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龍の巣 (中編)メガコープですよ。

残りの道中は完全に平穏だった。やがて——

ズタボロの廃墟になっている旧六本木ヒルズが見えてくる。

その先には先進的な黒いモノリス(ASAKURA(アサクラ)ビル)がみえる。


一見すると破壊されたままの廃墟の群れの中にぽつんと

ASAKURAビルが建っているようにしか見えない。

が、ここは紛れもなくASAKURAのアジア最大の要塞だ。


統合戦争の煽りを受けて、特大核バンカーバスターで象徴的に破壊された六本木一帯…。

そこにASAKURA社が目を付けた。


地上の荒廃部分をほぼ放置したまま地下一帯を完全な別物に変えやがった。

夜空には超特大ホログラムで赤いASAKURAの文字が不気味に浮かび上がっている。


ギーク(オタク)共の間では六本木で空中に浮かぶ黒いバトルシップを見たなんて噂もあるしな。

都市伝説バリだ。

挿絵(By みてみん)

いずれにしても、他のクリーンイメージな企業共とは一線を画し、

黒い噂が絶えねえ。


AV3機がゲート上に到達すると同時に、デカイ装甲化地上ゲートが、

腹に響く駆動音とともに開く。ヤバイ雰囲気しかねえ。


ゲートからのヘキサ型の筒の中を映画の1シーンのように滑らかに

AVが地下深くまで沈降していく。


やがて見えてきたのはASAKURA S3LV研究所の地下車寄せ。

一見超高級ホテルのようではあるが、

重レーザーキャノン、常時スキャナー、赤黒い警告灯が並ぶ、

完全に「入ったら終わり」オーラ全開のやばい車寄せだった。


AVのハッチが開き、護衛隊員が告げる。

「ヤマト様が研究所内で待機されています。どうぞ。」


シキ(降りながらため息)「……。やばい場所に着いちまったな……おいチョビ‥‥?」

チョビ「………亜駄夢様♡」

「使えねえ赤毛ブスが‥‥。」


このブスは‥‥フルボーグに目が眩んで奴に言われるがままに

エクソスーツを装備解除しやがった。

つまり二人とも丸腰だ。


あたしのポーチはかろうじて無視されている。

フン…魔術師をなめんなよ。いざとなればな…。


亜駄夢・三島はシキの背中を軽く押した。

「ほら、行けよ。ダウンタウンよりよっぽど安全だぜ?」


ホテルのようなエリアを抜けて、明らか黒い無機質な研究所に

赤いライトがちかちかしているといったASAKURA趣味な通路を進んで行く。


進む度に重厚な装甲ゲートが1枚づつゆっくりと開き、シキとチョビは

護衛隊員に囲まれながら研究所内部へと足を踏み入れた。

そこは……異様な空間だった。天井の高い通路の奥に、濃い紫と

青のサイバースモッグが低く漂っている。


冷却液とオゾン、微かな血の匂いが混じった空気が肺にまとわりつく。

壁面には無数の赤い警告灯が規則正しく点滅し、

「Level 7 Restricted」「Subject Testing」「Neural Override Protocol」

といった表示が冷たく光っていた。


左右を固める護衛隊をはじめとするASAKURAのスタッフたちは、

出来の良すぎる冷たい面々だった。


全員が黒と赤の制服を寸分の乱れもなく着こなし、

表情一つ変えずにシキを監視している。

その視線は「運び屋」ではなく「実験体」を値踏みするような、ぞっとするものだった。


シキ(やさぐれに周囲を見回しながら、小声で)

「……クソコープ共が、出来すぎてる顔してんじゃねえよ、

お前ら、笑顔の一つも見せろよ……」


亜駄夢・三島はシキの少し後ろを歩きながら、低く笑っていた。

やがて、通路の奥にある巨大な強化ガラス扉が左右にスライドした。


その中に立っていたのは——ヤマト・アサクラ、13歳。

金髪を中分けにしサイドをぱっつんにした、整いすぎた少年。


白を基調とした高級な和服を着て、まるで人形のように無機質な顔立ちをしている。

しかしその背後には、濃いスモッグが渦を巻くように漂い、

研究所の冷たい青い照明が彼の顔を不気味に照らしていた。


周囲のスタッフが一斉に頭を下げた。

ヤマトはシキをじっと見つめ、わずかに首を傾げた。

ヤマト:「……遅かったな。……運び屋。」


彼の声は抑揚のない、妙に冷たい響きがあった。

しかし目だけは、ほんの少しだけ何かの期待を隠しきれていない。


シキ(やさぐれに腰に手を当てて、ため息をつく)

「ASAKURAの御曹司様が、こんなところで運び屋を待ってるなんてな。

随分と暇なんだな、お坊ちゃん。」


周囲のスタッフの空気が一瞬、ピリッと張りつめた。

しかしヤマトは小さく笑っただけだった。

ヤマト:「ふん……口が悪いな。まあ、いい。

お前は……少なくとも、仕事を完遂しかけているみたいだからな。」


背後のスモッグがゆっくりと渦を巻き、

研究所の重厚なセキュリティ群に無言で囲まれる中、

ヤマトは一歩前に出て、シキを真正面から見つめた。


緊張感が、静かに、しかし確実に高まっていく。

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