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32/40

恋愛運は神棚が泣く

ドアを開けると、3人衆が勢揃いしていた。弓削クレハが元気よく

ピースサインをしながら、

「よっシキー! 遊びに来たよー!☆」


北条ミコト(委員長)が眼鏡を光らせてニヤリと笑い、

「今日のメニューはタマキの恋愛運占い……である。」

シキ「……お前ら来る理由そうだったっけ。。」


そして――山田タマキは一瞬顔を赤くしてモジモジした後、

急に目を細めて右手を胸に当て、左手を前方に突き出した。


タマキ(中二全開)「……ふっ。闇の眷属たる我が魔っっじゃがんが、

今宵も貴女の深淵なるオーラを捉えた……!

運命の赤い糸が、俺とシキとの間に……!」




2.5秒の沈黙シキ「……噛むな。それともう邪眼なのか魔眼なのかわからねえよ。」

タマキがかなり身を乗り出しながら、「え、違う、違うんだ! 今のはその、

ちゃんと占ってもらう前の雰囲気作りで……!」

シキ「近寄んな。キモい」

タマキ「ぐ…あっ!?」

クレハ「ぷっ……あはははは! タマキ即死www」

ミコト「会うなり自爆……ッフ。最新記録更新である」


ぬるたろ「ちゃむっ!」(楽しそうに震えてる)

タマキは顔を両手で覆いながら後ろに下がり、壁に寄りかかって小さくなる。

「うう……俺、なんでいつもこうなるんだ……」


この3人の女子はいずれもタマキを恋愛対象とは微塵も思っていない。

ただ友達として心配しつつも、他人事として「いじって遊ぶ」という下衆な欲求には

勝てなかったのだ。

そんな最低のエンタメタイムが、今始まろうとしている…。


シキは重いため息をつきながら三人を部屋に上げる。

タマキ「シキ…これは今回の依頼料がわりだと思ってくれ。

今割と俺的に盛り上がってるサイバー野郎2117の1~3巻だ。

デジタルじゃないのはなかなか手に入らない。」

シキは短行本を受け取る。

「ああ。さんきゅ。」


ぬるたろはタマキの膝の上にぷるんと乗っかって、慰めるようにぷるぷるしている。

クレハが早速本題を切り出す。

「ねえシキ! タマキ最近マジで彼女欲しいらしいんだけど、

中二が治らなくてこのまま童〇確定しそうで心配なんだよね~。

占ってあげてよ!」

ミコト「フフ。心配も心配。超心配。」

タマキ「ちょっと! お前ら本当に友達か!?」

シキ「……わーったよ。占ってやるから座ってろ」


シキはため息を一つ吐くと、何故か汚部屋の隅に設置している神棚の前に

あぐらをかいた。

適当に棚から取り出した白い布を被せ、怪しい小瓶を片手に持つ。

シキ「……よし、まずはお前の現在の運勢がどんなもんかしっかり見ないとな?」

タマキ「え、風水?」


シキは目を細めて適当に手を振りながら、

「らーてーらーてー……あいすらーてー……」

と早速きわめて適当な般若心経風の呪文を唱え始めた。

タマキ「え…。シキってなんか西洋系の魔法じゃなかったっけ?」

シキ「……」

(一瞬無言でタマキを睨む)

シキ「私は頼れるものはなんでも頼るんだよ。魔術は危険なんだ。

中二ならそれくらいわかんだろ!」

タマキ「う、うん……」


シキは適当に目を閉じて数秒黙った後、

突然顔をしかめて「ウゲ……」と漏らした。

シキ「……お前やば‥」

タマキ「え……?」

シキ「まずは邪気払いが必要だわお前」


シキは立ち上がると、神棚の前に正座し直した。

100均の白い布を被せ、炭酸水の小瓶を振りながら手を合わせる。

シキ「……よし、邪気払い本番だ」

タマキ「え、マジでやるの!?」

クレハ「うわ、シキ本気モードきたwww」

ミコト(眼鏡を上げて目を細める。)


シキは静かに目を閉じて胸の前で印を組み、真顔で詔風に祈り始めた。

シキ「天垂たらす大神大御神様……だいごんげん~。

この童〇をどうに~かしてください。

いっそーいっそーのこと風〇いけ。

彼女ができなかった~ら、こいつ一生童〇であ~る~~~

かしこみ かしこみ 奉り~~~そうらえ~~」

鈴のチーーーン

一同(沈黙)


(続く)



挿絵(By みてみん)

北条ミコト


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