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「全く、遅いぞ」
シンが子供のように拗ねている。
「ご、ごめんって…」
双子とテツは少し前から花火を眺めている。
「ルチアは?」
「先帰るって言ってた…」
「あいつもか。黒も帰ってしまったし」
「え?黒さんも?」
シンは呆れ気味に頷く。
空には辺りが照らされるほどの花火が咲いている。
「…綺麗だな…」
どことなく寂しそうに花火を見つめるシン。
「私…すごく小さい頃花火を見て可笑しなこと言ったことがあるらしいんだ」
「…?」
私は照れ臭いながらもシンに言う。
「"空の目"だってさ」
「目…?」
「うん。なんでそんなこと言ったのかはわかんないんだけどね」
幼い頃始めて花火を見た感想がそれだったとか。
「空の目か…とても綺麗だな」
「蒼空の目みたいにね」
シンは驚いたように私の顔を見る。
そしてその綺麗な瞳は穏やかに微笑む。
「ハルカがいなかったら、俺はこの世界も自分自身も汚したまま生きていたんだろうな」
シンは私の頭を撫でる。
「…だけど」
「ん?」
彼は私に口付けをする。
「ハルカのほうがずっと綺麗だ」
「えっ…!あ、え、えー…っと…!」
お湯が沸かせそうなほど自分の顔が熱くなるのを感じる。
「そ、そういうことサラッと言っちゃダメーっ!」
「ぶっ」
シンが前方に飛んで行く。
「うわ、シンちゃん何やってんの」
「花火にでもなろうと思ったの?」
「そんなんじゃなれないよー、シンはお馬鹿さんだねー」
テツがシンを受け止めた。
「ご、ごめんシン…」
「俺が何したっていうんだ…」




