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しがないただの商人です。~借金1000万オーバーのガールズバーオーナー異世界転生~  作者: 憂記ュゥ


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11/12

異形の魔法

ようやく村に到着した。


すっかり日も暮れ疲れた俺たちは、明日また集まる事にした。


『明日集会所に作業員も含め集めておく。』


「頼む!今日は疲れたし俺もさっさと帰って寝るわ。」


『おやすみ!ガルド!じゃぁまた明日ねー!』


『お兄ちゃん帰ろ!』


「なんでフィアも着いて来んねん!」


『お兄ちゃんと家隣だし?』


「あっ、せやったな。」


こうして帰路についた。


ガチャ


「ただいまー。」


と言っても返事はない。


俺はベッドへ腰掛け大きく息を吐いた。


今日は色々ありすぎた。


鉱山発見。


魔獣襲来。


神の加護。


そして橋の修復計画。


「そういや初めて魔獣倒したけどレベル上がったりするんかな?」


「戦闘終わってから確認してへんし。」


「一応ステータス見とくか。」


右手を振る。


ヴゥォン。


半透明の画面が現れる。


━━━━━━━━━━━━━━━

【只野 翔斗】


年齢:14歳

Level:45

種族:人間

職業:放浪者

━━━━━━━━━━━━━━━


「45!?」


「10も上がっとるやないか!」


「グリズリーホーンそんな強かったんか!?」


「いや、強かったわ。デカすぎやし。」


「てか職業放浪者に変わっとるやん!」


「なんやこれ!」


「元酒場マスターの方が響き良かったやろ!」


「放浪者て!」


「ただの住所不定無職やないか!」


「勝手に職業変えるなよ!」


さらに下に目をやる。


━━━━━━━━━━━━━━━

体力:72

魔力:Error

筋力:63

耐久:89

敏捷:56

器用:101

知力:126

精神:78

魅力:88

運:40

━━━━━━━━━━━━━━━

スキル


* 接客 Lv.9

* 交渉 Lv.MAX

* 話術 Lv.9

* 経営 Lv.7

* 危機察知 Lv.MAX

* 人心掌握 Lv.MAX

* 酒知識 Lv.8

* 計算 Lv.9

━━━━━━━━━━━━━━━


「危機察知と計算もレベル上がってるやん!」


「あのタイミング計れてなかったら死んでたしな。」


「危機は感じるだけで上がるんかな?」


続けて下に目をやる。


━━━━━━━━━━━━━━━

ユニークスキル


【慧眼】熟練度1

対象の感情・嘘・本質を見抜く。

観察力に応じて精度上昇。

情報を読み取る事も可能。

成長に応じて情報量増加。



【無限魔力】

魔力保有量の上限がなくなる。

更に魔力酔い、魔力欠乏症にならない。



【神の加護】熟練度1

天使より与えられた特別な加護。

保有者の安全を最優先とし、生命に重大な危険を及ぼすと判断された行動や能力の使用を自動的に制限する。

成長に応じて制限の一部が緩和され、新たな恩恵が解放される。

〔追加項目〕

・危機回避


━━━━━━━━━━━━━━━


「熟練度?なんか追加されてるやん。」


「神の加護に追加で回避能力もついてるし。」


「この熟練度が上がれば成長って事なんかな?」


「つまり使い続けろと。」


「いや。」


「加護ってどないして使うねん。」


しばらく考えた。


「いや、待て!何回死にかけなアカンねん!」


誰もいない部屋でひとりステータスを見ながら何度も叫んでしまった。


「まぁレベル上がってるしもーええわ。」


「明日から橋の修復やし早寝よ。」


「それにしても魔獣討伐の経験値美味いな。」


「意外と冒険者向いてるんちゃうか?」


「……いや、生死の境をずっと彷徨うのは嫌やわ。」


そう言いながらベッドへ倒れ込む。


そのまま俺は深い眠りへ落ちていった。


翌朝。


集会所には大勢の村人が集まっていた。


村長のマヌル。


警備隊長のガルド。


そして村人達。


全員の視線が俺へ集まる。


「えー。」


「皆さんおはようございます。」


思った以上の人数に少し緊張する。


「本日はお集まりいただきありがとうございます。」


「これより橋の修復計画について説明します。」


『まず聞きたい。』


村長のマヌルが腕を組みながら口を開く。


『本当に橋を直せるのだな?』


「大丈夫です!」


「たぶん!」


『たぶん!?』


集会所がざわつく。


『おいおい大丈夫なのか?』


『つい最近来たばかりの旅人だろ?』


『そもそも橋を直せるのか?』


村人達から不安の声が上がる。


まぁ当然やわ。


俺でもそう思う。


「皆さん落ち着いてください!」


「まず話を聞いてください!」


「昨日ガルドと一緒に橋を見ました。」


「思っているより酷い状態で修復魔法は使えませんでした。」


再び村人達がざわつく。


『静かにせんか!』


『翔斗が話しておるだろう。』


マヌルが静止してくれる。


『続けてくれ。』


「はい。」


「そこで近くに使えるものがないか散策し、鉱山を見つけました。」


「これがそこで見つけた鉄鉱石です。」


そう言って昨日掘り起こした鉱石を見せる。


「ガルドにも見てもらいましたが、これは純度の高い鉄鉱石です。」


「他にも石灰石や珪石などがあります。」


「これを使って橋の強度を高めます。」


『鉄で橋を作るのか?』


「いえ、そうではありません。」


「これでコンクリートや鉄線を作り、橋の補強に使います!」


『コンクリート?鉄線?』


『なんだそれは?』


そりゃ知るわけないわな。


ここは異世界やねんから。


「後で作るので、実際に見てもらいます!」


「そして主原料となるのは木材です!」


「鉄で橋を作ることも出来ますが、必要な材料が多すぎます。」


「それに時間もかかります。」


「なので骨格や補強だけに使用し、橋自体は木材で作ります。」


「木材は森に山ほどあります。」


「それにグリズリーホーンのおかげでたくさん薙ぎ倒されているので、一から切る必要もありません。」


「そして皆さんには、その材料集めを手伝って欲しいんです!」


『それだけで橋が直るのか?』


「直りません!」


『はぁ!?直らんのか!?』


集会所が再びざわつく。


「最後まで聞いてください!」


「まだ話半分も終わってませんから!」


『半分も!?』


『話長ない?』


「すみません。」


「ここからはサクッといきますね!」


「この材料を元に俺の魔法で橋を作ります!」


『魔法で?』


『橋を?』


『作れるのか!?』


『皆の言うこともわかる。』


ガルドが一歩前へ出た。


『正直、俺も最初は信じていなかった。』


『だが出来そうなんだ。』


集会所が静まり返る。


『俺もこの目で見た。』


『こいつは魔法で橋脚の一部を直してみせた。』


『修復魔法とやらで壊れたものは、部品が全て残っていれば元に戻せるらしい。』


『なんだその魔法。』


『そんな話聞いたこともないぞ?』


『俺もそう思った。』


『だが、この目で見たのだ。』


『こいつの魔法は異形だ。』


ガルドの言葉に村人達も顔を見合わせる。


『……なるほど。』


『なら、そのコンクリート?』


『鉄線?』


『とやらを見せてくれ。』


そして俺はみんなの前で実演した。


実際にコンクリートなんて使ったことはない。


分量も知らんが魔法はイメージだ。


材料だけは知っている。


砂と砂利と水と容器を用意してもらった。


石灰石。


砂。


砂利。


水。


頭の中で材料を混ぜ合わせる。


固く。


強く。


橋を支えられるように。


「形成!」


容器の中はドロドロのコンクリートになっていた。


「出来た!」


『なんだこの泥は。』


「これが乾くとカチカチに固まるんですよ!」


『泥がか?』


『そんな馬鹿な。』


『わぁー!ドロドロー!』


フィアが触る。


「フィア!触るな!」


「火傷するかもしれんから!」


『ほんとだー!熱ーい!』


フィアの手は赤くなっていた。


『フィアット!?』


当の本人は楽しそうに笑っている。


「放っておくと危ないから手を出しなさい!」


俺は右手をかざす。


「ヒール!」


なんとか大事には至らなかった。


「フィア!ホンマに遊びちゃうんや!」


「危ないし勝手なことしたらアカン!」


『ごめんなさい。』


フィアが尻尾を丸めて端の方へ引っ込んでいった。


「とにかくこれが乾燥すれば固まるんです!」


「試しに固めてみます!」


頭の中で乾燥後の状態をイメージする。


乾燥。


気温。


湿度。


風。


「硬化!」


「よし!固まった!」


『おー!すごい!』


『これは岩じゃないか!』


「次は鉄線を作りますね!」


ワイヤー。


鉄。


ロープ。


針金。


「形成!」


「よし!」


『うぉー!なんだその細い鉄は!』


『こんな物が魔法で作れるのか!?』


『鍛冶屋でもこんな芸当出来ないぞ?』


『本当に橋を作れるのかもしれん……。』


村人達の視線が変わる。


疑いの目ではない。


期待の目だった。


「だから言ったでしょ?」


「大丈夫です!」


「……たぶん!」


『またか!!』


集会所に大きな笑い声が響いた。


『よし!それなら早速部隊を結成する!』


マヌルが勢いよく立ち上がる。


『ガルド!材料集め、資材運搬、補助、その他何人程向かわせられそうだ?』


『そうですね。』


『村の警備も考えると十五いや二十名ほどかと。』


『翔斗!この人数で何日かかる?』


「二日あれば終わると思うけど。」


『何!?おい、お前それは本当か?』


ガルドが唖然としている。


「まぁ材料どれだけ集めれるかだけやからなぁ。」


『ならば村の警備はかなり手薄になるが、八十名ならどうだ?』


「それなら一日で出来るんじゃないか?」


『村長。いかがでしょう?』


『うむ。構わん。』


「比率は俺が決めていいか?」


『わかった。言ってくれ。』


「資材集め二十五名。」


「運搬五十名。」


「補助五名。」


「残りは現場判断で動いてもらう。」


「これで行こう。」


『よし!』


『ならば早速橋へ向かうとするか!』


「いや、明日にしよう。」


『何故だ!?』


「もう昼だ。今行っても明日に持ち越してしまう。」


『…まぁ、それもそうか。』


『ならば明日の早朝より作業開始だ!』


歓声が上がる。


俺も一安心だった。


材料もある。


人手もある。


後は作るだけ。


そう思いながら帰ろうとした時。


『翔斗。』


ガルドが呼び止める。


『一つ聞き忘れていた。』


「ん?」


『橋はどうやって作るんだ?』


「……。」


集会所が静まり返る。


それを聞くなよ。


まだ考えてへんねん。


てか使ったことないねんて。


せっかく安心しとったのに。


『何故黙っている。』


「いや。」


「あのー。」


「まだ考えてへん。」


数秒の沈黙。


『はぁぁぁぁぁぁ!?』


『今までの話何だったんだ!?』


『材料だけ集めて満足してたのか!?』


『お前本当に大丈夫なんだろうな!?』


村人達の悲鳴が集会所に響き渡る。


その中で俺は思った。


いや。


まぁなんとかなるやろ。


たぶん。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


ようやく橋の修復計画が動き出しました。


なお本人は材料を集めた段階で満足しており、肝心の工法はまだ考えていません。


次回、橋工事スタートです。


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