第11話 救世主
「甘いなポール君。その10倍ってとこじゃないのか?」
「って事は......100体ってコト? ネズミカ? ネコカ? カピバラカ?」
ガルルルルッ!
ガルルルルルルルルッ!
「きっとナマケモノだろうよ。そろそろ来るぞっ! ハッ、ハッ、ハッ!」
エマが武者震いを押し消すかのように、見事な大笑いを繰り出したその時だった!
ガッシャ~ン!!!
突如四方の窓ガラスが同時に砕け散ったかと思えば、次の瞬間には、
ワンワンワンッ!
バウワウワウッ!
「犬コロだっ!」
「デッ、デカイッス!」
気付けば、廊下からも部屋の奥からも、ありとあらゆる所から、無数の大型犬が押し寄せて来ているではないか!
その数、10、20、30......エマの予測に違わず凡そ100匹に達っしている。
刃物を振り上げようが、銃を撃ちまくろうが、手榴弾を投げ飛ばそうが、到底押さえ切れるような数じゃ無かった。
怒り狂うそんなハンター達は、揃って鋭いキバを剥き出し、『ぶっ殺してやる!』オーラをふんだんに撒き散らしてる。
「ヒエ~ッ!」
手榴弾を投げ飛ばす事も忘れ、威に圧倒されるポール。
このままでは一瞬にして骨と化してしまう......そんな恐怖に包まれる中でも、エマは実に冷静だった。
バサッ。何やら近くで物音が立ち上がったかと思えば、
「あれっ、エマサンがイナイ?」
ポールがキョロキョロ周囲を見渡していると、
「早く飛べ! 食われちまうぞ!」
見ればなんと、エマは天井から垂れ掛けた照明にぶら下がっているではないか。
「さすがエマサン。ホイッ!」
バサッ。
ブラ~ン、ブラ~ン......
エマの機転で、間一髪難を逃れた2人。しかし、下を見下ろしてみると、
「ワン、ワン、ワンッ!」
「バウワウワウッ!」
無数の大型犬達が、足の踏み場も無い程に埋め尽くし、今にもポールの足に噛み付こうとしている。ここに来て長身が仇になったようだ。まぁ、よく跳ねること跳ねること......
「ヒエ~ッ! 足咬マレル!」
ブラ~ン、ブラ~ン......
そして更に災難は続いた。
ミシミシミシ......
ミシミシミシ......
「ヤバいッス! 天井が落ちソウッス!」
天井が落ちないまでにも、いつ照明が落ちるやも分かったもんじゃない。
「はて、困ったもんだ。いい加減、手も痺れて来たな......」
見れば、エマの腕から再び血が流れ落ち始めている。ガラスで切り裂かれた傷が再び開いてしまったようだ。
「エマサン、どうしまショウ?」
「ちょっと待ってろ。今考えてるんだから」
エマはポールを取り残し、再び無我の境地へと迷い込んでしまった。
①今更ながら手榴弾をぶん投げるってのは?
→犬と一緒に自分らも木っ端微塵! ダメだこりゃ!
②上から銃を撃ちまくる。
→その数、約100。何とか弾は足りそうだが、この後の戦いが丸腰になる。そりゃ何とか避けたいわ......
③このまま犬が諦めて居なくなるのをひたすら待つ。
→諦める前に天井が落ちる。諦めそうにも無いし......
こいつは困ったぞ!
何も策が無いじゃんか!
やっぱここは銃を撃ちまくって、この先はまた出直すしか無いか......エマの頭の中で『撤退』フラッグが立ち上がり掛けた正にその時の出来事だった。
突如、
ブウォ~ン!
何かを放出するような音が立ち上がったかと思えば、次の瞬間には、目の前の景色が一気にオレンジ色へと染まっていく。
キャン、キャン、キャンッ!
キャン、キャン、キャンッ!
「なっ、何なんデショウ?!」
「よく分からんけど、犬達がやたらと怯えてるぞ!」
ブウォ~ン!
ブウォ~ン!
それはまるで、何かを放射しているかのような音だった。
一体、何を放射してるって言うんだ?
誰が? また何の為に?
やがて、オレンジ色の光がどんどん明るさを増していく。
そして遂に......その光の正体が露となった!
「犬ごときがナメんじゃ無いわよ!」
ブウォ~ン!
ブウォ~ン!
キャン、キャン、キャンッ!
キャン、キャン、キャンッ!




