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しがないただの商人です。~借金1000万オーバーのガールズバーオーナー異世界転生~  作者: 憂記ュゥ


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橋を架けたら家が手に入りました

「ただいまー。」


と言っても返事はない。


一人だからだ。


「さて、橋なんか作ったことないけど、どないしよ。」


俺はあの後家に帰り一人で橋をどう作るか考えていた。


「結局、魔法はイメージや!あの崖の高さと距離やと吊り橋が現実的やな!」


そう思い俺は現世の有名な某海峡大橋をイメージして作ることにした。


「まずは模型作ってみるか。」


少量の鉱石と材料はあったのでまずは素材を作る。


「形成!」


「よし。素材作りはもう完璧やな!」


そしてイメージする。


骨格。


橋脚。


支柱。


ワイヤーロープ。


橋桁。


大橋。


「形成!」


「おっ!?」


形は出来た。


上手くいった――そう思えた。


しかし、上手くいかなかった。


コンクリートが固まらず形を保っていられなかった。


「なるほど。生成と硬化を同時にせなアカンのか。」


「これは骨が折れそうや。」


その後も何度も試す。


「アカン。なかなか上手くいかんなー。」


心が折れそうになるが完成させなければ村人からの信頼が得られない。


「信頼さえ勝ち取れば後が楽やしなぁ。」


「もうちょい考えるか。」


その時、俺は閃いた。


「これならいけるんちゃうか?」


試してみる。


すると。


「おっ!完成したか?」


橋の模型ができた。


形を保っている。


試しに触ってみた。


硬くしっかりしている。


「よっしゃ!完成した!」


気付けば夜も更けていた。


「これで明日は何とかなりそうや。」


「もう寝よ。」


何度も試行錯誤を繰り返し疲れていた俺は倒れるように眠りについた。


翌朝。


早朝。


俺たちは早速、橋に向かっていた。


『とりあえず向かってるが本当に大丈夫なんだろうな?』


ガルドに詰められる。


「心配するな!もう策はちゃんとあるから!」


『今日は”たぶん”とは言わないよな?』


「あぁ!俺の橋を作るための魔法は完成したからな!」


『なら良いが。』


そうこうしているうちに橋についた。


「あそこが昨日見つけた鉱山だ!」


「鉱山組はガルドと一緒に向かってくれ!」


「採掘班と運搬班に分かれて作業を頼む!」


「採掘班は主に石灰石と鉄鉱石の採掘!」


「運搬班はここまで砂利や水を含め運搬を頼む!」


「指揮はガルドに任せる!」


『あぁ。わかった。』


『皆の者!行くぞ!』


『おぉー!』


「残った者は木材をここまで運んでくれ!」


「可能なら板に加工しやすい長さに切っておいてくれると助かる!」


「そこに大量に木が倒れて道が出来ているからわかるだろう!」


「それじゃぁ作業開始!」


そして黙々と木材が集められる。


「まずは木材を板に成形していくか。」


「ある程度材料が集まったら橋作りに取り掛かろう。」


そして俺は集められた木材に手をかざす。


「成形!」


『おー!丸太が大量の板になった!』


『魔法ってこんなことできるのか!』


いやいや、魔法はお前らのが知っとるんちゃうんか!?


この世界の魔法は、属性魔法と治癒魔法しかないんか?


そして鉱石も続々と集まってくる。


「やっぱ人手多いと一瞬で集まるな!」


そして橋脚の要のコンクリートを形成する。


続いてワイヤーロープを作る。


本来なら鉄線を何本も束ね、ワイヤーロープに加工する。


だが俺の魔法なら関係ない。


イメージできれば何でも作れる。


そして橋の材料となる板、コンクリート、ワイヤーロープが揃ってきた。


まだまだ数は足りないが作業を進める事にした。


「早速作り始めるか!」


村人たちが手を止め、一斉にこちらを見た。


イメージする。


コンクリートで橋脚を作る。


同時に固める。


形成+硬化。


──構築。


両手を橋脚があった所にかざす。


「構築!」


ドォォォォォン――


目の前にデカい橋脚が完成する。


『うぁー!』


『なんだよこれ!』


『元あった橋の柱よりデカいぞ!』


『それに木じゃないからかなり丈夫そうだ!』


村人たちからの歓喜の声が聞こえる。


「せやろ?」


俺は得意げに言う。


そうだ。


俺は昨日の夜、試行錯誤を重ね魔法同士を融合させる事を思いついた。


イメージするだけでいいなら、魔法は組み合わせられるはずだ。


なら一つの魔法である必要もない。


詠唱なんて何でも良い。


つまり二つ以上の事象をイメージ+イメージで組み合わせられる。


「この調子でどんどん作っていくから作業の手を緩めるな!」


『おー!これはいけるぞー!』


そして村人たちの作業はさらに勢いを増した。


「橋脚ができたらワイヤーを通すか。」


続いて崖の向こう側にも橋脚を作る。


「構築!」


ドォォォォォン――


そして足元にワイヤーの端を切れないように埋め込む。


地中深くにワイヤーとコンクリートを流し込むイメージで手を足元にかざす。


掘削+接合+定着


──錬成。


「錬成!」


ワイヤーロープが地中から生えているように固定された。


「よし!順調やな!」


「ほなこれを橋脚同士繋げるか!」


手をかざす。


「接合!」


ワイヤーロープが橋脚へと吸い付くように接合される。


そのまま綺麗な弧を描き垂れ下がった。


「次は向こう側も固定せなアカンな!」


「錬成!」


そして崖向こうもワイヤーロープが地中深くで固定される。


気付けば足場の無い外骨格までは完成していた。


「ふぅ。流石にちょっと休憩しよか!」


お腹も空いてきた。


そろそろ昼時だろう。


すると村人から声をかけられた。


『これどうぞ!』


『今朝、マフィンさんが弁当持ってけって!』


そう言って藁の包みのようなものを渡された。


「おー!マフィンさんの弁当か!ありがとう!」


そうして包みを開ける。


中身はゆで卵のような青白い卵。


それにベーグルで作ったサンドイッチのようなものが入っていた。


「うぉー!美味そう!」


「いただきます!」


美味い。


すごく美味い。


中身は何かわからないが芳醇な小麦のような香り。


そしてフルーティーでサッパリとした甘みが口に広がる。


歓迎会で食べた獣の肉も入っていた。


香ばしく焼かれ甘辛いタレとも良く合う。


まさに角煮バーガーのような感じだった。


ゆで卵のような物はデザートのようだ。


食感はゆで卵。


味はまるでプリンだった。


「ご馳走様でした!」


「いやー、異世界の飯ウマ!」


「この調子で後ちょっとやし頑張るか!」


腹も満たされたところで、村人たちにも声をかけ作業を再開する。


板とワイヤーロープを繋げる。


「接合!」


そしてそれを橋に通す。


接合+結合


──連結。


「連結!」


「あとは補強だけやな。」


そして橋の外観は完全に完成した。


ここからは補強だ。


橋脚同士を繋げたワイヤーロープからさらにワイヤーロープを出す。


そして橋板と結合したワイヤーロープに接続し吊るす。


さらに橋の下側もワイヤーロープで引っ張るように固定。


そしてついに完成した。


某海峡大橋には遠く及ばない。


それでも十分立派な吊り橋だった。


素人にしては上出来やろ。


いや、魔法で具現化したみたいなもんやしそうでも無いか。


名付けるなら――


谷間渡り吊り橋やな。


『うぉー!』


『本当に完成したぞ!』


『一日どころか……まだ夕暮れ前じゃないか!』


『こんな凄いものを短時間で!』


『こんな魔法、見たことも聞いたこともない!』


『さすが旅人さんだ!』


村人から称賛の嵐が吹き荒れる。


『ついにやったのか。』


ガルドが作業を終えやってきた。


『なっ…何だこれは!?』


初めてみる橋にガルドは驚愕していた。


『お前はこれをほぼ一人でこの短時間で作り上げたと言うのか!?』


「おうよ!」


「どや!」


「凄いやろ!」


「また見直したか?」


『……警戒レベルを引き上げよう。』


「いや、なんでそーなんねん!」


村人から笑いが起こる。


『それにしても渡って大丈夫なのか?』


「まぁ問題ないと思う!」


俺はあの某海峡大橋をイメージした。


流石に強度はかなりのものだと自負していた。


「まずは俺が渡ってみるわ!」


そう言って一歩一歩橋を渡り始める。


人が歩く程度じゃ橋は揺れることさえない。


「これは完璧やわ!」


『本当か?』


続いて恐る恐るガルドが橋板に足をかける。


一歩また一歩と歩みを進める。


『これなら荷馬車が通ってもビクともしないぞ!』


ガルドが歓喜を上げる。


続いて村人たちも続々と橋に歩み寄る。


『うぉー!本当に完成だ!』


『交易路が復活したぞー!』


皆が笑顔になっていく。


その光景を見て、俺は思わず胸を撫で下ろした。


「よかった……。」


「ちゃんと橋を完成させられた。」


『翔斗。』


ガルドがこちらへ歩いてくる。


『……見事だ。』


『正直、ここまでやるとは思っていなかった。』


「おっ!」


「やっぱ認めたか?」


ガルドは小さく息を吐く。


『いや。』


『警戒レベルをさらにもう一段階引き上げる。』


「だから何でそうなんねん!」


笑いが起こる。


『橋は完成した!』


ガルドが皆へ声を張り上げた。


『皆の者!』


『道具を片付けろ!』


『今日は村へ帰るぞ!』


『おぉーー!!』


俺達は完成した橋を後にし、村への帰路についた。


その夜。


村では歓迎会に負けないほどの宴会が開かれた。


『よくやった!翔太よ!』


マヌルが労いの言葉をかけてくれた。


『翔斗こそ、この村の救世主よ!』


『何か褒美を取らせねばならん。』


『何が良いかな?』


俺は少し考えた。


借金もない。


武器も要らない。


そう。


俺の欲しい物は決まっていた。


「あの空き家をいただけませんか?」


俺の中ではここを拠点にすることは決めていた。


次こそはこの村を拠点に富を築く。


そして二度目の人生ではやりたいことを、やりたいようにやるんだ。


『ほう。空き家とな。』


『それくらい当たり前じゃ!』


『だがそれだけで良いのか?』


「はい!まず自宅が欲しかったので!」


『えぇ!?お兄ちゃんこの村に住むのぉ?』


フィアが話に入ってきた。


「うん!ここでしばらく世話になるよ!」


『やったー!じゃぁ明日からもずーっと一緒だね!』


「それは疲れそうだな。」


『うぁー!お兄ちゃんがいじめる!』


『そんなこと言わないでー!』


「冗談だって!」


村人たちから笑いがおこる。


『しかし翔斗は変わったやつじゃな!』


『御主は旅人ではなかったのか?』


「しばらく腰を落ち着けようと思いまして!」


「村の人たちもいい人ばかりですし。」


「皆さんが良ければしばらくはここに住みたいなと。」


『なるほどのぉ。』


『しかし生活するにも金は必要じゃろて。』


『空き家だけでは何か納得いかん。』


『少しばかりではあるが報奨金をやろう。』


「良いんですか!?そんなしてもらって!」


『よいよい!』


こうして俺は拠点となる住居と多少の金銭を得ることができた。


そして報奨金を受け取る。


「ありがとうございます!」


そう言って革袋を受け取る。


ずっしり重い。


そして一つの疑問が生まれた。


この世界に来てから色々ありすぎて気にしてなかったけど。


「……。」


「……そういや。」


「この世界の通貨って何なんや?」


「金銭感覚、全く知らんぞ!?」

ここまで読んでいただきありがとうございます!


第12話では、ついに崩れた橋を修復しました。


作り方もよく分からないまま模型から始まり、最終的には魔法の組み合わせで吊り橋を完成させることに。


翔斗本人も言っていますが、ほぼイメージ頼りです。


そして橋を直した報酬として、空き家と報奨金を手に入れました。


ようやく拠点らしいものを得た翔斗ですが、ここで重大な問題が発覚します。


この世界のお金の価値、全く分かっていません。


次回はそのあたりから、少しずつ商売の準備に入っていく予定です。


面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価、感想などいただけると励みになります!


それではまた次回!

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