14話 準備は整った
あの後俺たちは疲れ果てて、しばらく動けなかった。
そして一時間ぐらいカリウスと雑談をしていただろうか、カリウスがちょうど良い区切りで言った。
「結構休んだのでそろそろ目的を果たしましょうか!」
そう言うとカリウスは立ち上がって、警備室のドアの方に向かって歩きだした。
俺も立ち上がって、カリウスについていく。
俺は、頭の中でこの工場でやることを確認し直した。
まず警備システムを無効化する、そして宇宙船用の燃料を工場から搬出する。
それを思い出しながら、俺はカリウスが警備室のドアノブに手を掛ける光景を見た。
その光景を見た俺は、またさっきみたいに警備ロボットに襲われてはたまらんと思い、肩に掛けていた銃をすぐに構えた。
「いきますよ.......!」
俺の様子を確認したカリウスは、そう言うと扉を開けた。
俺はすぐに銃で扉の中を狙った。
俺はものすごく警戒していたが、数秒待ってもなにも出てくる気配がなかったので、俺は銃を下ろした。
そして、カリウスに続いて警備室に入った。
警備室の中は、三つの大きなディスプレイと、たくさんの制御盤があり、The警備室だった。
俺たちは警備システムを解除するために、制御盤の操作の仕方が書いてあるものがないか探した。
少し探すと案の定、いつものようにカリウスが紙の束を持ってきながら言った。
「たぶんこれじゃないですか?」
そう言うとカリウスは紙の束を見せてきた。
表紙には警備室操作マニュアルと書かれていたので、俺はその中から警備システムの解除方法を探した。
そして解除方法のページを見つけた俺は、マニュアルに書いてある手順通りに制御盤を操作した。
制御盤を操作していくと、ディスプレイにはマニュアルに書いてある画像が次々に出てきた。
そうして五分ぐらい操作していると、ディスプレイに「警備システム解除完了」と表示された。
俺は安堵の気持ちからため息をついた、するとカリウスが口を開いた。
「さすがです!グレース様!」
カリウスはそう言うと、制御盤をいじってディスプレイに地図を表示させた。
そして、そのまま話を続ける。
「こっから五十メートルぐらい真っ直ぐ通路を進んだら生産ラインがあるようですね」
カリウスはそう言うと、警備室の入口に向かって歩きだしたので、俺もカリウスのあとを追った。
一分も歩くと、ベルトコンベアがある広い部屋に出た。
ベルトコンベアには高さと横幅が一メートルほどの正方形の箱が乱雑に置かれていた。
俺は近寄って箱を確認した。
箱には、確かに宇宙船用燃料と書かれていた。
(本当に使い物になるのか....?)
そんなことを思っていると箱を確認していたカリウスが笑顔で口を開いた。
「これなら使い物になりそうですね!」
てっきり古くて使い物にならないとか言うと思っていたが、使えるとカリウスが言ったので驚きだった。
「少し離れていてください!」
俺は、慌ててベルトコンベアから離れる。
カリウスは俺が離れたのを確認した後、近くにあった制御盤を操作した。
すると、止まっていたベルトコンベアが動き出した。
次々とベルトコンベアに積まれた燃料缶が外に通じる出口らしき場所へ運ばれていく、おそらく外にはカリウスがさっき呼んだトラックが来ているはずだ。
そして、燃料缶が十個外に運ばれたのを確認したカリウスはベルトコンベアを止めた。
「もう終わったのか?」
俺がそう聞くとカリウスは笑顔で口を開いた。
「終わりましたよ!」
それを聞いた俺は言った。
「じゃあ、いよいよだな!」
俺がそう言うと、カリウスはうなずきながら大きな声で言った。
「はい!」
俺たちは、工場の出口へ向かった。
その後、俺たちは燃料が積まれたトラックに乗って宇宙港に戻った。
トラックは完全自動運転なので、帰りは二人とも泥のように眠っていた。
そして、俺たちが起きたときにはすでに夜明けだった。
「ずいぶんと寝たな~」
俺が大きなあくびをしながら、呟くとカリウスが缶詰めを持ってきて言った。
「朝ごはん、とっとと食べちゃってくださいよ!着いたらすぐに作業ですからね」
俺はカリウスから、缶詰めをもらって開けた。
そのまま、中に入っている乾パンを口に運ぶ。
味は、うまくもまずくもない味だった。
そんなことを思いながら乾パンを食べていると宇宙港の敷地に入った。
二、三分もすると宇宙船に着いた。
カリウスはトラックを止めると口を開いた。
「さて、取りかかりますか!」
そう言うとカリウスはトラックから降りた。
俺もカリウスに続いてトラックを降りた。
「どうやって燃料を入れるんだ?」
俺は降りたタイミングでカリウスに聞いた。
するとカリウスは、宇宙船の下にあった制御盤を操作しながら言った。
「ちょっと待っててくださいね」
カリウスは制御盤を操作しながらそう言った。
そして十秒ほどするとたったころ、突然宇宙船の横の扉みたいなところが開いて、そこからぶっといホースが出てきた。
そしてカリウスはそのホースを持ち上げると、口を開いた。
「このホースで燃料缶から燃料を入れますよ!なかなかの重さなんで、手伝ってください!」
俺はホースを持ち上げて言った。
「ああ!」
ホースは、見た目どおりに結構な重さだったが
俺たちは、少し苦戦しながらもホースを燃料缶に繋げた。
そして、再びカリウスが制御盤の方に行って制御盤を操作した。
すると、どんどん燃料がホースの中を通って宇宙船の中に入っていくのが外から見ても確認できた。
俺たちはその後、同じような作業で燃料を入れた。
五個目の燃料缶をいれ終えたとき、カリウスが口を開いた。
「このくらいで足りるでしょう!」
カリウスはそう言うと、ホースを止めて言った。
「試験航海も含めて、拠点に戻りましょうか!」
俺は、いきなりの言葉に戸惑いつつカリウス聞いた。
「もう動かせるのか?」
そう聞くとカリウスは笑顔で言った。
「行けますよ!まともに動いたらの話ですが...」
やってみないことにはなにも始まらない、そう思った俺はカリウスに言った。
「やらないことには始まらないし、やってみるか!」
「そう言うと思っていましたよ!」
カリウスはそう言うと、「着いてきてください」と言って宇宙船の中に入っていった。
カリウスに着いていくと、俺たちは宇宙船の艦橋に着いた。
そして、艦橋に着くとカリウスが口を開いた。
「さて、行きますよ!」
そう言うとカリウスは操縦席について、制御盤を操作した。
そして、少したつと宇宙船が静かに、空に上がっていく。
俺はその光景を見てあまりのすごさに、六分のワクワクと四分の感動を感じた。
俺が、そんなことを感じているとカリウスが声をかけてきた。
「これが宇宙船の飛びかたです!驚きましたか?」
「ああ!すごかったよ!」
俺は少し興奮しながら言った。
「それはよかったです!」
そう言うとカリウスは話を続けていく。
「じゃあ、このまま拠点まで言っちゃいますね」
そう言うとカリウスは操縦席についた。
操縦しようとしているのを邪魔してはまずいと思った俺は、他の部屋に行こうと艦橋の扉を開けようとした。
だが、そのときカリウスがいきなり大きな声で言った。
「グレース様!救難信号を探知しました!」
俺は、とっさのことの驚きでカリウスに聞いた。
「本当か!」
するとカリウスは言った。
「本当ですよ!もしかしたら他に人がいるかもしれません!」
俺の心は踊った、そしてカリウスに言った。
「今すぐ行くぞ!」
「はい!」
こうして、俺たちは救難信号が示す場所に行くことになった。




