恋愛運は神棚が泣く
ドアを開けると、3人衆が勢揃いしていた。弓削クレハが元気よく
ピースサインをしながら、
「よっシキー! 遊びに来たよー!☆」
北条ミコト(委員長)が眼鏡を光らせてニヤリと笑い、
「今日のメニューはタマキの恋愛運占い……である。」
シキ「……お前ら来る理由そうだったっけ。。」
そして――山田タマキは一瞬顔を赤くしてモジモジした後、
急に目を細めて右手を胸に当て、左手を前方に突き出した。
タマキ(中二全開)「……ふっ。闇の眷属たる我が魔っっじゃがんが、
今宵も貴女の深淵なるオーラを捉えた……!
運命の赤い糸が、俺とシキとの間に……!」
2.5秒の沈黙シキ「……噛むな。それともう邪眼なのか魔眼なのかわからねえよ。」
タマキがかなり身を乗り出しながら、「え、違う、違うんだ! 今のはその、
ちゃんと占ってもらう前の雰囲気作りで……!」
シキ「近寄んな。キモい」
タマキ「ぐ…あっ!?」
クレハ「ぷっ……あはははは! タマキ即死www」
ミコト「会うなり自爆……ッフ。最新記録更新である」
ぬるたろ「ちゃむっ!」(楽しそうに震えてる)
タマキは顔を両手で覆いながら後ろに下がり、壁に寄りかかって小さくなる。
「うう……俺、なんでいつもこうなるんだ……」
この3人の女子はいずれもタマキを恋愛対象とは微塵も思っていない。
ただ友達として心配しつつも、他人事として「いじって遊ぶ」という下衆な欲求には
勝てなかったのだ。
そんな最低のエンタメタイムが、今始まろうとしている…。
シキは重いため息をつきながら三人を部屋に上げる。
タマキ「シキ…これは今回の依頼料がわりだと思ってくれ。
今割と俺的に盛り上がってるサイバー野郎2117の1~3巻だ。
デジタルじゃないのはなかなか手に入らない。」
シキは短行本を受け取る。
「ああ。さんきゅ。」
ぬるたろはタマキの膝の上にぷるんと乗っかって、慰めるようにぷるぷるしている。
クレハが早速本題を切り出す。
「ねえシキ! タマキ最近マジで彼女欲しいらしいんだけど、
中二が治らなくてこのまま童〇確定しそうで心配なんだよね~。
占ってあげてよ!」
ミコト「フフ。心配も心配。超心配。」
タマキ「ちょっと! お前ら本当に友達か!?」
シキ「……わーったよ。占ってやるから座ってろ」
シキはため息を一つ吐くと、何故か汚部屋の隅に設置している神棚の前に
あぐらをかいた。
適当に棚から取り出した白い布を被せ、怪しい小瓶を片手に持つ。
シキ「……よし、まずはお前の現在の運勢がどんなもんかしっかり見ないとな?」
タマキ「え、風水?」
シキは目を細めて適当に手を振りながら、
「らーてーらーてー……あいすらーてー……」
と早速きわめて適当な般若心経風の呪文を唱え始めた。
タマキ「え…。シキってなんか西洋系の魔法じゃなかったっけ?」
シキ「……」
(一瞬無言でタマキを睨む)
シキ「私は頼れるものはなんでも頼るんだよ。魔術は危険なんだ。
中二ならそれくらいわかんだろ!」
タマキ「う、うん……」
シキは適当に目を閉じて数秒黙った後、
突然顔をしかめて「ウゲ……」と漏らした。
シキ「……お前やば‥」
タマキ「え……?」
シキ「まずは邪気払いが必要だわお前」
シキは立ち上がると、神棚の前に正座し直した。
100均の白い布を被せ、炭酸水の小瓶を振りながら手を合わせる。
シキ「……よし、邪気払い本番だ」
タマキ「え、マジでやるの!?」
クレハ「うわ、シキ本気モードきたwww」
ミコト(眼鏡を上げて目を細める。)
シキは静かに目を閉じて胸の前で印を組み、真顔で詔風に祈り始めた。
シキ「天垂大神大御神様……だいごんげん~。
この童〇をどうに~かしてください。
いっそーいっそーのこと風〇いけ。
彼女ができなかった~ら、こいつ一生童〇であ~る~~~
かしこみ かしこみ 奉り~~~そうらえ~~」
鈴の音
一同(沈黙)
(続く)
北条ミコト




