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「お、お兄ちゃん…」

「お兄ちゃん?じゃあこいつはハルカの…」


シンが固まる。

コウメイが私と兄を見比べる。


「へー、似てるねー」

「わかってんじゃねえか少年」


兄がコウメイの頭を撫でる。


「俺はナユタ。可愛い可愛いハルカの兄だ」


兄の視線はシンに移る。


「…お前、名前は?」

「し、シン…」

「その髪、気に入らね」

「え、ええ…」


兄は手でハサミのジェスチャーをする。


「俺が切ってやる」

「いやいやいや…」


シンが兄にガッチリと固定される。


「お兄ちゃん…いくら美容師だからって強要はよくない…」

「はいはーい!今日のご飯はテツ様が作るよー…って、誰?」


なんと間が悪い。

談話室に入ってきたテツを睨みながら兄が近寄る。


「お前、名前は?」

「テツですコンニチワ」

「職が安定していない上にタラシだな」

「お、おお…?」


テツは笑顔をキープしたままドアの近くでうずくまる。


「ちょっとテツ。鬱ぐのは構わねえけど出入り口は塞ぐな」


ルチアがドアを開ける勢いでテツを隅に寄せながら入室して来た。

兄は今度はルチアを睨む。


「…さっきなんか上手いこと言った"少年"、名前は?」

「は?俺のこと?」


兄は大きく頷く。


「…ユウタです」

「嘘付け!」


テツが突っ込む。

ルチアは舌打ちする。


「なんてことだ…この家は男ばかりじゃないか…」

「女1人いますけどね」

「間違いが起こったらどうすんだ!」

「もう…大丈夫だって…」


シスコンの兄には昔からうんざりしている。

少しでも男子と関われば、兄の鉄槌が(男子のほうに)下された。

おかげで中学も高校も男子を避けねば(男子が可哀想なので)ならなかったし、男子のほうも(兄が恐ろしいので)私に寄り付かなかった。


「え、でもハルカちゃんって」

「もう付き合っちゃってるよね?」

「なにっ!?」

「ちょ、余計なことを…」


兄が双子に詰め寄る。


「誰だ!」

「「シンちゃんでーす」」


もはや人の領域を超えた恐ろしい顔で、兄はシンにゆっくり向き直る。


「ど、どうもー…」


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