第6話 トモダチ後編 アノマリー
アサクラヤマトに招待されての地下2000mの庭園アマテラスでの茶会…。
やがて全員が茶室の中央の座敷に着席した頃、ヤマトが立ち上がった。
「じゃあ、チヨメを連れてくるね。少し待ってて」
亜駄夢が静かに茶を煎れ始めた。その時——庭園の奥、
竹林のあたりで「パコン」と、乾いた澄んだ音が響いた。
水を湛えた竹筒が傾き、落ちた水が石に当たる、日本庭園ではお馴染みの鹿威しの音だ。
彼は淹れたばかりの茶を、丁寧に一同の前に置いた。「……どうぞ。」
この時点でチョビはもう限界かもな・・
シキはぞんざいに一口試飲してぼやいた。
「……にっげええ……」
即座に隣からチョビのグーパンチが飛んできてシキの顔面に炸裂!
シキはピクピクと痙攣しながら毒づく間もなく沈黙した。
しばし時は流れ・・・ヤマトにエスコートされながら
チヨメ・アサクラ(朝倉 千代女)が現れた。
黒い和服を纏ったヤマトと同年代であろう彼女は、歩き方が少しおぼつかない。
ヤマトが端末を気にしながら、そっと妹の背中を支えている。
チヨメとシキの目が、ふと合った。その刹那——
一瞬視界が飛ぶ‥‥。と同時にシキの胸の奥で、長年溜め込んだやさぐれた
感情が、どす黒く瞬時に膨れ上がった。
「なんでアタシがこんなところに……」「なんでお前みたいなのが……」
「ざっけんな!!!!!!!!!」という、
普段はぐうたらで誤魔化している苛立ちと諦めが、とんでもない密度で
喉元まで込み上げてくる。
しかし、シキは奥歯を強く噛みしめて、それを無理やり押し殺した。
「ダメ!!!」チヨメが慌てて、自分の目を隠すと、感情の波が自然と収まった。
チヨメは目を隠したまま小さく頭を下げる。「今の……私のせいなの……ごめんなさい」
‥‥シキは理解した。彼女はアノマリーだ。
(つづく)




