火の玉スパーク
シキの祈祷は割とどんどん調子に乗っていった。
…ただし本気で好きになられたら~即重荷になるタイプぅ~で~!
かしこみ~~~」
安い鐘の音
静寂が訪れる。その後少しの間をおいて、
タマキは膝を抱えて床に座り込んだまま、ぼそりと呟いた。
「……俺は、昔からそうなんだよ」
みんなの視線が集まる。
「幼稚園の頃から、小学校、中学校……いい感じになりかけて、いつも肝心な
ところで失敗する。
チャットの返事が来なくなって、既読スルーされて、急に距離を置かれて……
『優しいね』って言われるたびに、『友達止まり』って宣告されてる気がしてさ」
ぬるたろが心配そうに近づいてくるが、タマキは小さく笑って手を振った。
「女の子じゃなくても誰かに承認されたいって、ずっとな…。。
『おもしろい』とか『一緒にいたい』とか、そんな普通の言葉でいいから……。
一度でいいから本気で欲しかった。でもいつも空回りして、
結局『いい人』か微妙なヤツで終わる」
部屋が少し静かになった。シキは神棚に向かったまま、
珍しく言葉を詰まらせた。「……ったく、急に本音かよ」
タマキは膝を抱えたまま、ぽつりと続けた。
「……中二病になってからは、唯一認めてくれた子がいたんだ」
部屋の空気がさらに変わる。「痛いくらい中二全開だった頃に、
笑わずに聞いてくれて、『そういうところ、面白いね』って言ってくれた。
本気で認めてくれてる気がした。
でも彼女、1年後に家の都合で突然転校することになって……
俺、意地張って自分から連絡先聞かなかった。
彼女から教えてくれそうな気がしてたんだ。
『こんな俺でもわかってくれるやつがいる』ってプライドが邪魔してさ。
『また会えるだろ』って思って……結局、それっきり。」
タマキは自嘲気味に笑った。「それ以来、なんでも良くなっちゃった気がしてね。
全部、あの時の後悔が繋がってるのかもな……く……」
クレハ「‥‥タマキ。」
ぬるたろがタマキの膝に飛び乗り、顔をすり寄せる。
シキは神棚に向かったまま、珍しく神妙な顔をした。
「……悪かった。今度お前のために出来ることちゃんと考えるよ。」
すると神棚のろうそくが、プスッと音を立てて消えた。
シキ「……ん。なんか反応きた」
タマキ「え?」
シキ「今、少しははっきり見えた。お前の恋愛運が……。
でもな、タマキ。お前が一番欲しかったのは、
『中二のお前も、普通のタマキも、ただ…受け入れてくれる誰か』
なんだろ?」
タマキ「……」
クレハ「シキ、意外と当たってるのかな……」
ミコト「これは占いなどではなく、カウンセリングである」
タマキはため息をついて、ぬるたろの頭を撫でながら小さく笑った。
少しだけ本音の重さと笑いが混じった午後のゆるい時間。
タマキ「で・・・結局、俺の恋愛運ってどうなったん・・」
……そのとき、だれも気付かない神棚の鏡の中で
小さなスパークが発生していた。
(続く)
クレハとぬるたろ




