出た村のお兄ちゃんのお家で今は誰も住んでないの!』


『お兄ちゃん元気かなー。』


『そう言えばお兄ちゃんと似てるね!』


そうこうしているうちに到着した。


『今日はここで泊まってって!』


そこはフィアの家の裏だった。


「ちょい待て!なんでぐるっと村一周しとんねん!」


「フィアと村長の家の裏やったら、そのままスッと来れたやろ!」


フィアが笑ってる。


『お兄ちゃんに笑われた仕返し!』


『でも村のこともわかったし良いでしょ!』


まぁ確かにそれもそうだ。


「まぁ良い。」


「とにかく今日は疲れたしゆっくり寝かせてもらうよ。」


『うん!』


『それじゃ!お兄ちゃんおやすみ!』


「おやすみ!」


ようやく一人になり中に入る。


「あー。案外綺麗やな。」


ベッドへ腰掛け、今日一日を思い返す。


異世界転生。


世界樹。


ルピアの実。


ペルシャ村。


フィア。


そしてガルド。


「波乱万丈すぎるやろ……」


ここ最近で一番濃い一日を過ごした気がした。


疲れ果てた俺はベッドに横たわる。


「あっ。そういやルピアの実食べてからステータス確認してないなー。」


右手ブン。


ステータス確認。


【只野 翔斗】


年齢:14歳

Level:35

種族:人間

職業:元酒場マスター


━━━━━━━━━━━━━━━


体力:45

魔力:Error

筋力:51

耐久:60

敏捷:31

器用:82

知力:92

精神:53

魅力:82

運:33


━━━━━━━━━━━━━━━


スキル

接客 Lv.9

交渉 Lv.MAX

話術 Lv.9

経営 Lv.7

危機察知 Lv.9

人心掌握 Lv.MAX

酒知識 Lv.8

計算 Lv.8


━━━━━━━━━━━━━━━


ユニークスキル


【慧眼】


相手の些細な表情や仕草から

感情・嘘・本質を見抜く。


観察力が高いほど精度上昇。


【無限魔力】


魔力保有量の上限がなくなる。

更に魔力酔い、魔力欠乏症にならない。


【神の加護】


ん!?


「神の加護!?」


俺は説明欄に目を通して度肝を抜かれた。


「なんでやねん!!!」


第7話を読んでいただきありがとうございます!


今回はペルシャ村での歓迎会回でした。


フィア、マヌル、マフィン、ガルドと少しずつ村の主要人物も登場してきました。


そして最後には謎の【神の加護】。


翔斗が知らない間に一体何が起きているのか。


次回はその辺りにも触れていく予定です!


面白いと思っていただけたら

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それでは次回もよろしくお願いします!

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