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(ルチアさんのこんな歌…始めて聞いたかも…)
ステージに立つ彼女は、いつものようなロックチューンな曲ではなく、ポップな音楽を奏でる。
「…和花…」
「え…?」
ステージ裏にいたリョウトとカナルが顔を出す。
「あ、リョウトさん」
「ん、ハルカちゃんだっけ?」
2人が私のもとにやってくる。
「和花と一緒に来たの?2人でデートとか?」
「あはは…みんなで花火を見に来たんです」
彼は楽しそうに歌うルチアを見上げる。
「あいつ、あの浴衣着たのか」
「え?」
「俺があげたやつなんだ。今まで一度も着てくれなかったけど」
リョウトの後ろでカナルがうつむく。
少ししてルチアがステージから降りて来る。
「和花…」
「んだよ、ノリが歌えって言ったからだからな」
彼女は私に向き直る。
「さ、行こうぜ」
「ちょっと待てって」
リョウトがそれを引き止める。
「2人で居られないか?」
「…無理」
ルチアはカナルを視線で指し示す。
「この子はどうすんだよ?」
「カナルは…"ただの後輩"だから」
「…!」
カナルが勢いよく顔を上げ、困惑したまま言葉を紡ぐ。
「わ、私…片付けしてきます…!」
皆の返事も待たず行ってしまう。
「…最低」
「ルチアさん…」
いつものルチアはそこにいない。
「わかってるよね?あの子の気持ち」
「…わかってる…けど俺はお前が…」
「自分が好きな人以外はいくら傷つけてもいいって思ってるの…?」
リョウトは下を向く。
「そういうの許せない…」
「なんだよ…お前はいつも愛想笑いや嘘ばっかりで…自分が傷ついてもで他人のことばっかり気遣って…お前みたいなのだって許せねえよ!」
「ちょ…2人共っ…」
ドン。ドン。
少し遠くで花火の打ち上げ音と歓声が聞こえた。
「…あ、やべ」
ルチアは端末を取り出し電話を掛ける。
「おう、わかった…ハルカちゃん行っておいで?」
「ルチアさんは…?」
彼女は首を振る。
「先帰るから」
「で、でも…」
「シンがふてくされてたぞ?俺は構わなくていいから」
私は後ろ髪をやや引かれながら、彼女のもとを離れて行った。




