表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帝国のつくり方  作者: ムックk
開拓編
PR
40/61

40話   国名は...........................

 「勝ったな....................................」


 戦闘が終わり、静寂が戻った艦橋の中で、俺はぽつりと呟いていた。

 モニターには、炎上して動くこともままならなくなった宙賊の艦隊の成れの果てが映し出されていた。

 砕けた艦体、漂う破片、燃え続ける装甲。

 宇宙という暗き海の中で、それらは不気味なほど静かに漂っていた。

 その光景を俺の隣で眺めていたガスターが、いつもの気楽そうな顔で声をかけてくる。


 「どうしたグレース、勝ったのが嬉しくないのか?」


 「ああ.................」


 俺は、少し間を置いて答えた。


 「...............なんか、嬉しくないんだ」


 俺は、元いた世界で、戦争というものを経験したことがなかった。

 前回も敵を一方的に撃破した。

 しかし、そんな経験をたった二度した程度で慣れるものではない。

 モニターに映るのは、俺達が撃沈した宙賊の艦船の残骸だ。

 あの中には、間違いなく俺達と同じ、人が乗っていた。

 そして、俺の命令で殺した。

 その事実が俺の胸の奥に、重くのしかかっていた。


 「顔を見た相手でもないんだし、別にいいだろ」


 しかし、ガスターはこれを当然の事のように言った。

 この言葉は、俺の常識を真っ向から叩き壊すものであった。


 「.................は?」


 思わず、そんな声が漏れる。

 だが、ガスターはそんなことを気にする様子もなく、話を続けた。


 「いいか、グレース」


 ガスターは腕を組み、少し真面目な顔になった。


 「この世界は弱肉強食の世界だ。 他人を殺すことなんて、珍しいことじゃない」


 そして、ゆっくりと言葉を続ける。

 

 「国家のトップになればな、時には何千、いや、何万って人間を殺す決断をすることだってある。

 だから....................」


 ガスターは、俺の目を真っ直ぐ見て言った。


 「国家のトップとして立つつもりなら、覚悟をきめろ!」


 その言葉は重かった。

 まるで、胸の奥に直接言葉を叩き込まれたような感覚だった。


 当時の俺は、この世界に、向こうの世界の常識を当てはめて物事を考えていた。

 しかし、この発言を聞いたときに俺は考え直したのだ。

 「この世界は、俺の住んでいた世界とは違う世界」だと.........................................

 俺は、戦争というものが嫌いだ。

 しかし、この世界の常識と向き合うには、戦争というものを避けることは出来なかったのだ...........


 そう悟った俺は、「誰にも邪魔されない国を作る」という目標を掲げた以上、「非情な決断もしなければならない」そう覚悟を決めたのだった。




 あの戦いから一週間後、資源採掘のために第一陣の輸送船団が俺達の星を出発した。

 それは、俺達の勝利が導いた、この星...................いや、国の未来だった。

 そろそろ、「俺達の星」と書くのをやめよう。

 実は、あの戦いが終わった後、俺達は国の名前を決めたのだ。


 「国の名前がない....................?」


 それは、グライムやその部下のことを村の皆に紹介し終わった後の、祝勝会や交流会を含めた宴会の場で、グライムがそう言ったことで始まった。

 

 「そういえば、まだ決めていませんでしたね」


 隣で一緒に話をしていたカリウスが、思い出したように言う。

 

 「どうする、なんかいい名前はあるか?」


 俺がそう言うと、みんな黙り込んでしまった。

 というのも、この世界において国の名前というのは、かなり重要なものだ。

 それ故、変な名前にしてしまったら、他国から舐められる可能性すらある。

 だからこそ、皆は簡単に口を開けなかった。

 こうなってしまったら仕方がない、当時の俺は皆の意見を聞いて、自分で国の名前を決めることにしたのだ。

 だが............... これからずっと名乗っていく国の名前を決めるというのは、想像以上に大変だった。

 皆が出してくれる案は、正直言ってあまりセンスがあるものではなかった。

 そのせいもあって、議論はなかなか進まなかった。

 そして、考えだしてから二時間ほどたったときに、カリウスが言ったことが状況を打破するきっかけとなった。


 「ヴァルキリア...............  とかはどうですか?」


 二時間も考えて疲れ切っていた俺は、そのかっこいい響きにすぐさま食いついてしまった。


 「いいなそれ! なんか意味とかはあるんか?」


 するとカリウスは、少し照れくさそうに説明した。


 「グレース様の使う環境操作の魔法ってあるじゃないですか、あれって、おとぎ話にでてくるヴァルキリー様の空間の魔法にすごく似ているんです。 なので、すこし変えて、ヴァルキリアにしてみました」

 おとぎ話の神から取った名前。

 その由来を聞いたとき、俺はこれ以上ないほどしっくり来たのを、今でも覚えている。

 

 「よし、決まりだ!」


 俺は即座にそう宣言した。


 こうして、後に宇宙にその名を轟かせる国家。


 ヴァルキリア


 その国名が、この世界に産み落とされたのである。

 ちなみに、この後の流れで、俺が王になることが決定し、「ヴァルキリア王国」という正式名称になった。

 ....................だが。

 このときの俺は、まだ知らなかった。

 この国名の元となった「ヴァルキリー」というおとぎ話にでてくる存在が、環境操作の魔法。

 いや、それどころか...................


 この世界に隠された秘密を解き明かす鍵となる、最重要人物であったことを。

 

 



これにて、開拓編は終了です。

これからは、新しく建国編に行きたいところですが...............................................


テストがある関係上、二週間ほどお休みさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ