また別のダイブ (中編) 深淵へ
アグマ(力の言葉)の儀式。深い瞑想
呼吸を整え、暗い部屋の中で魔法の助けを得ながら意識を深く深く沈めていく。
低い声で前後に多少揺れながら、ひたすら詠唱を重ねる。
聞き取りにくいが平たくいえばこんなニュアンスの文言を繰り返している。
(深淵へ安全に降り、河の岸辺にて叡智を得ん)
魔女の血脈が持つ古の技術——深淵への瞑想による一族の記憶回帰。
成功すれば、数世代ではきかないくらいの先祖の知恵を断片的に
引き出せるかもしれない。
なかばトランス状態にまで深く沈降することが必要だ….「……スー……スー…」
時間はもうわからない。もう周囲の音も聞こえない。全てが静寂を保っていた。
‥‥来る。
シキの体がビクンと震えた。
黑い風景‥‥悪夢の奔流。
暗い森の中、燃えるような赤い月が浮かんでいる。
何世代も前の魔女たちが、鎖に繋がれ、血を吐きながら何かと
対峙している。
「……」
その名が、幾重にも重なって響く。一族の存在理由
——「我々は、あの白銀の災厄を封じる最後の楔である」
「血脈を絶やしてはならない。彼の者が‥‥とするその日まで……」
断片的な記憶が、ナイフのようにシキの脳を切り裂いていく。
一言でいえば確執。数百年前、いや千年以上前に魔女の一族がそれを封じようと
して全滅しかけたこと。
それが半ば余興に興じるがごとく、たびたび魔女の血筋を弄び続けてきたこと。
愛情とも憎悪ともつかない、歪んだ執着。
‥‥‥。
「……うぐっ……!」シキの鼻から血が滴り落ちた。
「いや…今知りたいのはこれじゃない。」
体が重い。肺が鉛のように沈む。朝倉チヨメの感情と一族の記憶が
ぐちゃぐちゃに絡みつく。
暫くのち…遂に。天上より幽玄とした・・・・杖持つ黒い女性の影がゆっくりと、
私のいる此の場所へ降りてくる。其の叡智に、其の神秘に。指先をもって導く
…朧げだがはっきりと…。これが‥‥ご先祖様のエーテル?
暖かい。幾重もの魔法のヴェールで包みこまれるような不思議な感覚。
パコン。
シキ「っ
ポコッ!!!!
????????????なんだこいつ?!」
杖で2発もぶんなぐってきやがった・・・・。おまけに何か言ってる。。
。
すんごい言ってる・・・。声が特大でけえし、身振りがんがんやってる。
でも聞き取れない。しかもこいつ怒ってる・・・???????
とにかくたけえガキみたいな声で◆×▽※♡!!!○※×□!!!!
全然わかんない。。。。え・・・・。ちょ・・・・まて
・・・・そこで特大火球はやめとけ・・・・・。
お願いですからほんと・・許して下さ…
おいーーーーーーーーーーー…ジュワ。
「うわああああ」
シキは頭蓋骨が割れそうな痛みの中、息も絶え絶えになりながら
瞑想から目覚めた‥‥。
「……わかった……はあっクソ。必要な素材は……必要な素材は
『星影の木の実』……」
シキは掠れた声で呟いた。「……しかし……現代にはもう存在しない……
四百年前に絶滅した植物…………」
その瞬間、吐きそうになり益々…。うぷ!!
チヨメの影響がシキの体にも表れ始めた。
アパート中のおっさん、にいちゃん、おばあちゃんの声が
全員一斉にクリアに聞こえてきやがる。。。。
これは…マジでアノマリー化の兆候かもしれない。視界の端が白く染まり、
指先が小刻みに震え、チヨメの奔流が胸の内で暴れ出す。
「……あ……やべ……」シキの体が前のめりに倒れ、床に崩れ落ちた。
昏倒‥‥‥‥‥合掌。




