16話 派閥
冒険者ギルドにつく頃にはすっかり日が昇ってしまっていた。
ちょっと遅すぎたかも。
受付は三か所あったがソフィーがいたのでソフィーのいる1番左の列にならぶ。
しばらく並んでいると後ろの冒険者から声をかけられた。
「おい、見ない顔だがお前もソフィーちゃん派か?」
「は?」
思わず口から出てしまった。
「隠さなくても大丈夫だって、俺もソフィーちゃん推しだ。ていうかこの列に並ぶということはソフィーちゃんが好きだってことなんだよ。」
なんだそれ。
だが言われてみれば受付の3人はそれぞれ違った感じの美人だから派閥ができるのも納得できるかな…?
ううん…、まあできるかな。
「じゃあソフィーで。」
ていうかソフィーとしかまだ話したことないし。
「そうだよな、ソフィーちゃんが1番だよな。」
男が頷きながらそう言った。
「おい、それは聞き流せないな。」
そんなことを話していると隣の列から男が割って入ってきた。
「どう考えてもアリアちゃんが1番に決まってるだろうが。」
「なんだと?どこがいいか言ってみろよ。」
後ろの男が言い返すと右の列からも割り込んできた。
「お前らミアちゃんを忘れてないか?」
「いーや、どう考えてもソフィーちゃんだ。」
「いやアリアちゃんだね。」
「ミアちゃんが一番。」
そう言って、言い合いを始める三人の男たち。
すると前に並んでいた男たちだけじゃなく、酒場で飲んでいた男たちも混ざって誰が一番かを言い争い始めた。
「ソフィーさんに決まってるだろ。あのおっぱいをみろよ。」
「これだからソフィーちゃん派は。おっぱいでしか考えられないのかよ。」
「スレンダーなアリアちゃんのほうがいい。」
「そうだそうだ。」
「いや、ミアちゃんは俺らにも明るく話してくれるぞ。」
「そうだ、愛嬌が一番だ。」
おかしいな。
ただ並んでいただけなのに冒険者たちが集まって取っ組み合いの喧嘩が始まっている。
酒場からは野次が飛び交っている。
どうしようか。
その様子を眺めながらそんなことを考えていると、受付のソフィーが手招きをしているのが見えた。
「大変でしたね、アスタさん。」
「いや大丈夫。面白いし。」
「いやいや、本当に困っちゃいます。」
ソフィーが苦笑いしながらそう言った。
「その人がこの前言っていた人ですか?」
そう言って真ん中の受付の水色の髪の女性が話しかけてくる。
「初めまして、アリアです。」
すると右の受付の子もしゃべり始める。
「あ、ミアもミアも。よろしくね。」
そう言って自己紹介を始める二人。
「アスタです。よろしく。」
自己紹介が終わったところで二人はそれぞれの受付に戻っていく。
女性の冒険者たちは喧嘩をしている男たちを白い目で見ながら受付に進んでいく。
「あ、アスタさん。冒険者証ができてるのでお持ちしますね。」
そう言って裏に下がっていくソフィー。
「お待たせしました。これが冒険者証です。」
そう言って持ってきたのは銅色に緑のラインが入ったカードだった。
「アスタさんはCCからのスタートになります。」
「わかった。ありがとう。」
そう言ってカードを受け取る。
「これでダンジョンに行っても大丈夫?」
ソフィーに尋ねる。
「はい、問題ありませんよ。ソロですか?」
「そのつもりだけど?」
「そうですか。掲示板には依頼任務だけではなくパーティの募集もされているので良かったら見てみてください。」
「了解。」
「それではお気を付けて。」
「いろいろありがとう。」
そう言って受付を離れる。
まだドタバタとしている男たちを尻目に受付を離れる。
ダンジョンは冒険者ギルドの地下に入り口があるらしい。
地下に向かう階段を下っていく。
「「「いい加減にしてください(しなさい)(してね)。」
後ろから受付の三人のそんな声が聞えてきた。




