表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/97

第20話 HOTEL MERMAID

 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 一方、そんな2人の後ろ姿を追いながら集結を果たした10人の刺客達はと言うと......


「兄貴、連中は裏口からこのビル内に入って行ったようです!」


 部下からそんな報告を受けた『兄貴』なる者。落ち着き払った仕草、貫禄十分な風貌から察するに、この者達のリーダーと思われる。


 とは言っても別に身体が大きいとか、強そうとか、そう言う訳じゃ無い。寧ろ小柄で弱っちくも見えたりする。


 年の頃、50過ぎと言うところだろうか。頭はスキンヘッド、牛乳ビンの底のような眼鏡を掛け、何か宗教めいた雰囲気を醸し出している。


『インチキ霊媒士』とでも言えば、きっとそのイメージに近いのだろう。



 そんな『兄貴』なるリーダーは、徐にビルの屋上に目を向けた。そこには真夜中であるにも関わらず、やたらと大きなネオン看板が七色に光り輝いている。


『HOTEL MERMAID』


 そんな文字が描かれていた。



「ホテル マーメイドだと? それは何かのシャレか? 全く......こんな所へ逃げ込めば助かるとでも思ってんのか? まぁいいだろう。とっとと捕まえてやる。お前達2人は裏口を張ってろ。お前とお前は正面入口。残りの5人は俺に付いて来い!」


「「はっ!」」


「「承知致しました!」」


「「了解です!」」


 美緒と摩耶に引き続き『兄貴』ご一向様もまた禁断の扉を開けたのだった。


 ギー、バタン。



 時刻は既に深夜4時近く。警察が『BAR SHARK』に乗り込んで来た時刻とほぼ一緒だ。


 店内に入ると同時に6人の黒服集団は一気に薄暗い廊下を駆け抜けて行った。


 店名を『マーメイド』とつけているだけに、絨毯の色はエメラルドグリーン。


 更に壁紙は水色ときている。きっと南国の海をイメージしているのだろう。


 ロビーの中央に飾られていたヨットの模型を踏み倒しながらロビーへ駆け込んで来た黒服男達は『事務所』と書かれた扉を乱暴に開け放つ。


 バタンッ!


「なっ、なんだ君達は?!」


 事務室の片隅でカップラーメンをすすっていた支配人らしき七三分け男が、割り箸をぶっ飛ばしながら驚きの表情を浮かべている。出川顔負けのナイスリアクションだ。


「若い女が2人入って来ただろう! どこに居る?!」


「若い女2人だと? 知るかそんなもん!」


 見れば、事務机の上には複数のモニターが。きっと防犯カメラが捉えている映像なのだろう。


 そしてそんな支配人のすぐ目の前にはテレビが。きっと支配人はカップラーメンを食べながら、モニターよりテレビに夢中だったに違いない。


「よしっ、片っ端から部屋を開けてくぞ。お前、ルームキーを全部よこせ!」


「んなバカな! そんな事出来る訳無いだろ。お前達分かってんのか? ここはラブホだぞ。ラ・ブ・ホ! しかも今日は結構客多いし」


「客の事なんてどうでもいいわ! 早くルームキーをよこせ! さもないと......」


 気付けば、なだれ込んで来た黒服6人は揃いも揃って銃を構えている。それらの者達の浮かべる鬼の形相を見れば、それが脅しで無い事くらい凡そ想像がつくものだ。


 ところが支配人は見事なまでの食い下がりを見せたのである。


「はは~ん、そんなオモチャで俺を騙そうってか? ルームキーは絶対渡さんぞ。撃てるもんなら......」


 プシュン! ビシッ! 


 兄貴の放った縦断が、見事カップラーメンに命中する。


「はい、どうぞ。これがルームキーです」


 論より証拠......撃って見せるのが一番早い。支配人は借りてきた猫の如く大人しくなり、ラジャーと言わんばかりに、ルームキーの束を兄貴に手渡したのである。口ほどにも無い。


 すると兄貴は満足気な表情を浮かべながら部下達の顔を見渡した。


「よし、お前はここでモニターを見張ってろ。あとの4人は俺に付いて来い!」


「「「了解!」」」


 ロビーの壁には、各々の部屋の写真が掲げられ、それぞれに『使用中』ランプが密接している。このランプが点灯していれば現在『使用中』と言う事になるんだろう。


201『トロピカル』

202『サンセット』

203『な・ぎ・さ』

301『ポセイドン』

302『ドルフィン』

303『シュリンプ』

401『チャモロ』

402『マンタ』

403『若大将』

501『マーメイド』


 全5フロアー10室。名前から察するに、全ての部屋が海をイメージした志向で統一されてるようだ。


 中でも一番目を引く部屋が『マーメイド』。このホテルと同名なるその部屋は最上階(5階)に位置し、1泊4万円、休憩でも2万5千円と他の追随を許さぬ金額と豪華さを誇っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ