茶会ダイブにて候(中編)軍事オタク兄弟
暫くして…巨大庭園の吹き抜けテラス。
人工の陽光が柔らかく差し込む中アサクラのプライベートお茶会は
予想以上に賑やかになっていた。
ヤマトが梅こぶ茶を啜りながら目を輝かせる。
「ねーねーシキ。うちの祖父が前近代的な空母を5隻運用してるんだけど、
名前がもうおじいちゃんの軍国センス丸出しでね!
名前からして【侍魂】【黒光】とか。ちょっとおかしいよね!
それに君も知ってる通りコーポ間の戦争なんてAUNの下じゃもう無いだろ?
標的艦とかはリユースの方向性として地味でつまらないし。
AUN(世界政府)へレンタルするにしてもちょっと型落ち感が強くてさ……どう思う?」
シキは完全に固まっていた。
「……わかんねえよ」
ヤマトの耳がじわっと赤くなる。
「あ、そ、そうだよね! ごめん、つい自社資産の話になっちゃって……
うちの中央AIの【天神】にディープシンキングさせるから大丈夫だよ♡」
その時、テーブルの端から低く落ち着いた声がした。
亜駄夢「若様。軍事資産の話は控えめに」
ヤマトが興奮気味に続ける。「しかもさ! AUNの現用正規空母打撃群
(太平洋管区戦略艦隊:フリーダム7)とガチの机上シミュレーションしたときに、
いい線いっちゃったんだよねー!」
シキ「ハイハイ…。すごいすごい。」
チヨメが目を輝かせて相槌を打つ。
「でしょでしょ! 特にそのときの艦艇構成がまたアサクラらしくて♡」
ヤマト「うんうん! 侍魂に最新型量子ステルス艦を3隻エスコートさせて、
鉄塊は囮役で黒光に重粒子砲積んで……ってやったら、型落ち艦隊のくせに
フリーダム7相手に62%の勝率出たんだよ!‥‥まあ最終的には絡め手
使っちゃうんだけどコーポあるあるだよね!」
シキ「‥‥‥」
チョビ:亜駄夢をチラ見しながらも熱心に聞いている。
おじいちゃんも『おお、孫よ……』って珍しく褒めてくれてさ〜」
次の机上演習ではね!そこの三島に1日艦隊課長を任せたらきっと面白いこと間違いないよ!!
シキはもはや言葉が出てこなかった。(ミリオタ過ぎんだろコイツ…。)
亜駄夢 三島が静かにため息をつく。
「……若様。機密に触れすぎです。それにまだ決定事項ではありません。」
そこでチョビから追加の鼻血。三島の侍和服義体の袖を握りしめながら、
「亜駄夢さん……が艦隊課長とか……想像しただけで……想像しただけで
……はううううっ♡」
チヨメ「チョビちゃん…?」
シキ「おいチヨメ。そこのブスは基本的に死なねえから大丈夫だ。放置放置」
…。ヤマトは梅こぶ茶の湯のみを静かに置いて、少し真剣な顔になった。
「……シキ、実は話したいことがあるんだ。 チヨメのことなんだけど……」
彼は少し言葉を選びながら、静かに続けた。
「チヨメの能力の顕現(異常化)が、予想より急速に進んでて……
彼女の精神成長が全く追いついてない…。というか止まってしまっているんだよね。
このラボの抑制装置も、効果がどんどん薄れてきてる。
このままだと……本当に制御できなくなって、危ないことになるかもしれない。
家族としては‥‥辛い決断をすることに‥。」
ヤマトはそこで一度息を吸い、自嘲気味に笑った。
「ただ……シキは本当に稀少な魔術師のようだし、もしかしたら
何か気づいてくれるかなって思って、話してみたかったんだ。
君が派手に看板ぶっとばすところとか…。いや、実際魔法なんて
見たこともないけれどね。。」
短い沈黙の後。シキはため息を吐き、ぼやいた。
「……はあ。めんどくせえな、お前ら。何でそこまで知ってん…
(…アサクラの監視能力考えれば普通か…。)
とにかくメガコープの一族様がどうにもならねえってのに、
なんでアタシみたいな下町魔術師に振ってくるんだよ……」
ヤマト「うん…本当にごめんね。でも、困ったときは神頼みっていうでしょ。
ただそれでももう打つ手がないんだ…。少しでも可能性があれば…
いや、もう聞けるひとには何でも聞いてみたいんだよね…。」
シキは天井を仰いで、しばらく押し黙る…。
その後、諦めたように続けた。
「……まあ、ほっとくわけにもいかねえか。 まずは私がチヨメを
理解する必要があるな。チヨメの記憶転移、受けてやるよ。
(‥‥えええ~~~??いや今あたしなんつった??????!!)
代わりに、詳しいデータをアタシのサイバネに全部よこせ。」
ヤマトの目が一瞬、大きく見開かれた。
「……シキ、無理しないでね。でもその気持ちは本当に嬉しい。ありがとう……!」
チヨメは手で口元を抑えてきょとんとしている…。
脳内シキ:????????考えるより先にセリフが出て、
どんどんやばい方向に・・・ちょwwwwこのデコに貼ったシールか。
あたしのちょっと何とかしてやりたいって気持ちが増幅されてんじゃねえかあああ!!!」
(つづく)




