10話
凌さんチームと合流し、レジに向かう。
ピッと商品のバーコードを読み取られている間、ハンバーグに欠かせないつなぎが無いことに気づいた。
「あ、あの、」
「お会計9207円です」
「あ…」
「クレジットで」
「はい、こちらにお願いします」
(ああ…)
言えずに終わってしまった。
というか、凪沙さんが余計なものをたくさんカゴに入れたせいで金額が大変なことに。
けれど、気にする素振りもなくお金を払ってくれる。
ほんとに予算なんて気にしてないんだ。
大山さんの太っ腹さに感心しながらも、足りないつなぎのことで頭がいっぱいだった。
家に帰って、私と凪沙さんはピザのアレンジを、凌さんと悠くんはハンバーグを作っている。
…はずなんだけど…
「おい、これ固まらないぞ」
「ハンバーグっぽいなにかは出来てるんですけど…」
「えー?材料はちゃんと買ったんだよね?」
「…つなぎが何一つありませんでした」
「つなぎ?」
「はい。ハンバーグには玉ねぎとひき肉だけでは固まりません。つなぎが必要です」
私の淡々とした説明に、他の人はみんなはてなマークを浮かべる。
「卵とパン粉があればいいんですけど…」
私はサッと手を洗って、冷蔵庫を覗く。
「あ、卵あります」
少しだけ、希望が見えた。
「よしっ、卵入れよ」
何個?と凪沙さんが勢いよく聞いてくる。
「あー…じゃあ、2個で」
「2個ね、オッケー」
凪沙さんの卵の割り方は、なんというか豪快だった。
「あ、から入った…まって、この白いの何?…えー、ムズ…」
こんなことをブツブツいいながら。
心配だけど、次に進めなきゃ。
「あの…牛乳は…?」
「あるぞ」
「パン粉は…」
「ビスケットならある!」
ビスケット…
「…はい、もうそれでいいです」
なんだか、不思議なハンバーグが出来そうだった。
ビスケットハンバーグは意外と食べられそうだった。
「それじゃあ、凪沙さんはピザのアレンジを続けてください。私たちで、たこ焼きの生地を作りましょう」
「ラジャ!」
「分かった」
「ここは狭いから、あっちのテーブルでいいか?」
「はい」
凌さんはボウルを持って、ダイニングテーブルに移動した。
「大山さん、退けてください」
「はいはい」
凌さんは、わざわざ大山さんに退けてもらって席を確保した。
「じゃあまずは、」
私は、指示を出しながらたこ焼きの生地を作った。
「よっしゃ、完成!」
ピザが焼き上がり、ビスケットハンバーグは意外にも綺麗な形を保っている。そして、たこ焼き器の準備も万端。
凪沙さんがアレンジしたピザは、信じられないくらい本格的だった。
私が選んだベーコンピザには、モッツァレラチーズととろけるチーズが散りばめられていて、マルゲリータピザには薄切りになったトマトが点在していて、その下には玉ねぎ、ピーマン、とろけるチーズがあった。
「すごい…本格的だ…」
「でしょ?さ、たこ焼きもどんどん焼いちゃお!」
凪沙さんは、たこ焼き器に生地を流し込んだ。




