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しがないただの商人です。~借金1000万オーバーのガールズバーオーナー異世界転生~  作者: 憂記ュゥ


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世界樹の創造者

「頭痛っ……ホンマに今の何やねん。」


俺は頭を押さえながら考える。


さっき巨木を見た瞬間、頭の中へ何かが流れ込んできた。


あれは一体何だったのか。


「わんちゃん慧眼か?」


相手の本質を見抜くスキル。


それ以外に思い当たるものがない。


俺は恐る恐る目の前の巨木を見上げた。


そして、もう一度凝視する。


ズキッ――


「痛っ……!」


その瞬間。


頭の中で電子音のような音が響いた。


――ピーピピッ


〔スキル【慧眼】を発動〕


〔対象を検知〕


〔名称:【世界樹】〕


「……は?」


「ちょっと待って?」


「森をヒールで治しただけよな!?」


「って事は俺ってさっき世界樹を吹っ飛ばしてもたん?」


「さすがにヤバすぎるやろ。」


「慧眼って本質見抜くみたいなスキルやんな?」


「もーちょい見てみよ。」


もう一度凝視する。


慣れてきたのか頭痛はさっきほどではない。


〔慧眼発動〕


〔名称:世界樹〕


〔等級:神話級 年齢:0歳〕


〔特殊効果〕

━━━━━━━━━━━━━━━

・周囲の生命力を活性化

・高濃度マナ生成

・精霊を引き寄せる

・???

━━━━━━━━━━━━━━━


〔創造者:只野翔斗〕


「……」


「………」


「…………」


「いや、ちょい待てーい!!」


思わず叫んだ。


「創造者って俺!?」


「ほな元々生えてたんちゃうんかい!」


「無から有を生み出してもうてるやん!」


「てか神話級ってなんやねん!」


「俺まだ異世界来て一時間も経ってへんぞ!?」


「魔法ヤバすぎやろ!」


「てか世界樹って神話に出てくるアレやろ?」


「こんな簡単に生えたらアカンやろ。」


「この世界での世界樹ってどんなもんなんやろ?」


そう思いながら、もう一度世界樹へ視線を向ける。


――ピーピピッ


〔警告〕


〔世界樹の情報閲覧により慧眼のスキルレベル上昇〕


〔追加情報を開示〕


〔世界に数本程度しか存在しない神話級植物。〕


〔周囲のマナ濃度を飛躍的に向上〕


〔その影響により動植物・魔物・精霊は急速な進化を遂げる。〕


「あー。世界に1本では無いんか。良かった。」


「……ってええ訳あるかー!」


思わず叫ぶ。


「動植物が進化って何やねん!」


「魔物も進化するんやろ!?」


「こんなもん絶対に生やしたらアカンやろ!」


俺は目の前の世界樹を見上げた。


どう見てもヤバい。


めちゃくちゃヤバい。


「もう一回消し飛ばしとくか?」


そう呟いてから首を横に振る。


「いや、アカンアカン。」


「まだ魔法をコントロール出来てる気がせん。」


「消して治して更に増えましたとかシャレならんしな……」


そこでふと気付く。


「……てか待て。」


「何で慧眼のレベル上がっとんや?」


俺は表示を見つめる。


「俺まだ三回くらいしか使っとらんぞ?」


「普通もっと熟練度とか何回も使って上がるもんちゃうんか?」


嫌な予感がした。


ゆっくりと世界樹へ視線を向ける。


「……あっ。お前の影響か。」


もちろん木は答えない。


だが原因はどう考えてもコイツだった。


「……生やしてもうたもんはしゃあないか。」


下手に触って何か起きても困る。


俺は世界樹を放置することに決め、その場を離れた。


とりあえず今は情報収集だ。


「この辺に町とかあるんかな?」


「ミスって死なせた上で異世界転生させる言うてた訳やろ?」


「流石に何も無いとこに放り出したりはせんと思うんやけど。」


しばらく歩いていると川があった。


「おー!水あるやん!」


透き通った水が気持ちよさそうに流れている。


俺は川辺にしゃがみ込んだ。


「流石に今度は大丈夫やろ。」


「水の中やし。」


「最悪ちょっと蒸発するくらいで済むはずや。」


そう言いながら右手を水の中へ入れる。


――なお、この時の俺は何一つ学習していなかった。


それから数時間。


俺はひたすら魔法の練習を続けた。


━━━━━━━━━━━━━━━


ヴゥーヴゥーヴゥーヴゥーヴゥー


天界に警告音が鳴り響く。


『きゃーっ!? な、何ですか!?』


緊急事態発生。緊急事態発生。


アルヴェリアの環境変動を確認。


直ちに確認・対処を行ってください。


『あっ……』


『やっちゃいましたか。翔斗さん』


天使は何とも言えない表情を浮かべた。


『嫌な予感ですねー…』


パチン。


指を鳴らすと、目の前に映像が映し出される。


そこには空を貫く巨大な世界樹が映っていた。


『うわぁっ!』


映像の中では川が蒸発し、


森が吹き飛び、


謎の小山が出来上がっていた。


『想像以上にマズいですねぇ……』


天使は頭を抱えた。


本来であれば付与されるはずだった力。


だが手違いによって渡し損ねてしまったもの。


『んー……。』


『仕方ありません。』


『遠隔で付与したことはありませんが――』


天使は小さく息を吐く。


『やるしかないですね。』


パチン。


天使が指を鳴らした。


━━━━━━━━━━━━━━━


結果だけ言おう。


大惨事だった。


水の中で魔法を使えば川が蒸発し、


戻そうとすれば洪水になり、


風なら大丈夫だろうと空へ向けて放てば森が丸ハゲになり、


土魔法を試せば小山が出来上がった。


「なんでやねん。」


頭を抱える。


「こんな制御って難しいもんなんか?」


「無限魔力で魔道具とか作り放題で儲けれる思っとったのに。」


「こんなん魔道具どころの話ちゃうやん……」


辺りを見渡す。


目の前には丸ハゲになった森。


蒸発した川。


そして謎の小山。


足元は洪水によって未だ水浸しだった。


「属性魔法はアカン。」


「封印や封印。」


俺は大きくため息を吐いた。


「とりあえず世界樹二本目になるかもしれんけど……」


「流石にこのままはマズいし治すか。」


そう言って両手を前へ突き出す。


頭の中に元の森の景色を思い浮かべた。


「ヒール!」


次の瞬間。


眩い光が辺り一面を包み込む。


「うわっ!? 眩しっ!」


思わず目を閉じる。


数秒後。


恐る恐る目を開いた。


そして――固まった。


「……え?」


丸ハゲだった森は青々と生い茂り。


干上がっていた川には再び水が流れている。


小山は跡形もなく消え去っていた。


まるで最初から何も起きていなかったかのように。


景色は完全に元へ戻っていた。


「えっ……えぇぇぇ!?」


「綺麗に戻っとるやん!」


「成功ちゃうん!?」


「イメージ通りや!」


思わずガッツポーズをする。


「やれば出来る子やないか俺!」


その時。


ガサッガサッガサッ


奥の方から何かコチラに向かってくる音がする。


「ん!?何や!?」


少し身構え目を凝らす。


〔慧眼発動〕


〔種族:人族〕

ここまで読んでいただきありがとうございます!


異世界転生直後から翔斗は散々やらかしてくれましたね笑


本人は「俺、意外とやれば出来るやん!」と思っているようですが……。


次回はついに異世界で初めての出会いです。


翔斗の異世界生活も少しずつ動き始めます。


引き続き楽しんでいただけると嬉しいです!

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