11話 見えてきた希望
あの後、強敵を倒し終えた俺達は、一度休憩して、下水道の出口を目指していた。
下水道突破の最大の障壁であるミュータントを倒した俺達に、その後出てきた巨大ネズミなど、全くの敵ではなかった。
一時間ほど歩いただろうか、俺は再び歩き始めてから全然出口につかないことに、すこしイライラしながらカリウスにこう質問した。
「まだつかないの~?」
すると、カリウスは俺のその様子を見て、少し笑いながらこう言った。
「見てください!向こうに梯子がありますよ!」
それは、実に六時間半の移動と、かなりの数の巨大ネズミと戦って疲れ果てていた俺にとって、最高の報酬だった。
そのことを聞くや否や、俺の体全体に生気が戻り、俺は全力で梯子に向かって走っていった。
俺は梯子にたどり着くと、すぐに梯子の上を確認した。
すると俺の予想通りに、梯子の先には外へとつながるであろうハッチがついていた。
俺は、歩いているカリウスを急いで呼ぶ。
「ハッチだ!外に出られるぞ!!!!!!!!!」
それを聞いたカリウスの顔は、子供のようにとても無邪気な顔だった。
「さて、開けますか!!!」
カリウスの合図と共に、俺達は一緒にハッチのバルブを回す。
あの時のバルブを回した感覚は、「やっと外に出られる!」という浮かれ具合から、とても軽く感じられるものだった。
十秒も経たないうちに、ハッチを閉めていたバルブは、完全に解放された。
「さて、行くぞ.......................」
「ここから先は未知の領域」、あの時、俺達の心の中はそれが支配していた。
人間は誰しも、初めてやることには恐怖を感じるものだ。
実際、当時の俺達はそうだった。
カリウスが火炎放射器を構えたのを確認した俺は、ゆっくりとハッチを開けた。
するとどうだろう?俺達を迎えたのは、巨大ネズミや暗闇ではなく、俺達を祝福するような眩しい光だった。
「きれいだ...........................」
当時、それを見た俺の感想はこれだ。
とてもシンプルでなんのひねりもない、しかし、それは心からそう思ったからだった。
外に危険がないことを確認した俺達は、外に出る。
外の空間は、天井が崩壊して真ん中から眩しい光が降りてきている、崩壊したドームらしき建物だった。
出た先は廃墟であったが、少し神秘さを感じられるような場所でもあった。
少し歩いて探索すると、すぐに外へと通じる扉を俺達は見つけた。
「さて、どうなっていますかね!!」
カリウスが子供のような声で俺にそう問いかける。
「それは、見てからのお楽しみだな!」
そう言って、俺は外に続く扉を思いっきり開けた。
扉を開けた瞬間、俺達を歓迎したのは、なんとも心地の良い爽やかな風だった。
外に控えているのは、廃墟となった街や荒野。
しかし、そんな異常な現実でも、風だけは普通だった。
俺は、あまりの爽やかさに言葉を失い、その風を無言で感じていた。
「なにぼおっとしてるんですか?下水道をやっと突破したんですよ!まずは喜びましょうよ!」
その時、カリウスはかなりのはしゃぎようでそう言ってきた。
その言葉で、俺は我に返る。
「ああ!そうだな」
そして、俺は再び外に向けて歩き出した。
俺達は、今回の大遠征の目的である、マラナ宇宙港の場所をもう一度確認するために、地図を取り出して覗き込んだ。
しかし、前の世界で方向オンチであった俺には、宇宙港の場所を探すのは本当に大変なものだ。
そんなこんなで困っている間にも、何でもこなせるカリウスは、ある場所を指さした。
「多分あれじゃないですか」
俺は顔を上げて、カリウスが指差している方角を見た。
目をやった先には、遠くに塔が建っているのが見えた。
俺は、形が転生前の世界で見た空港の管制塔と似ていたので、向こうだと判断した。
「よし、行こう」
俺はそう言うと、歩きだした。
三十分ぐらい歩いただろうか、俺たちは宇宙港に辿り着いた。
「やっと着きましたね!」
カリウスはそう言うと、周りを見渡した。俺も確認する。
宇宙港の作りは飛行場に似ていて、辺り一面滑走路らしきものだった。
そんなことを考えているとカリウスが声をかけてきた。
「向こうに宇宙船らしいのがありますよ!」
俺は目をやった。遠目から見ると、すごく未来的な宇宙船らしいものが何隻か放置されているのが見えた。
もしかしたら動くかもしれないと思ったので俺たちは向かった。
だが、宇宙船の近くに行ったらすぐにおかしいことに気づいた。
どの宇宙船にも爆発がおきたような穴が空いていた。
期待していた俺は、酷く落胆した。
そのとき、カリウスが「あっ!」と驚きの声を上げた。
俺は、どうしたのかと思いカリウスに近寄る。
そしてカリウスのことを見た、するとなんと言うことだろうか、カリウスがいたところに全く無傷の宇宙船があったのだ。
「動かせるか試そうぜ!」
そうカリウスに言うと、カリウスはうなずいて宇宙船の入口らしき場所に向かっていった。
幸いにも宇宙船の入口は空いていたので中に入れた。
中に入ると、カリウスが言った。
「このタイプの宇宙船は、だいたい一番前に艦橋があるんですよ!」
俺はふと、カリウスがなんで宇宙船とか機械に詳しいのか気になった。
「そういえば、なんでカリウスは機械に詳しいんだ?」
するとカリウスは笑顔で答えた。
「昔、学校で機械について学んでたんですよ!」
俺は、納得しつつこの世界にも学校があって、前の世界と似ていることに安堵していた。
そんなことを思っていると、カリウスが言った。
「そんな話よりまずは宇宙船の艦橋を探しますよ!」
俺たちは、再び探索をすることにした。
五分ほど探すと、艦橋についた。艦橋はTHE宇宙船的な艦橋だった。
俺が見渡していると、カリウスが奥に置いてある
制御盤らしきところに行ってさわりだした。
俺も、カリウスの方へ行く。
カリウスは制御盤のボタンを慣れたように操作していた。
少しすると、モニターに電源がついた。
そのまま、カリウスは制御盤をいじくっていく。
だか、そのときだった、モニターに表示されたのは残燃料0%の表示だった。
俺たちは落胆した、そしてカリウスが大きなため息をした後言った。
「宇宙船自体は動かせそうなんですが、肝心の燃料がないんできついですね......」
そのままカリウスは淡々と話を続けた。
「さっき確認しましたが、燃料タンクも破壊されていました......どこかに壊れてない燃料タンクがあればいいんですけど......」
あと一歩でこの星から脱出できそうなところで脱出できない、この状況に俺も頭を抱えるしかなかった。
だが頭を抱えていると、俺はあることを突然思い出して地図を取り出した。
その様子にカリウスは不思議そうに俺を見つめる。
俺はそんなことを気にせずに地図を広げて、宇宙港の周りを見渡した。
地図を見ていると、俺が覚えていたとおりに科学燃料工場とかかれている場所を見つけた。
俺は地図をカリウスに見せて言った。
「なあカリウス、ここならワンチャン燃料があったりしないか?」
すると、カリウスは少し驚いた顔で言った。
「こんな近くに燃料工場があるなんてめっちゃラッキーですよ!燃料があるとは言いきれませんが、もしかしたらあるかもしれません!」
そのことを聞いた俺の心の中では希望が湧いてきた。
そして、俺はカリウスに言った。
「行こう!」
こうして俺たちは、脱出に向けてさらに歩みを進めたのだった。




